仏さまに見守られながら、新たな出会いを探す|「お寺de婚活」ー北海道紋鼈寺

 

人気の秘訣は?

 
ーー人気の秘訣はどういったものだと思われますか?
 
奥田:理由としては、なんでも相談しやすい空気感があるからだと思います。これはお寺の特徴かもしれませんね。「なんでモテないのか」、「どうしたらモテるのか」といった根本的な相談を寄せられることもあります。
また、オンラインでの申し込みの際に、どういった服装が良いか、といった質問が来ることもありましたね。
 
ーーイベントの流れを教えて下さい。
 
奥田:まずは互いに自己紹介をしていただき、その後はゲームをして、緊張をほぐしてもらいます。
そのゲームも仏教にちなんだものにしていて、「極楽箸(ごくらくばし)」と呼ばれる、人の背丈ほどの長いお箸を使いこなし、いかに早く用意された食べ物をチーム内で食べさせられるかを競うといったゲームをやっています。
仏教をテーマにすることで、仏事や仏さまの話にも繋げやすいですよね。とはいえ、あくまでもマッチングがメインなので、仏教の話はお尋ねされたらお答えする程度に留めていますが。
 
その後、中間投票を行います。参加者同士の気持ちを探る時間ですね。最初は男性が女性に投票する時間です。女性には後ろを向いてもらい、良いなと思う女性のところにその投票用紙を置いてもらいます。それぞれ3人まで投票することができるようにして、カップルの成立率を上げています。
ただし、あくまでも中間投票なので、気持ちがあるよというメッセージを伝える程度です。
続けて、女性が男性に投票をする時間を設けます。そこで両思いが成立していたら、その人と話せる機会も用意しています。
 
中間投票の後は1時間ほど、自由に話してもらう時間を設けています。そのときに連絡先の交換も促しています。もちろん同性同士で連絡先を交換していただいても構いません。
 
最後に、締めくくりとしてカップリングの時間を設け、両思いが成立したペアを紹介し、カップルになってもらっています。
15時半ぐらいに開始して、18時過ぎに終わるように設定しています。イベント自体は2時間くらい行って、イベント終了後に出会った人と一緒に食事へ行く、というのが理想的な流れですね。
 
ーー同性でも連絡先を交換して良いのですね。
 
奥田:はい。なぜなら「結婚」が最大の目的ではなく、つながりを広げることが目的だからです。結婚=幸せという図式にしてしまうと、当然、結婚できなかった人はそれだけで苦しみが増えることになりますよね。それは仏教的な精神にも反すると思います。
イベントを通して、他人との繋がりが増えるだけでも幸せなんだということを持ち帰っていただければと思い、あえて連絡先の交換は異性だけ、といった制限を設けていません。
 

お寺だからこそ実現できる出会いの場

 
ーー市民ホールで婚活を行うのと、本堂で行う違いはなんだと思いますか?
 
奥田:婚活イベントは本堂で行います。仏さまがいらっしゃいますので、なかなか仏さまの前では嘘を言いにくいと、参加された方はおっしゃっていましたね。
当然ではありますが、我々僧侶の日常は多くの人にとっての非日常です。やっぱり、参加した方は本堂の空間やお荘厳の美しさに感動されますし、特別な空間だと気付かれています。お寺が持つ場の力ではないでしょうか。
 
ーーイベントにおける課題、今後のご展望をお願いします。
 
奥田:課題としては、広報エリアが限定されているので、リピーターは多いものの、新規の参加者が少ないことでしょうか。
また当イベントではそのような事はありませんでしたが、残念なことに婚活の場を利用して詐欺や営業行為を働く方もいらっしゃると聞くので、もしそうした方が来られたときの対応は予め考えておく必要があります。
 
展望としては、このイベントをきっかけに、もっとお寺へ来てもらったり他のイベントにも参加してもらったりして人生が豊かになれる仕組みを作れればと思っています。
究極的には、報恩講や法座も出会いの場になれば良いのではないかと考えています。
あるとき、ご門徒の方に「昔、報恩講はおめかしして、紹介し合いながらお参りしていたのよ」と教えていただきました。
報恩講という行事にそんな側面があったのかと衝撃を受けました。でも、同時にお寺で出会うことは決して不謹慎ではないんだと、自信を持つようにもなりましたね。
 

編集後記

 
今回は、紋鼈寺で行われている「お寺de婚活」のご活動についてお伺いしました。
「相談しやすい」、「嘘をつけない」といったお寺の特性を上手く活用した取り組みではないでしょうか?
 

そんな紋鼈寺の住職である奥田正弘さんは「伊達未来会議」と呼ばれるイベントを開いておられるそう。
続けては、「伊達未来会議」について、奥田さんに教えていただきました。
 
<「伊達未来会議」に関するインタビュー記事はこちら>
お寺を飛び出し、地域の課題を見つめる。|「伊達未来会議」ー北海道紋鼈寺
   

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掲載日: 2022.05.30

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