家の墓から個人の墓へ。終活にお墓が欠かせない理由。|株式会社ココ・プランニング 中本隆久会長インタビュー<後編>

 

写真提供:ココ・プランニング

 

シンプルイズベスト。最後にふさわしいお墓のカタチ

 
――少子化・後継者不足など環境が変化する中で、これからのお墓はどうなっていくのでしょうか?
 
中本:少子化は事実ですし、一人っ子であればお墓は一つで十分ということになっていきます。これまでのような先祖供養のためのお墓から、自身のエンディングの場としてのお墓へとウェイトがシフトしていくのではないでしょうか。ニーズは多様化していきますが、基本的には、シンプルで小さいものになっていくと思います。
 
往々にして、最後の家やお墓は小さなものです。人間、最後に入るところは小さいところになるのではないでしょうか。老成して、考え方もまとまってきますので。私が入るなら、装飾の少ないシンプルなお墓がよいです。
また、各地の風土に合ったお墓も美しいと思います。たとえば金沢で、名物の九谷焼を壁に貼った墓地をつくったことがあります。その地の魅力を活かしたお墓が増えていくとよいですね。
 
――お寺の将来についてはどう思われますか?
 
中本:残念ながら、地方の収入が低いお寺は淘汰されていくでしょう。そのなかでも、たとえば天橋立、富士山など、風光明媚なところは救いがあります。墓地ニーズのポテンシャルがあるからです。その他の地方のお寺は兼業しながら維持するしかないかもしれません。一方、都会では後継者がいないお寺もあります。宗門内で情報網を活用すればマッチングできるのではないでしょうか。謙虚で、勉強熱心で、周囲に感謝できる人であれば現住職や檀家さんに歓迎されると思います。
 
檀家制度自体も、もう過去のものになりつつあるのかもしれません。経済環境が厳しくなる中で、寄付は簡単には出せません。お寺から檀家さんに何を提供できるか、あらためて考えないといけないでしょうね。場合によっては、専門家や業者と連携することもあるでしょう。そのときに注意したいのが、必要以上の欲を出さないことです。たとえば墓地のリニューアルについていえば、樹木葬は昨今のトレンドですが、甘い話を持ちかける不誠実な業者と組まないことが大事です。檀家さんも、お寺も、業者も三方よし、といえるような無理のない関係を大切に、ぶれない決断をしてほしいですね。
 
――今後の展望をお聞かせください。
 
中本:私はいま74歳です。時間は限りがあり、貴重だと思っています。死ぬのが怖いのではなく、できる仕事の案件が限られているのが怖いです。もっと仕事のスピードを加速して、やるべきことを仕上げていきたいと思います。一つひとつのご縁を大切に仕事をしていくうちに、終わりがくるのかなと思います。しっかりやりきれば、後は息子に継承できると思いますし、少しは皆さんのお役に立てるのではないかと思います。長年の経験を活かして、困っているお寺や霊園の力になりたい。それがいまの私の使命だと思っています。
 
――本日はありがとうございました。
 

プロフィール

 

 

中本 隆久(なかもと・たかひさ)さん
ココ・プランニング会長
1947年、生まれ。青山学院大学卒業。大学在学中に父親他界、以来家業の石材店(現・株式会社いせや)を約50年間経営。1995年、日本に初のガーデニング霊園「佐倉ふれあいパーク」を開園。2015年に後継者にいせやを譲り、新たにココ・プランニングを開設し、寺院ならびに霊園のリニューアル化の仕事を主として展開中。札幌から沖縄まで日本全国にガーデニング霊園を開設(またはコンサルティング)しているほか、中国の各地にもガーデニングの指導(コンサルティング)を行っている。
   

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掲載日: 2022.02.18

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