子育て×仏教「ジグザクな人生の歩み。学び続ける生き方」

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子育てという切り口から、人生を豊かに生きるヒントが見つかる企画。

「子育てってしんどい。でも、それだけじゃない」

「勉強ができれば幸せになれるの?」

「東大に入ったら、大きな会社に就職できれば、将来は安泰?」

「とにかく、勉強だけをさせておいたら大丈夫?」

先行きが見えない不安な時代。
AIによって、これからたくさんの仕事がなくなっていきます。

ほとんどの子は、今はまだない職業につくと言われています。そんな時代に生きる子どもたちにとって、本当に必要なチカラとはなんでしょうか?

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2017年6月3日(土)に京都市しんらん交流館において、子どもの支援をされているNPO法人D.Live(ドライブ)と僧侶が協力し、「シリーズ“○○と考える子育てがラクになる講座」子育てについての対談イベントが開催されました。第1回の様子はこちら

第2回は「元東大教授と考える“本当に賢い子どもの”育てかた〜偏差値じゃない生きる知恵〜」をテーマとし、前半は浄土真宗本願寺派僧侶であり、東京大学でかつて教鞭を取られていた丘山願海先生をお招きし、話題提供をしていただき、後半では子育てで大切にしたいことのリストを作成すると言うワークを通じて、参加者それぞれが子育てのあり方を考える時間となりました。今回はその様子を全4回に渡ってお届けいたします。
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「ジグザクな人生の歩み。学び続ける生き方」


<話題提供者>

丘山願海(おかやま がんかい)
京都大学理学部物理学科卒業。東京大学大学院にてインド哲学を専攻。戦後初の仏教研究の留学生として北京大学、中国社会科学院で学ぶ。ミュンヘン大学客員研究員を経て、1994年から2012年まで東京大学東洋文化研究所教授。2013年に得度し僧籍を得る。現在のテーマは、自己の幸福と他者の幸福との関わりを根源的に問い直す共生理論など。浄土真宗本願寺派総合研究所所長。


<ゲストスピーク>
—司会
本日の会は曼荼羅トークというやり方で進めさせていただきます。
曼荼羅トークとは、ウェブマガジンgreenz(http://greenz.jp)の元編集長の兼松佳宏さんが編み出された「沢山の言葉とであいのお土産」があるという魅力的な手法です。すでに丘山先生にキーワードを数個出していただいております。参加者の方々に聞きたいキーワードをその中からまず1つ選んでいただきます。また、選んでいただいた参加者の方々には、なぜそのテーマを選ばれたのか少しお話を伺い、それから、登壇者の方々にキーワードを中心にお話を伺っていく、という様な流れで進んで参ります。


曼荼羅トーク、6つのテーマ
・どうやると成績が上がるのか?
・親子の「対話」していますか?
・よい大学ってなんだろう?
・「信じている」は親の身勝手?
・学び続ける生き方とは?
・「賢さ」ってなんだろう?


参加者のみなさまに気になるテーマを選んでいただきます。その際、選んだテーマとその理由も少しお話しください。
まずは丘山先生、自己紹介から。

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—丘山先生
みなさん、こんにちは。いきなりですが、皆さん、どうやって自己紹介しますか?
普通、自己紹介と言うと、名前と年とどんな仕事をしているかとか、家庭はどうで、会社はこうで、という肩書きとかが多いのではないですか?それらは言うなれば、わたしの外枠のものと僕は思っていますね。
すごく簡単に言っちゃうと、夫がいて、子どもがいてって言っても、もし離婚したりしたら変わるじゃないですか。
 こういう企画の時にやりたい自己紹介、知りたい自己紹介というのは、そういった外枠のことよりも、
「私はこんなことを願いながら、生きてきました」「自分がどうやって生きてきたか」を僕は知りたいですね。
良い企業であろうが、東大に行こうが、どうでもいいことだと僕は思っています。
どうです?だいたいこれで、自己紹介になってると思うけど(笑)
まぁ、そうは言っても皆さんにとっては僕と初対面の方もいらっしゃるので、あとで普通の自己紹介もしますね。


まずは少し皆さんのことも聞いていきたいですね。
いつもこういう会に来て思うんだけど。皆さん、なんで来てくれたの?何しに来たんですか?
それぞれに参加理由はあると思うけど、この週末の大変な時に時間を作ってきてくれているわけでしょ?すごいよね。
はい!あなた、何しに来てくれたんですか?


