えんとつ町のプペル「信じぬくんだ。たとえひとりになっても」

えんとつ町画像 (1)

『えんとつ町のプペル』にしのあきひろ作(幻冬舎)

 
 


この作品の舞台「えんとつ町」は、黒い煙に覆われて陽の光が指さない閉じられた世界。

 


主人公の少年ルビッチは、素直な言動がたたって、「空気を読めよ」と周りからいじめられています。まるで同調圧力が蔓延する、息苦しい現代社会そのものです。

 


ルビッチにとっての唯一の希望は、黒い煙の上には輝く星があると信じること。

 


星の存在を教えてくれたのは、いまは亡きルビッチのお父さんでした。「信じぬくんだ。たとえひとりになっても」。たとえ周りが何と言おうとも、気にしなくていい。常識に屈することなく、信じぬけ。父のこの言葉を思い出すたび、ルビッチは励まされます。

 


この言葉を見たとき、ブッダのことば「犀の角のようにただ独り歩め」(『スッタニパータ』)を思い出しました。「サイの頭部の一本角のように、独りで自らの歩みを進めなさい」。孤独を恐れてはならないということです。良い人間関係は自分を成長させてくれますが、悪いつながりは自分の心を乱すこともあります。孤独と向き合うことで、自分が本当は何を求めているのかを知ることができます。

 


子どもも、大人も、何かと生きづらいこの世の中。安易なつながりを求めて、ネットを利用する人も少なくありません。そんな中、この作品は私たちにエールを送ります。

 


「信じぬくんだ。たとえひとりになっても。」

 


孤独と向き合う勇気を与えてくれる気がします。