ケニアの村でみつけた幸せのかたち−大下充億(おおしたあつお)さんのインタビュー−

山口県平生町で「こびとのおうちえん」という保育施設と、小学生を対象にした、子どもたちの主体性を尊重する場である「てらこや」を運営されている大下さんにインタビューさせていただきました。ケニアの村での出会いを得るまでずっと「幸せのかたち」を探し求めていた大下さん。「あなたの幸せってどこにありますか?」そんなことを考えながら読んでいただきたいメッセージです。


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———探し求めていた幸せのかたち

ケニアに行くまでは、「もっと自分を変えなければならない!」「もっと自分を高めなければ自分の思う幸せが得られない!」という思いでがむしゃらにいろんなことに挑戦していました。そんな思いで、ある宗教団体に入って修行をしてみたんですけど、何か違いました。20代の時はそうやっていろんなことを探し求めてきたけどわからなかったんですよ。「自分の中の空虚な心を埋めるのはいったいなんなんだ?」この想いが心から消えませんでした。


いつも背伸びをしていました。「もっと変わっていかないと幸せになれない」と強迫観念のようなものに追われていました。その過程で20代最後にケニアに行った時に、あの村での出来事でそんなものが全てはげ落ちていきました。ずっと外にばかり幸せを探し求めてたけど、自分の中に全てがあった、自分は自分のままでいいんだ!そう思えた時に初めて地に足が着いた、何かが腹の底に沈んだというか、自分の中に自分が戻ってきた感覚を得たんですね。忘れられない感覚でした。生まれて初めて満たされました。


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———なぜそんなに自分探しをされるようになったのですか?

中学生の時からとにかくお金を稼ぎたいという願望が強くて、16歳の頃からバイトをして、手元に15万円くらいあるような生活をしてたんですね。いろんなものを買って、いろんなものを手に入れて、それでもどこか満足できない自分をずっと感じていました。その頃あたりから「自分はなんのために生まれてきたのか。」「自分はなんのためにいるのか。」という想いが漠然と頭の中にありました。
20代の前半はお金を稼ぐことを考えて、途中からは初めて、お金じゃなくて、誰かのために何かをするということの素晴らしさに気づいて、ボランティアなどを始めました。それまでは自分のためにお金を稼いでたくさん儲ける、ということばかり考えてたんですけど、誰かのために何かをした時に今までとは次元の違うよろこびを感じた自分がいました。


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でも他人のために自分の意思を殺すのも違うし、自分が幸せになるために他人を犠牲にするのも満たされない。それで最終的に行き着いたのが、きちんと両者が立っていくという関係でした。それが理屈じゃなくて体験として自分の腑に落ちたのがケニアでの出来事でした。「人が生きるってこういうことだったんだ!」ってわかりました。


日本でもケニアの人たちのような暮らし方が成り立つなら、今の社会問題のほとんどは解決すると思うんです。もちろん日本とケニアではお金の問題も経済の問題も様々な違いがあるけど、そういうものとのバランスを取りながら、両方のちょうどいいところを取れるような、そんな暮らし方を模索してみたのです。その中で行き着いた一つの答えが、やはり子どもの時の育ち方の重要性だったんですね。子どもの時にどんな育ち方をしていくかで人間は全然違います。満たされて育っていくのか、「いい子のお面」をかぶって生きていくのかで。その答えを一つの形にしたのが今の「おうちえん」や「てらこや」です。


全4回にわたりこびとのおうちえん大下さんのインタビューを掲載しています。

【大下さんのインタビィー連載(全4回)】
第1回「子どもの心を育てる」(http://tarikihongwan.net/?p=9881
第2回「ありのままを認められる子育て」(http://tarikihongwan.net/?p=9896
第4回「体験が満たされた心を育てる」(http://tarikihongwan.net/?p=9910

 

2018.1/15 更新