「夢を追うのか、現実を見て社員になるべきか」

≪本日の僧侶プロフィール≫

 

・コンサル僧侶

10年間、企業コンサルタントとして活躍するが、自身の人生を改めて振り返った時に、利益至上主義の生き方に限界を感じ、一念発起。僧侶となる。

 

・公務員僧侶

公のために生きることを自分の生きる道と定めて公務員になるが、公を大切にすればする程、家族をほったらかしにせざるを得ない現実にぶつかり、納得のできる生き方を求めて僧侶となる。

 

・学者僧侶

幼少の頃より、生死の問題に強い関心を持っていたが、いつの頃からか、その答えを仏教に求めるようになる。気付いた時には仏教研究者に。師匠の勧めで僧侶となる。

 

・美声僧侶

仏教の知識のみならず、美声を活かした読経も魅力。 毎日の剃髪を欠かさず、純度の高い生活を心がける正統派僧侶。

 

≪本日の人生僧談≫

 

20代男性からの相談「夢を追うのか、現実を見て社員になるべきか」

 

最近、夢を多く持つようになった。夢を追う人生も素敵である。バイト先には女優・俳優志望、声優志望など多い。だが、夢だけ求めていても現実(世間)は厳しい。現実を見て社員になったほうが人生はよいのだろうか?

 

 

公:こういう悩みや葛藤って、世襲の僧侶にもあるかもしれないね。跡継ぎの長男は、自分の夢が持ちづらかったり。

 

コ:みんなはお寺の跡を継ぐ時どうだった?

 

美:自分の将来が決まっている既定路線が最初はいやでしたね。特殊な自分の身の置き所にとまどっていて……サラリーマンというか、普通にあこがれました。

 

学:僕もお寺と違う世界にいってみたい、という思いがあった。学生時代は芸術家、映画監督になりたくて。でも現実の中で夢も変わっていったかんじ。まあ、お寺を継いだ今でも、居酒屋経営やプロ野球選手に興味はあるけど。

 

コ:みんな結構いろいろやりたいことあるんだね。

それでもお寺を選んだのはなんでだろう?

 

美:実は親に継げと言われたことは一度もなくて。学生時代、映像関係の仕事をしたいと親に相談しました。全力で応援すると言ってくれたのですが、同時に、もうお寺には帰ってくるなよとはっきり言われたんです。

 

コ:良い親だね。

 

美:そのとき自分の覚悟のなさに気付いてしまって。お寺を保険と考えてたんですね。そのことがきっかけでお寺のことに真剣に向き合い、受け容れ、大切なものになりました。

いまある環境にどういう意味を見いだすか、受け止め方次第で広がりがあるというのが実体験ですね。

 

学:一人で妄想するのではなく、まわりに相談したり実際にアクションを起こせば、本当にしたいことがはっきりするかもね。

 

公:そうだね。この相談者は「最近、夢を多く持つようになった。」といってるし、まだ自分がしたいことがぼんやりしている気がする。

 

コ:ちょっと浮ついてるというか、夢と現実を全く別ものと考えてそうなのが少し気になるな。夢を追いかけるということは今現実としてそのための準備、トレーニングをしてなきゃいけないと思う。

 

学:俳優にせよ、社員にせよ、どの道も現実に続けていくのは大変だよね。

 

公:そもそも夢をもつのはかっこいいけど、持たない人はだめかというとそんなことはないと思う。それに、世の中には社員になることを夢見ている人もいるわけで。贅沢な悩みなのかも。

 

公:ないものねだりな印象はあるよね。やっぱり人間の欲望、貪りの心は際限がないものだから。

 

美:いま恵まれている環境、与えられた条件をまずは受け止めて、後悔のない選択をしてほしいですね。

 

公:問いがあること、将来を考えようとしてることはいいことだと思う。

普通は働き始めてずっと後に疑問をもつことが多いから。いましかないこの時間を大切にしてほしい。

 

《中締め》

 

悩み、問いをもつことはよいこと。ただし、夢を妄想するのではなく、現実にアクションを起こそう。もしかすると隣の芝生が青く見えているだけかもしれない。いま恵まれている状況にいることを、まずは認識しよう。