花それぞれが活かし合う?お佛華の生け方とコツ│藤田徹信さんインタビュー<前編>

 

お佛華のキホン

 
――生け花とお佛華の違いは何なのでしょうか?
 
藤田:共通する点も多いと思うんですが、違いといえば花を見る距離と花の密度でしょうか。
 
生け花のお花は、どちらかと言えば近くで見て楽しみます。近くで見る場合、花と花の間の空間も美しさとして評価されるので、背景に隙間があってもいいんです。別の言い方をすると、花のすぐ後ろに床の間の壁や衝立、屏風など背景があるので、それらが花を際立たせると言えるかもしれません。
 
お佛華は内陣のお花を外陣から仰ぎ見る視点であるということに加えて、見る人と佛華の間にもけっこう距離がありますし、花の背景にも奥行もあります。お佛華は花と花の間に空間があると、遠くから見たときスカスカな印象になり、周りの金箔に花が溶けて、ぼんやり見えてしまいます。だからこそ、内陣の金箔と奥行きのある空間の中でも花がぼやけないために隙間を埋めて、背景(松、ヒバ、ハランなどの青もの)で輪郭をはっきりさせる必要があるんですね。
 
また、お佛華には空間の制限があります。お佛華が仏具に接触したり、ご本尊や御影像を遮ったりするようなことがないように心掛けます。お花だけが主張することなく、内陣の中に調和し、そのうえで仏前のお供えであるということを大切に、見る人には佛華だけでなく全体としてお浄土の荘厳として「いいなぁ」と感じていただけるように心掛けています。        
 

 

(写真提供:藤田さん)

 
――主張しすぎてもいけないけど、ぼやけてもいけない。非常にバランスが難しいんですね。
仏説阿弥陀経の「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」という節のように、花それぞれがそれぞれの色に光り輝きながらもお互いを活かすようなイメージでしょうか?

 
藤田:そうですね。お互いを活かすような、調和がとれた色使いになるよう心がけていますね。
 
――お荘厳同士、花同士、邪魔しないだけでなく支え合っているんですね。
それでは、お佛華によく用いられる材料を教えてください。

 
藤田:材料は季節ごとに変わります。
まず役枝(やくえだ)と言って主要な役割をする部材に、①真(しん)②正真(しょうしん)③副(そえ)④受(うけ)⑤控(ひかえ)⑥流(ながし)⑦胴下(どうした)⑧控下(ひかえした)⑨前置(まえおき)と9つあり、これに背景の隙間を埋める⑩囲い葉(かこいば)を加えて10種の部材があります。
役枝には、松、ヒバ、マキ、イブキ、ハランなど他にもたくさんありますが、主にこれらを使います。
 
これら後ろ盾となる役枝の前と間に花が入ります。花を挿すために受け筒という竹筒を前後各所に設けて花を挿していきます。
花にも役名があって、①正真前(しょうしんまえ)②見越(みこし)③副下(そえした)④受下(うけした)⑤胴(どう)⑥色切(いろぎり)と6つあり、この他、正真の下に⑦花座(はなざ)、胴の横に⑧胴あしらい、胴の下に⑨胴支えを加えることもあります。
 
図1が完成図で、図2が対応した花材、写真は完成した佛華です。これは夏の花材です。
 

図1

図2

 

(画像提供:藤田さん)

 
 

お佛華を生けるコツとは

   

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掲載日: 2022.11.14

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