（70代男性）

被災する以前は、＜できる男＞として、

いつも周りから期待される姿を演じ、心底笑顔になることはなかったそうだ。

震災から１年経った頃、テレビ出演している震災直後の自分の姿を見返してみて、

「悲しまなきゃいけない」「前向きに頑張ってなきゃいけない」と、

メディアから期待される被災者の姿を、ここでも演じている自分に気がついたという。

仮設住宅に住むようになってからは、集会場に来る人たちの笑顔を見て、

「自分も笑わなきゃ」と思い、努めて笑うようになった。

半年ほどして気づけば、周囲と一緒に心から笑い、自然体で居られるようになったのだと話された。

「仮設に入ってから、私は本当に変わったんだよ」と温かな笑顔を向けてくださった。

（安部智海）

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