——参加者女性
いろんなお話を伺って、色々と自分なりに分かっていきたいと思いまして来ました。


——丘山先生
急にマイク渡してしまったけど、答えてくれてありがとう。
僕は教育のことは専門ではなくて、仏教のことをずっと勉強しています。
それと、今日は、これだけはお伝えしようと思っていることがあります。
僕は「僕の人生は失敗だらけ」ということを言っておきたい。それだけは自信を持って言えるんですよね。
まず、最初の失敗は私立の小学校を2つ落ちている。兄弟四人他はみんな受かりました。小学校の編入試験も受けさせられて、それも落ちた。
今でも覚えているのは、「月はどっちから出てくるんだ?」という質問で、月って西の印象があるじゃないですか。だから、「西だ」って言ったらね……落ちた。それだけはよく覚えている。

プレッシャーに弱いんですね。
中学受験も二つ落ちたよ。それは小学校の先生が前日に激励に来て、牛乳をくれて、それを飲んでお腹を壊したんです。
高校になってやっと受かって、試験に受かるってこういうことか、と思ってちょっと嬉しかった。
高校に入って、1年目で先生がこのまま勉強していたら東大行けるから、真面目に勉強してろって言われた。ただ、僕はへそ曲がりなんでそう言われると嫌になって、1番2番を競ってたりもしたんだけど、ある時に僕よりもできる友達がいて、その子が「勉強はやめよう。ぼくが社会勉強を教えてやる」と言って、銀座行ったり、新宿行ったりしてましたよ。学校の帰りにね。
そうしていて大学受験をしたら、落ちましたよ。その時は腹が立ちました。なんで僕は受からないんだ、と思って。東大の教師が成績の悪い奴から合格させたんだろうと、本当に思ったりして。
その後は、京都大学に来て、天文学をやるつもりだったけど、大学に入って天文学の教室に行ってみると、みんなコンピューターばかりに向かってたから、やめました。「僕は星を見たいんだ!」ってね。
それと、その時は学生運動が激しい時でそればっかりして、勉強なんてしていなくて。
で、大学が終わった後に、このまま企業に自分の人生の時間を売るわけにはいかないな、と思った。それで、1年間いろんなことを勉強してみようと考えて、結局、仏教、インドの思想が一番自分の役立つな、と思った。人生を考えるのに役に立つな、と。それで東大に入って、仏教を学びはじめたのだけど、
仏教のことでいいますと、どうも、大学で「悟る」ことはできないなぁと思ったね。僕はお釈迦様のように本気で悟るつもりでいたから。
だから、勉強していたけど、もう論文だけ書いてやめようと思っていた。
ただそこで、本当に尊敬できる先生に出会えたんですよね。
その先生が「君は大学をやめるとか言ってるらしいけど、短気を起こすな。信仰と学問は両方で助け合うものだ。今の仏教学は全部間違ってる。」と言ってくれた。「そんならいいや!」と思って、大学を続けることにした。
ただし、先生は「仏教は間違いだ」とは言っていないんですよね。仏教を研究している今の人たちが全部間違っている、ということだった。(笑)それで、僕の思っていたことはまんざら間違いじゃないな、と安心して大学で勉強を続けたんです。
 始めはインドについて勉強してたけど、途中からは中国のことを勉強し始めた。当時、日本を見渡してみて中国仏教の勉強をしているのに、中国に行った人が誰もいなかったんですよ。
ちょうど、文化大革命 が終わったばかりの頃で中国に留学に行けなかった。けど、心のどこかではずっと行きたいなぁとは思っていたら、ちょうど、文化協定が結ばれて行けることになった。それで、妻子を置いて中国に行きましたね。後で恨まれましたけど。
ぼくは本気で遣唐使を再開する!と思っていたんですよ。みんな笑ってるけど。そういう妄想を持っていた。妄想=志(こころざし)だからね。妄想って大事ですよ。場合にもよるけど。

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ここで、皆さんにちょっと質問です。
小さい頃、どんな夢がありましたか?10秒考えてみて。さっき、スタッフさんに聞いたら寝てる時の夢ですか?って、そんなわけないよ。大きくなったら、こんな風に生きていきたいや小学生や高校生の頃の夢ね。
僕の場合は、今ずっと、自分のジグザグの人生を思い出していて、小さい頃からのことがそれなりにつながっていくなぁと感じてます。
まぁ、大人の皆さんたちは手遅れだけど(笑)お子さんたちには「何になりたいの?」「どうやって生きていきたい?」と、問いかけてほしい。なるべく、面白いことでね。
前回に対談された僧侶の高橋さんは小学生の頃、「ぼくはこの地球をみんなに貸してあげている。」と思っていたらしいですよ。


やっぱり偉いんだ、と思われるのは嫌なんですけど、ぼくは中学の頃から、この世界から戦争、争いを無くしたい、人の心から憎しみをなくしたい、と本気で思っていた。
その思いは学生運動していても、何しても変わらない気がする。
この世界から戦争、争いを無くすこと。人の心から憎しみをなくすことは不可能なことなんだってわかってはいるんですけど、そっちに向かって生きていきたいなぁと思っています。

実は僕、大学で教えるのは好きじゃないんです。座って、じーっと勉強していていいのだろうか?って思っていた。もっと現場で働きたいと思っていた。そんな時に京都の西本願寺の方から、「あんた、研究者じゃないだろう。自分の代わりに全国をまわって喋って来い」と言われた、それに飛びついて、パッと大学をやめて。西本願寺へ来ました。
それはある種の挫折というか、とにかくいつも、ジグザグで試行錯誤しながら生きています。
以上で自己紹介を終わります。



