「チェコでお葬式をして、オランダで法事をしました」お寺の少ないヨーロッパで奮闘した僧侶の話│江田智昭さんインタビュー<前編>

(写真提供:江田智昭さん)

 

お寺に生まれたのに仏教を勉強してこなかった

 
――本日はよろしくお願いします。
では、江田さんの簡単な自己紹介からお願いします。

 
江田智昭さん(以下:江田):私は福岡県北九州市のお寺の次男として生まれ、高校までは地元の学校に通いました。大学は早稲田大学の社会科学部に進学しましたが、再度文学部に学士入学しました。その後は3年間ほど実家のお寺で法務をし、30歳頃からは築地本願寺内の仏教総合研究所に勤めていました。そこで、「ドイツのお寺で働いてみないか」と打診があり、ヨーロッパとのご縁をいただきました。
 
――生い立ちを振り返ってみて、子どもの頃から今に至るまで変わらない部分はありますか?
 
江田:とにかく世の中のさまざまなことに興味があるところです。特に、社会の動きなど刻一刻と変わるような事柄にすごく興味を持っているところは今も昔も変わっていません。住職だった父に「僧侶は社会の動きも把握しておかないとだめだ」と言われてきたことが影響しているかもしれません。
そういえば、私は小学校の高学年で『週刊文春』を読んでいたんですよ。こんな子どもいませんよね(笑)。
 
――小学生の頃から『週刊文春』にまでアンテナを張られていたんですね(笑)。その後はどのような進路に進まれたのでしょうか?
 
江田:大学までは社会学や政治学などを研究するゼミに入っていたので、そのまま大学院に進みたいと思っていたんですが、親に反対されまして。それに私自身、お寺に生まれたのに仏教を勉強していないことにどこか負い目があったので、社会科学部を一度卒業してから文学部に学士編入して、中国仏教の思想を研究しました。僧侶になったのもその頃です。今考えると、そのときに仏教の勉強をしておいてよかったですね。
 
私は浄土真宗の僧侶になってから、その後中央仏教学院や伝道院でも勉強しましたが、浄土真宗だけが仏教ではありません。大学時代に仏教の全体像を学んだことによって、仏教の世界がとても広いものになった気がします。その経験や知識はその後の人生にも活きています。
 
 
 

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掲載日: 2021.10.25

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