無名のお坊さんTikTokerが「バズる」まで|上本周作さん(しゅうさん)インタビュー<中編>

 

「バズり」の秘訣は「真似」だった

 

(画像提供:上本さん)

 
――そこから、どういった経緯があって再生回数が伸びていったのでしょうか?
 
上本:人気の動画を参考にしたのがきっかけだったんです。
あるとき、おすすめ欄に200万回再生された動画が出てきて、観ると自分の心にすごく響いてきたんですよね。
 
それは、SEKAI NO OWARI(セカイノオワリ)というアーティストのDragon Nightという楽曲をBGMに、映画「戦場のアリア」のワンシーンを流し、クリスマス休戦のエピソードを紹介したものでした。
1912年12月14日、第一次世界大戦でイギリスとドイツが戦争をしている中、ある青年将校が「クリスマスぐらい休戦しよう」と声を上げたというお話です。そのお話を通して「人と人はわかりあえるんだよ」、「憎しみ合うだけではなく、互いに分かりあえるものを持っているんだよ」という内容を伝えています。
 
クリスマス休戦を題材にした動画はいくつかあったものの、どの動画も肉声のナレーションがついていないことに気づいたんです。
で、アテレコした動画を投稿してみたら、ヒットしたんですよ。なんと1日で10万回再生。初めての「バズる」(インターネット上で人気・話題になること)経験をしました。最終的に、1週間で30万回くらい再生されるという大記録を達成しました。
 
――それはすごいですね!人気になった要因は何だと思われますか?
 
上本:まず、参考にした動画が何百万回と再生されていたことが大きいですよね。それをTTP(徹底的に真似することで自身の成長につなげること)しているので、ある程度当たるだろうと予想はしていました。加えて、戦争という悲しい現実に対して人びとの共感を得やすかったんだと思います。
やっぱり争うではなく、手を取り合うのが大事、というメッセージにSEKAI NO OWARIの歌が見事にマッチしているんです。すべてがうまく作用した結果だと思います。
 
今回、学ばせていただいたのは、人気の動画を徹底的に参考にすることでした。また、世間から何が求められているのか? TikTokはどんな動画を求めているのか?を考えて制作することで、より多くの人に見ていただけるようになると感じています。
 
――その後、100万回再生を達成されたということですよね。それはどんな動画だったのでしょうか?
 
上本:100万回再生されたのは「許す」をテーマにした動画でした。
「アーマンド・ガララーガの幻の完全試合」はご存知でしょうか。大リーガーのガララーガ選手は、ある試合で9回2アウトまで完全試合(一人もヒットやフォアボール等を出さない状態で試合に勝利すること)状態だったのですが、審判の誤審によりあと一歩のところで完全試合を逃した、という出来事です。
その後、その審判は過ちを認め、ガララーガ選手も許した、というお話を題材に、「許す」についての仏教的な精神をお伝えした動画を制作したんです。
 
投稿するやいなや「いいね!」や「新規コメント」の通知が止まらなくなりました。他の動画にも波及して、再生回数が急伸したんです。その時はものすごい勢いを感じましたね(笑)。
 
――試行錯誤された分、喜びもひとしおですね。
 
インタビューは後編に続きます。後編では、100万回再生を達成された上本さんの、その後についてお伺いしました。
 

 

   

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掲載日: 2022.06.28

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