「四方八方、十方丸く」 JIPPO_第4回 「紅茶は何故、赤い?」

 

【第4回】

「平和構築」、「貧困問題」と「環境問題」の解決、「災害支援・復興」の目的完遂、これらに向けて各種事業活動を展開しているNPO法人JIPPOは、「すべての存在と営みは互いに関係しあい支えあっている」という仏教の縁起の教えにのっとり、親鸞聖人の「世のなか安穏なれ」という願いのもと、浄土真宗本願寺派の社会事業活動の一環として、2008年に設立されました。

同法人の専務理事の中村尚司(なかむらひさし)さんは、日本有数のアジア研究者でもあり、社会問題にも取り組む活動家でもあります。アジアの社会問題やJIPPOの活動について教えを請います。

適正価格での輸入、商品提供をするフェアトレード事業を実施しているスリランカを巡る話です。今回は「紅茶は何故、赤い?」というテーマで、スリランカにおける紅茶事情についてお話をいただきました。

 

 

 
JIPPOの文字

 

 

「紅茶は何故、赤い?」

 

 

インタビュアー(以下、「イ」):スリランカのプランテーションには、どんな植物を植えたんですか?

 

中村尚司さん(以下、「中」):元々はコーヒーだったんだよ。

 

イ:えっ?!コーヒーですか?スリランカって紅茶かと思っていました。

 

中:元々スリランカは、イギリスの植民地時代にコーヒーの栽培が盛んに行われ、世界指折りのコーヒー輸出国だったんです。

 

イ:イギリス人は紅茶好きなイメージがありますけど、元々はコーヒー文化だったんですか?

 

中:そうだよ。今のイギリスの若者たちは、コーヒーを好んで飲んでいると聞いたことがあるよ。

 

イ:そうなんですね、イメージと違っていて驚きです。

 

中:ところが1870年代の終り頃、害虫の大発生によりコーヒーの樹が壊滅的被害を受けます。また、コーヒー生産が急速に発展したブラジルとの競争にも負けて、スリランカのコーヒーはだんだんと衰退していきます。

 

イ:コーヒーと言えば、ブラジルやキリマンジャロのイメージです。スリランカがコーヒー大国だったとは、意外です。

 

中:スリランカのコーヒーの人気がなくなっていった同時期に、イギリスの紅茶生産技術者たちは、インドでの紅茶生産に成功を収めます。

 

イ:それじゃ、紅茶発祥の地はインドなんですか?

 

中:いやいや、違う。インドも紅茶は有名だけどね。紅茶のルーツは中国の緑茶です。もともと緑茶は中国でのみ生産されているものでした。

 

中:紅茶誕生には、面白い逸話があるんだよ。

 

イ:是非、教えてください。

 

中:イギリスは中国で作った緑茶を自国に持って帰るため船で輸送していたら、長い航海のため、お茶が腐って発酵してしまったんだ。しかし、捨てるのはもったいないと思ったイギリス人が試しに飲んでみると、意外や意外、それがとても美味しかった。しかも、色も赤味をしていてとてもきれいだったんだ。

 

イ:えっ?!お茶が発酵して、紅茶になったんですか?!

 

中:そう。俗説だという意見もあるけどね。

 

イ:なるほど。そんな逸話を聞くと、紅茶が身近に思うようになりました。そもそも、紅茶って、緑茶が発酵されてできたものだってこと自体、知りませんでした。

 

中:私たちは、そこにあるものの製造過程なんて、日常では気にしないもんね。

 

イ:全くです。紅茶って、最初から紅茶だと思ってました。

 

中:美味しかったら良いもんね。(笑)

 

イ:お恥ずかしいことです。イギリスはインドで紅茶製造に成功して、その後、スリランカでの栽培を拡げていったんですか?

 

中:そう。イギリスは、自国の植民地で生産した方が経済的に有利な為、 「イギリス帝国紅茶」の生産を拡大すべく紅茶園をスリランカにも広げていきました。

 

イ:植民地政策の一貫だったわけですね。

 

中:そうだね。スリランカは、害虫発生により閉鎖されたコーヒー農園の跡地に茶の木が植えられ、 どんどん拡大され、大規模なプランテーションが次々にひらかれていきました。

 

イ:イギリスが紅茶農園をスリランカに決めた理由ってあるんですか?

 

中:スリランカの気象条件は紅茶の生産に合っていたことは理由の一つかな。特に強い日差しと冷涼な気候を兼ね備えた山岳地帯で生産される紅茶は香味に素晴らしい。あと、コーヒー農園の跡地があったというのは大きかっただろうね。

 

イ:スリランカの紅茶って有名ですよね?セイロン・ティーですよね?

 

中:そう。スリランカの紅茶は、旧国名のセイロンにちなんで、セイロン・ティーと呼ばれます。その中でも特に、ウバ茶は高級茶の一つに数えられるんだよ。

 

イ:ウバ茶、聞いたことあります。

 

中:JIPPOは、設立当初からスリランカ・ウバ州のハプタレーにある紅茶プランテーション農園の「グリーン・フィールド」とウバ茶のフェアトレードを行なっています。

 

イ:そんなに高級なものだったなんて、知りませんでした。これからは、コンビニのコーヒーよりも、JIPPOの紅茶を飲みます。

 

中:別にそれは好きにすれば良いよ。(笑)

 

 

<次回は「フェアトレード」についてのお話です。>

 

中村尚司(なかむらひさし)

1938年生まれ、京都市出身。京都大学卒。龍谷大経済学部教授を経て、現在は同大学名誉教授、同大学研究フェロー、NPO法人JIPPO専務理事。

 

NPO法人JIPPOのウェブサイト

http://jippo.or.jp

 

 

2015.9/14更新