「家族に何をのこせるか」【みんなの人生僧談】

「僧侶の部屋」では、様々な経歴を持つ僧侶たちが、世の中のよくある悩みを勝手にテーマにして座談会形式で自由に話し合います。
 
あらゆるものは生まれ、そして死んでいきます。自分の死を考えたとき、「一体何をのこせるのだろうか」という疑念が頭をよぎる人は多いのではないでしょうか。
 

今日のテーマ:家族に何をのこせるか
年齢も高齢者に差し掛かかり、仕事を無事リタイアして、家族に何をのこせるか考えるようになった。お金以外に、家族に何をのこせばいいのか
 

《本日の僧侶プロフィール》
・田舎好き僧侶
大自然とスローライフをこよなく愛する僧侶。将来は畑をいじって暮らしたいと夢見る。
 
・サイバー僧侶
お寺生まれIT育ち。趣味が高じてIT業界に進むも、自らの使命に気づき僧侶の道に。最新機器への物欲が目下の悩み。
 
・絵描き僧侶
小中高と美術部で過ごしてきたイラスト大好き僧侶。最近の推しは駆け出し舞台俳優。
 
――
田:確かに自分にのこされた時間を思うと、家族に何をのこせるかは考えるよね。
 
絵:ご高齢ならいろんな方にお世話になっているはずでしょうから、余計にそう思われるんでしょうね。
 
サ:何をのこすかを考える時点ですごいことだよ。自分が何をしてもらうか、しか考えない人たちも多い。
 
田:何をのこすかを決めることと、これからの生き方はリンクしてくるから、今の時点でこれを決めておくことはとても大事だと思う。
 
絵:お金以外に何をのこすかって、けっこう迷われるでしょうね。人生の形のないものをのこしていくのももちろんなんですけど、いろいろ考えて最終的にのこすものがお金しかないっていう方も結構いるとは思うんですよ。
 
田:でも、僕はお参り先でよく言うんだけど、どういう風に困りながら死んでいくのかというありのままの姿や、どういうものを大切にしてきたのかという生き方をのこしていくことはとても大事だよ、やっぱり。
 
サ:そもそも、生き方とかそういうもの以外にのこせるものって何があるだろうか。そもそも何かのこさなきゃいけないのかな?
 
田:これは本質的な問いが来たね。
 
サ:意識して何かをのこすのなら、家族とはよく話し合う必要があるだろうね。相手が何を望むかは聞いておかないと。
 
田:それは、かなり難しいな。あたらためて家族と本音で話すことってかなり気後れする気がする。
 
絵:でも、一方的になにかを押し付けられても迷惑な場合もありますよね。それを避けるためにもよく話し合わないと。
 
サ:それに、家族との話し合いを機会に自分がどんな人間だったのかを気づかされることもある。何かをのこす以前に、自分がどんな人間かを知らないと。
 
田:あと、自分の場合は周りから何をのこしてもらったかを考えるのもいいかもしれない。形あるものばかりじゃなくて、言葉とか、ご縁とか。
 
サ:あと、無理に何かをのこそうとしなくても、大切にしていたものは自然にのこっていくって考え方もあるね。
 
田:そうだね。逆に、だからこそ自分の生き方は点検しておきたい。何かを大切にした生き方は、かならず周囲に何かをのこすから。
 
絵:のこせていないと思っていてもまわりは何かしら感じ取っているってことですね。
 
田:すべてのものは影響し合っている、というのは仏教の基本的な考え方だ。目の前の一日一日を大切に過ごして自分に何か大切にしているものがあれば、それがのこっていく。そこさえきちんと掴んでおけば心配ないよ。
 
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僧侶たちの議論はまだまだ続きますが、ひとまずここまで。
以上、僧侶の部屋での座談会でした。何かのヒントになれば幸いです。
   

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掲載日: 2020.06.19

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