自分にできる精一杯を。藤田徹信さんが歩んだお佛華の道│藤田徹信さんインタビュー<後編>

 

(写真提供:藤田さん)

 

受け継がれてきた手順を大切に

 
――お佛華を生けてこられた中で、失敗やご苦労されたことを教えてください。
 
藤田:花の水揚げが上手くいかず、生けた花が咲かずに萎んでしまったことがあります。花は市場から帰ると水切りと言って水中で茎をきるなどの処置をしないと、水が上手く上がらず咲かないことがあります。あとちょっとで完成というところでこんな事態に見舞われて、何とも言えない気持ちになったことがあります。
これはまた別の話ですが、山から切り出した松を水につけて置いていたのですが、日向で数日管理していたため、西日で焼けて茶色くなってしまったことがあります。以後、水揚げと直射日光には気を付けています。みなさんもどうかお気をつけください。
 
あとこれは最近でもよくあることですが、お佛華を生ける時間が足りず、ご法座の前に徹夜をしたことですね。大体ご法座があるとその二週間くらい前から段取りを始めます。そのとき使う松を山に切りに行って、持って帰ってきたらしばらくは水につけておくんです。そうしてタイミングを見計らって釘打ちをして、やっと形をつくっていける。
松は枝を剪定しているように見えますが、幹に枝を釘やワイヤーで打ち付けて固定しているんですよ。その釘打ち作業自体も手間はかかるのですが、スケジュールが狂ったり、ああでもないこうでもないと悩んだりしていると、法座当日の朝までかかることもありますね。
 

釘打ちをした松(写真提供:枝廣慶樹さん)

 

(写真提供:藤田さん)

 
 

手間暇をかけても大切にしたいこと

   

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掲載日: 2022.11.15

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