「家族葬のパイオニアが見通す葬儀の近未来」│株式会社オフィスシオン会長 寺尾俊一さんインタビュー<前編>

寺院葬はもともと門前払いされていた

 

業務中の様子(写真提供:寺尾さん)

 
――家族葬が伸びていったのですね。
 
寺尾:そうなんです。しかしその後、2008年頃から、家族葬をうたう会社が乱立し始め、競争が激しくなりました。2010年頃から差別化をはかり、お寺さんとのコラボを考え、寺院家族葬をつくっていくことにしました。葬儀会館では宗教的満足度が得にくいと感じていました。山門をくぐって本堂に入り、御本尊と向き合うことで、宗教的な満足感が得られるのです。
 
宗教離れ・お寺離れが叫ばれていますが、だからこそ葬儀を機会にお寺に来ていただきたいと考えました。寺院家族葬の企画のチラシをお寺さんに配布し始めた頃は、ほとんどが門前払いでした。お寺に本堂使用料を納めることができますし、葬儀後に納骨堂をご案内することで、お寺への接点が増えるという利点を提案しました。
 
しかし、葬儀開館で全部やってくれているものを、なぜもう一度お寺でやらなければいけないのか。準備が面倒だと言われました。また、不特定多数の人がお寺に出入りするのは物騒だということでした。お寺が地域に根ざしていないため、参列者が大勢お寺に集まると近所の理解が得られず迷惑だという事情もあったようです。
 
そもそも周りのお寺を気にして、何か新しいことを始めるのが嫌だ、というお寺さんも少なくありませんでした。いまとなっては、寺院家族葬が増え、それに伴い納骨堂も普及しています。宗教的な価値をしっかりと提供すれば支持され、必ず残っていけると確信しています。
 
 
インタビューは後編に続きます。後編では、葬儀の必要性や、僧侶に求められることをお聞きしました。
 

   

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掲載日: 2021.11.29

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