ハワイ公演を終えて……複雑な文化の中での歌を通じて感じること。

図1

 

美しい海、フラダンス、ウクレレ、ワイキキ!あたたかな島の代表として名高い「ハワイ」。

 

歌を通して仏教の心を伝えていく取り組みをされているLIFE SONGSプロジェクトでは、今回、観光地としてだけではなく、移民、戦争、日本からの僧侶の派遣など多くの面で関わりの深いハワイにおいて、演奏をされました。

今回は、遠く離れたハワイという場所で開催されたハワイ公演についてのレポートをご紹介します。

 

 

 

<LIFE SONGS プロジェクト 代表 奥田章吾>

 

ハワイは日本人が移民した歴史があり、今も多くの日系人の方によってハワイ社会が成り立っています。ハワイに移り住んだ日本人が、日本から僧侶の派遣を要請し、ハワイの地に多くのお寺が建てられました。明治期にハワイにお寺が建てられてから、ハワイ開教区では、日系人だけでなく、人種・性別・国籍を超えた全ての方々にみ教えが伝わってきました。

 

しかし、時代が進むにつれ、日系人は3世、4世、5世…となり、メンバー(門徒)の方の宗教性や文化は複雑になってきます。また、日本人では家の文化が強くあり、伝統や宗教が家族へ受け継がれていきますが、ハワイでは個人の自由が重んじられ、宗教も自分で選ぶことが多くあります。

非常に複雑化した現代のハワイ文化に触れながら、公演を行うことは、とても刺激がありました。

 

 

ハワイの現状→浄土真宗本願寺派 国際センター

 

 

今回のLIFE SONGSでは、ハワイにあるモイリイリ本願寺とハワイ別院にて公演を行いました。

 

 

図2

 

 

ハワイ公演では、2人の日本人アーティストが演奏してくれました。1人目のアーティストは高田俊介さん。

 

高田さんは1曲目にルイ・アームストロング(LOUIS ARMSTRONG)の名曲「What a Wonderful World」を歌いました。

 

高田さんは歌う前に、

 

「この曲はベトナム戦争中に作られ、平和への願いが込められています。また、人間は、素晴らしい世界で愚かなことをしているというメッセージも込められています」

 

と語りました。現在の国際社会をみても、大変緊張した状況にあります。真珠湾攻撃[1]が行われた歴史があるハワイで、日本人の一人として、平和を切に願う高田さんの想いに、多くの人が胸をうたれました。

 

 

 

高田さんは2曲目にビートルズの「In My Life」を歌いました。

もともとこの歌が大好きだった高田さんでしたが、公演直前に指を怪我してしまい、この曲を演奏することが難しかったので、急遽、司会の奥田さんがギターを演奏しました。

 

 

この曲には、世の中の様々なものは変化してしまうけど、変化するからこそ、愛することができるというメッセージが込められています。

 

 

仏教では諸行無常(しょぎょうむじょう)と言いますが、これは悲しい真理なのではなく、変化するからこそ、全ての物事の有り難さに気づかされる真理と言えるのではないでしょうか。

 

 

高田さんは「物事は考え方ひとつで世界は幸せになると強く思います」と語り、緊張しながらも、まっすぐに歌を届けてくれました。

 

 

図3

 

 

2人目のアーティストは僧侶の好井正智さんです。

好井さんはジョン・デンバー(John Denver)さんの「カントリーロード」を歌いました。好井さんは、この曲を浄土真宗の立場から話してくれました。

 

 

—————————————————————– 

 

この歌には何度も「take me home」と出てきますが、私たちの故郷はもう1つあります、お浄土という命の故郷です。

しかし、このお浄土へは自分の力でいくのではありません。

この曲でも「go to」ではなく「take me」と言っています。

 私の力で行くのではなく、阿弥陀様という仏様が連れて行って下さるのです。

 

 —————————————————————– 

 

 

本当にそうですね。お浄土へ往き生まれるために必要なものを何一つ持っていない私だからこそ、「take me」だったのですね。改めて、阿弥陀様の大きなお慈悲のお心を聞かせていただきました。

 

 

また、2人のアーティストのそれぞれの演奏の他に、アーティストの2人と司会の奥田で日本語の曲を1曲歌いました。

その曲は「上を向いて歩こう」です。この曲は「Sukiyaki」として世界中で親しまれている曲です。阿弥陀様が常に私たちに寄り添って下さる歓びを味わう曲となりました。

 

 

そして、公演後に現地の開教使の先生方(僧侶)から世界には多くの宗教がありますが、「Please」の宗教が多い。「Please」と祈ってお願いをしていく宗教。

 

しかし、浄土真宗は「Please」ではなく、「Thank you」の宗教。すでに救いを受けていることを聞かせていただいているから「Thank you」となっていくのが浄土真宗ではないでしょうか、とお話を聞かせていただきました。

 

 

ハワイの寺院では、多くの仏讃歌を歌って、音楽は皆さん親しいけれども、多くの人が歌える楽曲を仏教的な視点で捉えていく活動とはなっていないので、このような仏教的な視点でお話をくださるのはとても良いと思います、とお声掛けもいただきました。

 

 

 

次回もハワイ公演のレポートをお届けします。

 

 

2018.3/30 更新