1杯のコーヒーから、いっぱいのご縁を|寺Café SARA―島根県蓮敬寺
お寺のカフェだからこそ味わえるもの
寺 Café SARAで提供されているラテアート。人気を博しているという(写真提供:冨金原さん)
ーーSARAにはどういった方々が来られますか?
冨金原:若い世代の方が圧倒的に多いです。特に小さいお子さんを連れた主婦の方がすごく多いですね。お寺の近隣地域では、マンションで暮らしている子育て世代の方が結構おられるのですが、一般的なカフェだと子どもたちを店内で遊ばせるわけにはいかないですよね。
かといって外で遊ばせるわけにもいかず、なんとかソファで静かにしてもらわないといけません。ですが、うちの場合は隣の本堂で飲食していただくこともできます。なので、お母さんは本堂の片隅でお茶をして、子どもたちは本堂で遊ぶことが出来るんですよね。それが子育て世代に喜ばれているのだと思います。
ーーお客さんと1対1で会話ができるカフェを目指されているとのことですが、お客さんとの会話のきっかけはどのように作っておられるのですか?
冨金原:最初はお会計の時に話すようにしています。当たり前ですが、お客さんといきなり深い話はできないので、最初は「今日は寒いですね」といった挨拶程度です。その後、何度かご来店いただくうちに、会話が深くなっていくような感じでしょうか。
最初はカウンターから遠いテーブル席に座っていたお客さんが、徐々にカウンターに近づいて来てくださる方もおられます。
ーーSARAを営業されているときは法衣を着られているのですか?
冨金原:いえ、いつも私服で営業しています。私服の時の方が話しかけてもらいやすいんですよね。私服だと最初は店員だと思われるので、住職であることを明かすと結構驚かれます(笑)。でもそれが、すごくフラットな空気感を生んでいて、むしろ色々と聞きやすくなるみたいです。
――相談事を受けることもあるのですか?
冨金原:時々、学生さんが来られて、人生相談を受けたりすることもありますね。それも真剣な感じではなくて、「お坊さんだったら、ちょっとくらいまともなことを言ってくださいよ〜」みたいなことを言われるような感じです(笑)。
ーーずばり、一般的なカフェとSARAの違いはなんでしょうか?
冨金原:人間関係を作れるかどうか、ということだと思います。密接なコミュニティを作れるかどうかの差は大きいのではないでしょうか?