「相手を大切に」柔道を教えるお坊さんが伝えた生きるうえで大事なこと│藤岡教顕さんインタビュー<後編>

 

柔道を生き方に

 
――柔道は他人を思いやる競技なんですね。他に指導のうえで大切にされてきたことはありますか?
 
藤岡:これもまた相手がいるからですが、自分の思い通りにならないことを知ってほしかったですね。思い通りにならないことを知っているからこそ、強くなれるし、勝ったとき心の底から喜べるんです。
 
相手も必死に練習して挑んでくるので、思い通りに試合は運びません。だからこそ、こちらも練習を重ねて、何度も何度も挑戦して、やっといろんな局面に対応できるようになります。その積み重ねの先に勝利があるんだ、と教えていましたね。
思い通りになることを当たり前だと思っていると、思い通りにならなかったとき、自信をなくしてしまうんです。
 
――スポーツを教えるときに技術や体力も大事ですが、精神面を学ぶことも重要なのでしょうか。
 
藤岡:人生はスポーツだけで終わるわけではないので、学生には柔道を生き方に反映してほしいですね。例えば就職活動の面接で「私は柔道をやっていました」と言うだけじゃなくて、相手を大切にすることなど、柔道を通して身についた価値観、言動をこれからの人生に活かしてほしいです。
教えていた当時、学生はうるさく感じていたかもしれませんが、そんな学生が「先生の言っていた言葉の意味がわかりました」と言ってくれたりするんです。嬉しいですね。
 
――最後に今後のご展望をお聞かせください。
 
藤岡:自分のできることを少しずつ積み上げていって、世の中に仏教が広まるように、浄土真宗のみ教えが拡がるように、活動していきたいなと思います。
 
――ありがとうございました。
 

(写真提供:藤岡さん)

 
 

編集後記

 
あるときは講演を通して、あるときは柔道を教えることで仏教のみ教えを伝えられている藤岡さん。「学生さんたちに対しても、僧侶の視点で話されることはありましたか?」と聞くと、「いつもですよ」と即答されました。
柔道の指導者と僧侶を分けて考えるのではなく、僧侶の藤岡さんにしか教えられない柔道があり、柔道家だからこそできる伝道がある。
新たな僧侶像を教えていただいた気がします。
藤岡さん、ありがとうございました。
 
 

プロフィール

 

 
藤岡教顕(ふじおか・きょうけん)
浄土真宗本願寺派 大音山 明導寺住職
コンビ名「Seppo-CCQ」として漫才法話を中心に活動。
平成15年まで龍谷大学柔道部を指導。現在は湯前少年柔道クラブの監督。
(参考:Facebook
 
 

   

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掲載日: 2023.01.19

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