—司会
先生の自己紹介の中でもいろんなエッセンスがあるなぁと思って聞いていたんですけど、本日は6つのテーマを選んでもらって、会を進めていきたいと思います。イメージとしては生放送版、徹子の部屋ですね(笑)。

テーマは6つ
・どうやると成績が上がるのか?
・親子の「対話」していますか?
・よい大学ってなんだろう?
・「信じている」は親の身勝手?
・学び続ける生き方とは?
・「賢さ」ってなんだろう?
注意事項が一つだけあります。
例えば、質問してもらって、その理由を話してもらって、丘山先生のお話を聞くことになるんですけど、そこで聞くだけでなくて、問いをもってほしいです。丘山先生はコミュニケーションをとりたい方ということで、急に質問が飛んでくる可能性もあります!
フリーズしてもいいですよ。意見を持って帰ってもらうのもいいのですが、問いを持って帰ってもらうことも意識してもらえたらなぁと思います。
では、始めていきましょうか。
早速ですが、聞いてみたいことがある方いらっしゃいますか?



—参加者女性
「学び続ける生き方とは?」
私たちが生きてきている年代と子どもたちが受けてきている教育ってとても違っていて、世の中も変わっていて、ジェネレーションギャップの一言で片付けたくない、と思う。
そして、大人も学びたいなぁと思うんですよ。そういう生き方って、私だけなのかなぁって思うと不安になったりしてしまいます。
そこも、世の中の意見と違いを感じたりすることもあって。
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—丘山先生
これは僕にとって、常識的な生き方だからなぁ(笑)あんまり、当てて欲しくなかったなぁ。(笑)
一番困る質問があって、「どうやると成績が上がるのか」っていう質問は来てほしくないなぁと思ってましたけど(笑)
ただ、「学び続ける生き方とは?」と「どうやると成績が上がるのか」は関連していると思っています。

勉強する時に、大きなテーブルで勉強するのが好きで、親は親で勉強して、子どもは子どもでそっちで勝手に好きなことをやっている。1つのテーブルで、みんながそれぞれ自分のことをしているっていいですよね。最近は自分の部屋をみんなが持つようになったりして、個別の空間で机に向かって勉強とか仕事とかをする機会が増えてきているみたいだけど、1つのテーブルで親子が一緒に勉強や仕事をしていると、子どもが「お父さんこれ教えて」「どうなってるの?」と聞くことができて、父親も答えられる環境にある。
 けど、大人は大人で一生懸命に勉強している。子どもが勉強をしていない時でも、こっちはこっちで学んでいる。それは何か寂しんじゃないかな。
机に向かうだけが、学ぶだけが勉強じゃないんだけど、外でいろんなカルチャーセンターに行って勉強する感じではないんですけど、学ぶっていうのは僕の場合は「考える」「問う」ですね。
とどのつまり、自分がどうやっていくかを生涯に渡って考え続ける。それが僕の人生なんですけどね。

基本的には僧侶は特にそこをやりますね。「生老病死」生き死に、を問い続ける。何故生きていくか、を問い続ける。学び続けるということ。
「学ぶ」というのは、何か必要があってこそ学べる。問いがそもそも、その人やその子にないと学べないんですよ。
だから、学ぶということは=問いを持ち続ける、と言うことになるんですよ。これは子どもだけじゃなくて、親や大人もそうですね。


 天邪鬼だから言いますが、特にこういう子育ての会では「これが、大切です!」や「これが本質です!」とかよく聞くことがあるんですが、「これが大切だ!」とか誰がわかるんだろう、と内心ふと思うんですよね。講師の先生に「これが大切です!」と言われて、「あ、そうだそうだ!その通りだ!」と常に思わないでほしいんです。常に、本当かな?といつも疑問を持っていてほしいですね。
あとは誰かの意見を聞いて、自分の意見とは全く異なったことの場合、「彼が言ったのは間違いだ!」じゃなくて、「僕だったらこう考える」とかがいいと思いますね。
皆さんも、僕が今日、こんな風に言ったから、これが正解だ!じゃなくて、あいつはこう考えるんだなぁと思ってほしい。
どっちの意見が正解だ!ということが重要ではなくて、自分だったら、こう考えるかな。というのが、そっちの方が大事。自分で考えていくということですね。
子どもに対してもそれは同じことですね。「お父さんはこう考えるけど、お前はどうだ?」とか聞いてみる。
親や大人の考えを押し付けるんじゃなくて、お父さんが自分自身にも問い続けて、子ども(相手)にも問い続ける。



—司会
一緒に勉強することが大事と初めにおっしゃられていましたのは、ただ勉強するだけではなくて、問いを共有することが大事っていうことですか?


—丘山先生
やっぱり、子どもが自分の部屋で勉強するのはあんまり好きじゃないかな。
食卓で勉強した方が、だらしないけれどもなんかいいよね。そんな気がしているなぁ。



No.2「信じているは親の身勝手?」に続きます。


No.1の記事はこちら「ジグザクな人生の歩み。学び続ける生き方」
No.3の記事はこちら「マイナスの経験の中で思うこと」
No.4の記事はこちら「自己の肯定とは何か?」



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2017.12/13 更新