「かえるのがっこう」設立の理由と堀之内さんの人生の歩み

 
自然が教えてくれる自由教育
 
――堀之内さんが目指しているフリースクールとはどういったものなのですか?
 
堀之内:僕が目指しているのは、カリキュラムなどがほとんどのことが自由な学校ですね。来ても来なくてもいいし、例えば1日9時から16時まで開くとして、その間いつ来てもいいし、いつ帰ってもいい。ずっと寝ていてもいいし、外で遊んでもいいし、海に行っても、山に行ってもいい。どこにどういった危険があるのかは、こども達に事前に伝えておいた上で、ですけどね。
かえるのがっこうのキャンプもそれに近い様な感じでやっています。
 
ただ共同生活なので、その中には必ずルールがある。だから、最近は「ルールの中に自由がある」って言い方をしています。
「自由には責任がつきもの」って言葉がありますが、それを僕はいろいろ経験してきた中で、本当にそうだと思うし、自分が好きなことをやって、好きな様に暮らすにはある程度「やらなきゃいけないこと」があると思います。そういうことも暗に伝えられたらいいなと思っています。例えば、「ここで自由に遊んでいいけど、最後には掃除をしてもらうよ」とか、「散らかしてものを失くしても自分の責任だよ」とか。
 
――やはり、そういうことを感じてもらうのは自然の中が最適なのですか?
 
堀之内:そうですね。自然が教えてくれるんです。例えば、磯に行った時に、濡れた岩の上で、足を滑らせると転けて痛かったり、転けなくてもひやっとしたりすると、次は気をつけようと自分で思いますよね。だから、こっちがいろいろと教えなくても、自然が教えてくれるんです。
 
僕がこの土地と出逢ったのも、ある友人に連れて来てもらったことがきっかけで、いつからか「ご縁」というものを信じているのですが、自然の中でこども向けのフリースクールをしたいと思っていた時に、たまたま出逢ったこの地に何かの縁を感じて、ここに来ました。
 

 
堀之内:よく「子育て」って言うじゃないですか。でも、それって違うのかなって思っていまして。こどもは「育てる」ものじゃなくて、こどもは「育つ」ものなのだと考えています。
ただ、こどもは育つ環境を選べないから、その育つ環境を作ってあげるのが大人の仕事だと思っていて、環境さえ整っていれば、こどもは勝手に育っていくんです。勝手に何かを感じて、勝手に学んでいくんです。だから「子育て環境」って言いますけど、そうではなくて僕は「子育ち環境」を作っていきたいと思っています。この「子育ち環境」を各大人が各地に作れば、こどもは色とりどりの花を咲かせると思います。
 
今の既存の小学校って、授業やカリキュラム、その他いろんなことにおいて、選択肢が他にない気がしていて、そうではない場所を作りたいなと考えています。選択肢がたくさんある場所。自由というのは、言い換えると選択肢がたくさんあって、好きなものを選べるということ。そして、その選択したものと結果を自分で引き受けるということ。自分で選んで起きた結果だから、他の誰のせいにもできなくて、自分で責任を取るしかない。もちろん、こどもだから責任を取るといってもこどもができる範囲で、ですが。
でも、だからこそ、自由っていうのは、人をたくましくて強くするのだと思います。そのことが保護者の方や、こどもたちに、少しでも伝わればいいなって思っています。
 

 
 

◯インタビュアー(黒瀬英世)のプロフィール◯
1990年、山口県宇部市・西秀寺の後継として生まれる。龍谷大学大学院実践真宗学研究科で、学生僧侶が中心となって、こども対象に仏教の教えを伝えるヒーローショー、「Jissenjya Project」を設立し、活動をする。(詳しくはこちら)大学院修了後、実家に戻り、法務(お寺のお仕事)とともに「めぐみ保育園」で、学童指導員としてこどもたちに振り回されながら日々奮闘中。
子育て・教育について様々な意見を持つ人々にインタビューし、その意見を自らの教育論を探るヒントにしようと奮闘中。

 

   

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掲載日: 2021.04.13

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