嫌なことも楽しいことも!受け止め方は「線」が大事│永田弘彰さんインタビュー<前編>

 

「線」で物事を考える

 
――お父さんの死を受け止められるようになったんですね。
 
永田:浄土真宗の教えは、父の死が現在の自分を支えてくれているんだと考え方を転換させてくれたんです。浄土真宗を勉強するまで、私は「死=THE END」だと思っていたんです。父とのストーリーが終わったと思っていましたが、浄土真宗によって捉え方が変わりました。点と点が線になっていく感覚でしょうか。
 
――「点と点が線になる」とはどういうことでしょうか?
 
永田:父の人生、私の人生、父の死、私の生……、これらは全て独立しているのではないと気づかされたんです。この世は良い出来事ばかりではなく悲しい出来事もあります。でもそれらは全てつながっていて、過去に悲しいと思った出来事もそれだけでは終わらない価値観を教えていただきました。点で考えればどうしても死別は悪いことだと思ってしまいますが、線になることで、一つの点が良いことか悪いことかの二択では無い世界が開かれると思いました。
 
その意味で、お寺は線で見やすい場所だと思います。過去帳や遺影があるので、昔話をしやすいですよね。あのときはああだった、となくなった方の生い立ちを雑談の延長で話したり、法事で昔話をしたりすると、線を感じますね。
 
実は、真浄寺は一度全焼したことがあったんです。当然お寺を閉じる話も出たと聞いています。しかし門信徒の強い説得もあって、4km離れた山から丸太を運んで、お寺を建て直したそうなんですよ。燃えたという点で見れば最悪の出来事ですが、その点が線になることで、今こうして住職をしている私の覚悟に繋がっています。
 

(写真提供:永田さん)

 
 

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伝え、教え、笑わせる僧侶に聞いたお坊さんの「これから」|永田弘彰さんインタビュー<後編>
   

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掲載日: 2023.03.29

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