欲望の世界を超越した彼の岸【釈尊のことば】

釈尊のことば⑯ーー本願寺派総合研究所所長 丘山 願海
(『本願寺新報』 2015年(平成27年)9月10日(木)号より)
 

 

智慧ゆたかに、流れを渡り、彼岸に達して、完全な安らぎを得て、心が安住した聖者(しょうじゃ)におたずねいたします。家から出てさまざまな欲望を除いた修行者が、正しく世の中を遍歴するには、どのようにしたらよいのでしょうか?
(スッタニパータ359偈)

 
今回はお彼岸にちなんで、この偈(げ)を選んでみました。釈尊を釈迦牟尼(しゃかむに)と言いますね。釈迦族の牟尼、「沈黙を守る聖者」を意味しています。釈尊は、当時、釈迦族出身の尊い方と言われていたのです。なぜ尊いかというと、私たちの日常的な知恵とはまったく違う、瞑想(めいそう)の実践によって人知を超えた特別な智慧を体得した方だからです。ここでの智慧というのは、原語は「般若(はんにゃ)」です。経典での使い方を調べてみると、自分の内面や世界のあり様を「在(あ)りのまま」「在るがまま」に見抜く智慧のことです。
 
逆に言うと、私たちは自分の欲望や感情によって、自分のことや世界を在るがままには見れていない、自分に都合よく見ている、ということになります。そして、そのことにさえ気づいてはいない!
で、そういう尊い方が欲望や輪廻(りんね) の激しい流れを渡り、つまりこの欲望の世界(此岸・しがん)を超越し、悟りの境地に到達したところを彼岸というのです。
 
お彼岸は、この言葉にちなむ仏教行事ですが、インドや中国にはなく、日本発祥の素晴らしい行事です。春分や秋分の日は太陽が真西に沈むので、日没を観じ極楽浄土を思い浮かべ、極楽に生まれることを願ったことに由来するといわれます。さらに民間的な習俗と融合し、祖先も敬うようになったのです。
お彼岸はお寺に詣(もう)で、阿弥陀さまにゆったりと向き合い日常の生活を振り返ってみましょう。
 

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記事作成:他力本願.net
掲載日: 2021.03.17