「継続は力なり」Twitter活用のコツとは|松﨑智海さんに聞く、お坊さんSNSの始め方<後編>

「Twitterの非売品僧侶」こと松﨑智海さん
(@matsuzakichikai)
に尋ねる、お坊さんSNSの始め方。前編記事では、Twitter、Instagram、Facebookという3つのSNSの特徴や、炎上しないための危機管理術を中心にお話しいただきました。
後編記事では、SNSの中でも松﨑さんが積極的に活用されているTwitterでの情報発信についてお話しいただきます。これからTwitterを始めようとお考えの僧侶の方は、必見ですよ。
 
<前編の記事を読む>
SNSなんてやらないほうが良い!?|松﨑智海さんに聞く、お坊さんSNSの始め方<前編>
 
目次

  1. 1.Twitterの特徴
  2. 2.Twitterを始めるにあたって
  3. 2-1.Twitterを始める目的はなんだ?
  4. 2-2.情報発信の対象を考える
  5. 3.Twitterのコツ
  6. 3-1.「失敗」と「あるある」が鉄板
  7. 3-2.短くても3年は続けよう
  8. 3-3.弱さを見せることも大事
  9. 4.まとめ

 
アドバイザー
 

松﨑 智海さん:福岡県北九州市 永明寺住職。1975年生まれ。2000年より北海道 札幌龍谷学園高等学校教員、2005年より福岡県 敬愛高等学校教員。2014年より現職。著書『だれでもわかるゆる仏教入門』(ナツメ社)(2021年1月15日発売予定)

 

Twitterの特徴
 

2020年の「今年の新語」大賞に選ばれた「ぴえん」を取り入れた法語。写真付きで投稿されたツイートはおよそ5.8万ものリツイートを記録した。
 
松﨑 智海さん(以下:松﨑):はじめに、Twitterの特徴をおさらいしましょう。
まず、Twitterに投稿できる文字数は140文字です。なので、この140文字で表現をしていかなければなりません。短い文章ゆえに、炎上もしやすいです。なぜなら、投稿者の性格や特徴を知らないのに、投稿した140文字の短い文章だけを切り取って判断されてしまうからです。
また、情報の拡散力もSNSではトップクラスです。Twitterには「リツイート」という、情報を利用者どうしが連鎖的に伝えていくシステムがあるので、面白かったり、有益であったりする投稿は、国内のみならず、海外までも伝わっていきます。そうしたTwitterの特性を踏まえた上で、情報発信を行いましょう。
 

Twitterを始めるにあたって

 

Twitterをやる目的はなんだ?

 
Q.Twitterを始める際に必要なことは何でしょうか?
 
松﨑:これはTwitterに限った話ではありませんが、SNSで発信をする時は必ず目的を持ったほうが良いです。僕は仏教を伝えるのではなく、「仏教を知ってもらう」という明確な目的をもって発信しています。
SNSで情報発信をされる方の目的は様々だと思います。フォロワーを増やす、コミュニティを作る、自身の承認要求を満たす、YouTubeで言えば再生回数やチャンネル登録者数を増やす……など、色々とありますよね。
数字を追い求めるのであれば、「激辛の焼そばを食べる」といった極端なことをして注目を集める方法もあります。ですが、仏教を伝える目的ならば、それはふさわしい方法ではありませんよね。なので、Twitterを始める前に、改めて情報発信する目的を考えましょう。
 

情報発信の対象を考える

 
松﨑:続けて、「誰に向けて発信するか」を考えましょう。
考えてみますと、普段、我々僧侶が法話をする対象は、お寺に来られた方、つまり法話を聞こうと思って来られた方ですよね。ですが、Twitterを含め、SNSではそんな方ばかりではなく、他宗教、無宗教の方だっていらっしゃいます。
 
そして、法話中にご門徒の方から間違いを指摘されることはまずないでしょう。しかしTwitterでは、我々の話に対して納得されない方のほうが圧倒的に多いし、反論もされます。お寺の空間はその意味で特殊です。僧侶が情報発信をする場合は、この感覚を非常に大切にされたほうが良いと思います。
 
Twitterは大部分が文字や画像だけでやり取りをする世界です。なので、伝えたいという気持ちがあっても、その方法が間違っていれば伝わりません。
かと言って、難しい仏教の言葉が全く伝わらないわけではなく、むしろ難しい言葉でも、相手が知りたい内容を満たしていて、かつタイミングが合えばちゃんと伝わります。
 
なので、Twitterで情報発信をする場合は、誰に伝えるかを考えた上で、その方がいつ、どういう内容を求めているか?を常に意識することがポイントです。
 

Twitterのコツ

 

「失敗」と「あるある」が鉄板

 
Q.松﨑さんのTwitterは「面白い」と評判ですが、面白さはどのように表現されているのでしょうか?
 
松﨑:Twitter上で面白いなって思われる話は「失敗」か「あるある」です。逆に、自身の成功体験は好かれません。実際の会話でも、自慢話ってあまり聞きたくないですよね。それと同じことがSNSでも言えるのだと思います。
 
Twitterで流行っている内容に乗っかると、利用者の心をつかみやすいです。ただし、Twitterの流行はとめどなく変化し続けています。場合によっては、1日後にはすでに別の内容が流行っていることもあるので、ネタのストックはできないんですよね。
なので、Twitterでは常に面白い情報や流行りを探して、拾っていくという作業が求められます。
 

短くても3年は続けよう

 
Q.他にも、Twitterのコツはありますか?
 
松﨑:「続ける」ことも大事です。これはTwitterに限った話ではありませんが、「3年間続けたものはコンテンツになる」とよく言われています。お寺のSNSで例を挙げるなら、「那須の長楽寺」(@nasu_chourakuji)さん。こちらのアカウントでは、毎朝、住職とお寺で飼われている猫たちの食事風景が投稿されています。たとえ同じような内容の投稿が繰り返されていても、長く続けることでコンテンツへと成長し、ファンが付くんですよね。
 
この、毎日同じようなことを続けていくのって、僧侶の方は結構得意なんじゃないかと思います。最近では、毎朝の法要をYouTubeでライブ配信を行う寺院も増えてきました。法要も、私たちにとっては日常のことでも、世間から見れば新鮮に見えるのかもしれません。そして、それを毎日同じ時間に継続して配信することで、人が集まり、ひとつのコンテンツへと成長していきます。最初はフォロワーが増えなくても、諦めずに継続していくのは大切ですね。
 

弱さを見せることも大事

 
松﨑:それと、SNSでの炎上対策については、前編記事でもお伝えしたとおりですが、特にTwitterでは、ひとつのコツとして「弱さを見せていく」ということがポイントなのかもしれません。例えば、いつも偉そうに振る舞っている人が失敗したら、みんな攻撃したくなるんですよね。自分の心の中をさらけ出すのはそうした時に危険ですので、やめておいたほうが良いです。人形(もうひとりの自分)を作っておいて、客観的に情報発信すると良いのではないでしょうか。
 

<まとめ>

 
後編記事では、Twitterのコツを教えていただきました。改めて、Twitterの特性や危険性を理解した上で、どういった目的で、誰に向けて発信するのかを考えることが第一歩のようです。
そして、Twitter独特のコツをつかみつつ3年間続けることで、徐々に効果があらわれるかもしれません。「継続は力なり」ということわざは、どうやらTwitterにも当てはまるようです。もし、2021年から心機一転、Twitterを始めるぞ!と意気込まれている方がいらっしゃいましたら、松﨑さんのノウハウをご参考にされてみてはいかがでしょうか?

   

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掲載日: 2020.12.24

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