「介護」について、親子で一緒に考えてみませんか?|お寺で知る終活講座第1回レポート
理想的な介護のあり方とは?
はじめに、河本先生が「介護現場で思う事 〜理想と現実 私の葛藤〜」というテーマで講演をされました。
ケアワーカー、デイサービス生活相談員、ショートステイ相談員、ケアマネージャーと数々の介護職を経て、現在は高齢者福祉施設の施設長を務める河本先生。
目指すべき居場所の理想像として
・あるがままを認められる場所
・落ち着くべき場所
・役割がある場所
・自分の持っている能力を一番発揮できる場所
を目指していると言います。その中でも、「役割がある場所」として「Sitteプロジェクト」を紹介されました。(Sitteプロジェクトの詳細はこちら)「『勤勉なニッポン人世代』は、いくつになっても『仕事』と『役割』が元気の元だった」と話す河本先生。高齢者世代が、たとえ認知症であったとしても社会の一員として参画できる、先進的な介護の現場として参加者の関心を集めました。
介護現場から聞こえる葛藤の声
一方で、介護の現場では課題も多くあると話す河本先生。介護施設職員として利用者とそのご家族の間に立ってみると、老いる中でもこれまで普通にやってきた事を続けたいと話す利用者(親)と、それを安全面から心配する家族(子)の葛藤が数多く聞こえてくるそうです。
また、河本先生自身も73歳になるご実母の介護を行っており、仕事での介護とご家庭での介護との違いや難しさについてもお話しされました。
やさしく手厚い介護を心がける河本先生に対し「子ども扱いみたいな言い方はやめて」と拒絶されたり、時には「死にたい」と吐き捨てられたり……介護には親と子、それぞれに苦しみがあると言います。
お互いが心豊かに過ごすには?
長年にわたり介護の現場に立ち続けた河本先生でさえ、難しく辛いと語る親の介護。高齢者とご家族のお互いが心豊かに過ごすには、どういったことに気をつけなければいけないのでしょうか?河本先生はご自身の経験を踏まえて、介護の中での特に大事なことを4つ挙げられました。
2.家族も自分自身の望む人生や暮らしを持っておく
3.割り切る
4.抱え込まない、タブーにしない
他にも、介護保険の情報を調べたり、あらかじめ行政の相談窓口への相談といったアドバイスをされました。困ったときは頼る、辛いときは吐き出す。とにかく一人で抱え込まないことが、介護を行う上での大切なポイントとなるようです。
また、介護を受ける側にもコツがあると言います。河本先生は介護を受ける側の人が心得るべきものとして、
2.見守られ上手になる
3.身近な地域を大事にする
4.自分の意思を家族に伝えておく
という4つのコツを挙げられました。
介護をする側、介護を受ける側の双方に言えることは、お互いにコミュニケーションをしておくことかもしれません。