伝統芸能同好会〜女殺油地獄〜(前編)

こんにちは!伝統芸能同好会 平田かつきです。今回は私が一番興味のある伝統芸能の文楽を鑑賞しました。題目は、『女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)』(国立文楽劇場開場三十周年記念 人形浄瑠璃 文楽 平成26年度 夏休み文楽特別公演 第三部 サマーレイトショー 近松門左衛門没後290年)。話のあらましや面白かったこと、気になったこと等々、3回に分けてレポートします。

 

 

主人公は油屋 河内屋の与兵衛。毎日、女遊びや喧嘩しまくる……とにかくダメな奴です。観ていると、ダメダメっぷりにとってもイライラしてしまいます。私はこういうダメダメな主人公が大嫌いです。

 

与兵衛は家庭環境が複雑です。実の父親は、早くに亡くなってしまいます。実母のお沢は使用人と再婚しました。その使用人は代々河内屋の主人が名乗る徳兵衛という名を継ぎ、経営状態があまりよくなかった河内屋を立て直します。そして、徳兵衛とお沢の間にはおかちという娘ができます。徳兵衛は前まで「ぼん様」と呼び主人の息子として接していたので強く与兵衛を叱ることができません。だから与兵衛は調子に乗りまくる!

 

与兵衛はある時、お金欲しさにおかちに嘘の芝居をさせます。でも徳兵衛からお金を貰えなかったので殴る、踏み付ける等の暴力を振るいます。家庭内暴力、DVです。

 

江戸時代は上下関係が重んじられる時代。義理の関係とはいえ父に手を上げる与兵衛のDVはあり得ないこと。お沢がこの現場を発見してカンカンに怒り、与兵衛を泣く泣く勘当します。

 

そして与兵衛は意地を張って家を出て行ってしまう。そんな与兵衛を心配して、お沢と徳兵衛夫婦は同業者の豊島屋のお吉に「私たちからということは伏せてこのお金を与兵衛に渡して欲しい」と依頼します。この二人が帰った後、与兵衛がお吉のところへ「お金が欲しい」とやって来るのです。実はこの時、与兵衛は明日までに返さないと5倍に膨れ上がってしまう借金を抱えています。切羽詰っているのですね。とても両親が用意してくれたお金だけでは足りません。だからお吉に「もっと貸してくれないか」と要求します。

 

でもお吉は「あっちの棚にお金があるけど、主人がいないのでそんな大金貸せません」と断ります。与兵衛は「こんなに頼んでいるのに貸してくれないのか」とかっとなります。

 

ここで何故か「お金を貸してもらえないなら油を貸してほしい」という与兵衛。それならば、とお吉は承諾して油を汲みに行くと……キラッと何かが光ります。与兵衛の脇差しです。与兵衛はお吉を殺してでもお金を手に入れようとするのです。油をひっくり返して逃げるお吉、追いかけ刺す与兵衛。そしてお吉は殺されてしまいます。与兵衛はお金を持ち去ります…。

《中編へ続く》

 

平田かつき

相愛大学、2回生。伝統芸能同好会部長。能楽、歌舞伎、文楽、謡曲、落語などの伝統芸能鑑賞を愛する女子大学生。中学生の頃、テレビで偶然、能楽の吉野天人を観たとき「何!?この美しい衣装!このお面きれい!なになになに!?」と思ったのが、伝統芸能との出会い。そこから関連する本や解説本を読み漁るなかで、他の芸能にも興味が湧き、鑑賞を繰り返す。鑑賞に止まらず、自分でも伝統芸能を体験する活発さをもつ。ラーメン愛好家。