目指すは、会話がはずむ賑やかな霊園|上野國光さん(日本石材産業協会副会長兼・㈱イオ代表取締役社長)インタビュー<後編>

聞き役に徹するとお墓参りが増える?お墓を取り巻くいまとこれから

 

(写真提供:上野さん)

 
――石材店やお墓の現状はいかがですか?
 
上野:近年は石の加工は外国で行うケースが増え、日本の職人の仕事が失われつつあります。加えて、樹木葬など石を使わないお墓も増えてきたため、石の需要が減っています。石のお墓にはメリットもあります。石に刻まれお名前は100年、200年と長期間残すことできます。しかし、人生100年時代になってくると、気になるのは老後の蓄えです。
 
自分が何十年生きるのか、というお金の不安が一番です。お墓に100万円もつかってしまっていいのかな、樹木葬でいいか、という選択になってしまいます。老後のお金の不安は大きく、お墓や葬儀にお金をつかうよりも、残しておきたいという方が多いです。
 
一方でお墓がお役に立てるチャンスもあります。近年、孤独な単身者が増えています。パートナーを亡くすと、孤立し寂しくなります。そのような人をどうサポートしていくかが課題です。子どもさんがサポートするのが一番良いかもしれませんが、代わりに私どもがお話を聴かせていただくことがあります。私が管理している霊園では、丁寧に日常会話をお聞きしていますと、自然とお墓参りが増えます。会話がはずむ、にぎやかな霊園です。
 
スタッフに対して、「参拝者と雑談しろ。ただし自分のことは話すな、聞き役になれ。」と指導しています。実はこのような傾聴は、本来お寺さんの役目だと思います。フーテンの寅さんの作品の中では、お寺がある街並みが描かれます。
 
元々、何か困ったことがあればお寺に相談していたはずですが、いまはなかなかお寺と会話をする機会がありません。核家族や単身世帯が増えているいまこそ、孤立している人のお話をお聞きすることが求められているのではないでしょうか。
 

これからの石材業界はどうなる?

   

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掲載日: 2021.12.15

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