正念場[しょうねんば]の意味とは?【くらしの仏教語豆事典】


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2013年5月8日
記事作成:他力本願ネット

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正念場[しょうねんば]…歌舞伎などでは「性根場」とも

 

新聞には「国会、正念場を迎える」「外交交渉の正念場だ」。

テレビでは「マラソンの正念場にさしかかりました」「金メダルの正念場」です。

スポーツ新聞には「ペナントレースの正念場」。

「正念場」はいろいろな分野で用いられています。

 

しかし、正念場として、もっとも有名なものは、

歌舞伎(かぶき)、浄瑠璃(じょうるり)で、一曲一場の大事な見せ場、

主人公がその役の本領[性根(しょうね)]を発揮するもっとも重要な場面を指します。

 

これから転じて、ここぞという大事な場面や局面をいうようになりました。

お釈迦さまが初めての説法のとき、八正道(はっしょうどう)【※】という、

仏教の実践方法を示されましたが、その一つが「正念」で、

邪念を離れて仏道を思い念ずることをいいます。

 

また『末燈鈔(まっとうしょう)』【※】には

「正念といふは本弘誓願(ほんぐぜいがん)の信楽(しんぎょう)定まるをいふなり」と、

本願を疑いなく信ずる心の定まったことを正念といっています。

正念場とは、そんな大事な場をいうのです。みなさんの正念場はいつですか。

 

 

【※八正道(はっしょうどう)】

釈迦はさとりに至る具体的な方法として八つの正しい道を教示した。

正見(見解)、正思惟(思索)、正語(言葉)、正業(行為)、

正命(生活)、正精進(努力)、正念(思い)、正定(精神集中)で、

これらは別々の道ではなく、一つの聖なる道を生活の中で八つに分けて説いた。

 

【※『末燈鈔(まっとうしょう)』】

本願寺三世覚如二男・従覚が、親鸞聖人の晩年の法話と各地に散在する書簡を収録。

それまでの伝本を対校し年号や日付などを訂正し編集した書物。二十二通。

書名は「末の世を照らす燈火のような書物」という意味。

 

 

「くらしの仏教語豆事典」より転載
(ホームページ用に体裁、ふりがな等を調整しております)
 
     

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掲載日: 2013.05.08

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