幸せってなんなのかを考えさせられる絵本

絵本1-100万回生きたねこ

題:『100万回生きたねこ』
作・絵:佐野洋子
出版社:講談社(http://www.kodansha.co.jp)

—–幸せってなんなのかを考えさせられる本


最近、スイス発祥の死についてカジュアルに語る会「Deathcafe」が、世界をはじめ、日本でも広がりを見せているそうです。私も実際に「死ってあなたにとってどんなイメージ?」というテーマの会に参加したことがあるのですが、普段思っていた「死は触れちゃいけないもの」「死は怖いもの」等というイメージは、どこかへ飛んで行き、会の終盤には「今をしっかり生きよう!」と前向きな気持ちで会場を後にした記憶があります。


勿論、大切な方との別れはすごく寂しいし、自分自身が死んでいくということをリアルに考えると、すごく怖い自分もいます。しかし、だからといって「死はただただ怖いもの」「ずっとずっと生き続けられたら幸せだ」という風にはどうしても考えられなくなりました。じゃぁ、本当の幸せって、一体なんなのだろう?私は何の為に生きているのだろう?と改めて考えた時に、ふと、小さい頃に母に何度も読んでもらった、この1冊の絵本を思い出しました。


主人公のとらねこは、死ねないねこ。何度も生まれ変わり、死に変わり、どの生でも沢山の人々、猫々(?)に愛され、色々な贅沢をし尽くすのですが、ちっとも自分の幸せを感じられない、そんなねこでした。自分のことが一番大好きで、死んでもまた生き返るんでしょ?とあっけらかんとした、このねこのふてぶてしさが大好きで、でも何を尽くされても幸せを感じられないそんなねこの姿が切なくて何度も読んでもらったことを覚えています。


しかし、大人になった今、もう一度この絵本を読み返すと、自分が一番かわいいと思う姿、死をリアルに捉えていない姿、贅沢を尽くしてもなんだか満たされないそんな姿は、私自身のことなのかもしれないと思う様になりました。では、この主人公のとらねこ、いったいどうなってしまうのか…続きはどうか作中で。


私にとっては、大人になった今でも、切ないながらも、心をほっと温め支えてくれるそんな一冊です。皆さんにも読んでいただけると嬉しいです。



2017.7/3 更新