僧シャル見聞録 JIPPO野宿者支援01

JIPPO野宿者支援

 

四方八方、十方丸く

 

「平和構築」、「貧困問題」と「環境問題」の解決、「災害支援・復興」の目的完遂、これらに向けて各種事業活動を展開しているNPO法人JIPPOは、「すべての存在と営みは互いに関係しあい支えあっている」という仏教の縁起の教えにのっとり、親鸞聖人の「世のなか安穏なれ」という願いのもと、浄土真宗本願寺派の社会事業活動の一環として、2008年に設立されました。

今回はJIPPOの活動の一つである、野宿者支援について専務理事の中村尚司(なかむらひさし)さんに伺ったお話を前編後編に分けた、前編をご紹介をさせていただきます。

 

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インタビュー(以下「イ」):JIPPOは、フェアトレードなど海外への支援だけでなく、国内でも積極的に社会活動を行っていると聞きました。具体的には、どのような活動を行っているんですか?

(JIPPOの海外支援に向けての記事:

http://tarikihongwan.net/soucial_network/5075.html

 

中村専務理事(以下「中」):国内に向けた活動として、京都の野宿者支援活動をしています。

 

イ:何故、そのような活動を行なうようになったんですか?

 

中:京都夜回りの会という、野宿者支援をする大規模な団体があります。その団体で、支援が行き届かない箇所をJIPPOが引き受けました。具体的には、京都市内の3つの河川敷です。

 

イ:今でも野宿者は結構多いんですか?四条の鴨川を歩いていると、ここ1、2年は、野宿者の方が結構減ったような気がしてて。

 

中:5年前に始めたときは、3箇所で40名ほどの野宿者がいました。だけど、現在では、3箇所で4.5名です。0.5名の意味は、野宿者を続けるか、抜け出すか迷っている最中だという意味です。

 

イ:40名が、4.5名まで減った理由は何ですか?

 

中:その理由は、京都市で2011年4月1日に施行された「空き缶回収禁止条例」が施行されたことの影響が大きいですね。空き缶回収を禁止する代替えとして、生活保護を支給し、マンションに住めるようにしました。その他は、万引きで留置所、殺人罪で刑務所や、うつ病で精神病院に入院している方もおられます。

 

イ:行政の政策が大きく影響しているんですね。野宿者襲撃の事件を考えると、やっぱり、マンション生活は落ち着くような気がします。

 

中:それでも野宿を続ける者たちは各地を転々としているようです。中高生に火をつけられるなどのいたずらをされるため、より集まって生活しているケースが多いです。

 

イ:相当身の危険を感じられながら生活されているんですね。

 

中:一方で、野宿者は生活保護によって、それまで築いたコミュニティから抜け出ることとなり、孤立してしまうケースも多いと報告されています。

 

イ:何がベストなのか…難しい問題ですね。

 

中:また、福島の被災者が京都へ移り住むケースも多かったんですが、その人たちは様々な支援を受けることができました。ある被災者の男性は、支援で得たお金をパチンコに使い、アルコール中毒にもなってしまい、結局は野宿者となった。同じようなケースは何人かいるそうです。

 

イ:支援って何なのでしょうか…。

 

中:難しい問題です。

 

<後編へ続く> 次回は8/10更新予定

後編では野宿者支援を始められたきっかけや、具体的な活動についてお話を伺います。

 

中村尚司(なかむらひさし)

1938年生まれ、京都市出身。京都大学卒。アジア経済研究所の研究員を経て、龍谷大経済学部教授。現在は同大学名誉教授、NPO法人JIPPO専務理事。

 

2016./8.5更新