直葬が増える時代に伝えたい葬儀の宗教的価値|株式会社オフィスシオン会長 寺尾俊一さんインタビュー<後編>

読経だけではもったいない?葬儀の現場で、僧侶が求められること

 

(写真提供:寺尾さん)

 
――宗教者の役割はなんでしょうか?
 
寺尾:安心を与えることだと思います。遺族や多くの人々に対して、心の安らぎを与えることが大切です。宗派を問わず、すべてを認めて安らぎを与えることが日本の宗教の役割だと私は考えています。葬儀で法話をせず、読経だけで帰ってしまう僧侶の方が多いのですが、もったいないと思います。キリスト教の葬儀は参加型です。宗教者が参列者の方を向いて、わかりやすい日本語で語ります。そして、音楽を一緒に歌う一体感があります。そのような、わかりやすく伝える工夫をしているお寺さんの場合は、やはり門徒(檀家)さんも増えていますね。
 
――葬儀社と寺院との連携のあり方に、どのような可能性がありますか?
 
寺尾:近年、墓じまいが広がっています。お寺に納骨堂をつくり、お骨を受けいれてほしいと思います。我々葬儀社としては、そのようなお寺に葬儀をご紹介したいと考えます。葬儀ができて、納骨もできる、ワンストップな場所が求められています。そこにお孫さんも連れてお参りしていただき、親子3世代でお寺に親しんでもらうことが重要ではないでしょうか。
 
――ご自身の死生観を教えてください。自分だったらどんな葬儀を望みますか?
 
寺尾:自分の知人には連絡してほしいと伝えています。やはり、お別れにきてほしいですね。家族のように親しかった方が集まる場合は、何人規模になろうと家族葬といえると私は思っています。
 
――今後の展望をお聞かせください。
 
寺尾:弊社の事業としては、新規獲得や価格競争に付き合わず、リピーターとクチコミ紹介を大切にしていきます。そのような考えの仲間を増やしていきたいですね。昨今、政教分離がいきすぎて、日本人の宗教心が骨ぬきにされています。いまこそ、お寺さんも我々葬儀社も一緒に、宗教文化を育んでいきたいと思います。
 
――本日はありがとうございました。
 

プロフィール

 

 

取締役会長 寺尾 俊一(てらお・しゅんいち)さん
 
1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定資格)
葬祭コンサルタント
 
・厚生労働省認定技能審査資格 1級葬祭ディレクター
・グリーフケアアドバイザー
・儀典オーガナイザー
・葬祭コンサルタント
・東京大学市民後見養成講座修了
 
三重県出身 1962年8月15日生まれ AB型
東海大学文学部卒業
在学中の1983年より葬祭関係のイベント会社でアルバイト。
1985年 地元の葬儀社に入社。葬祭の実務現場業務を経験。 多い年は年間200件の現場を担当。
全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連) 一般葬祭専門士取得。
1992年大手冠婚葬祭互助会に移籍。
一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協) 葬祭士 取得。
現場業務の傍ら、葬祭会館建設の企画・宣伝広告企画プロデュース・人事労務管理を担当。
地方葬儀社の限界を知る。
1998年 関西の雄といわれる葬儀社に勤務。
ナンバーワン企業よりオンリーワン企業を目指す方向性を勉強。
2000年 オフィスシオン設立 代表になる。
   

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掲載日: 2021.12.07

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