伝統芸能同好会〜女殺油地獄〜(後編)

こんにちは!伝統芸能同好会 平田かつきです。今回は私が一番興味のある伝統芸能の文楽を鑑賞しました。題目は、『女殺油地獄(おんなころしあぶらのじごく)』(国立文楽劇場開場三十周年記念 人形浄瑠璃 文楽 平成26年度 夏休み文楽特別公演 第三部 サマーレイトショー 近松門左衛門没後290年)。話のあらましや面白かったこと、気になったこと等々、3回に分けてレポートします。

 

 

与兵衛のお吉殺しのシーン。この演目最高の見せ場で、とても有名な場面です。やはりここは背筋がぞくぞくっとしました。お吉が油を撒き、与兵衛から逃げようとします。人形は床を滑り、油のぬるぬる感を表現します。大きく滑るその動きは、人形でなければ表現できないでしょう。

 

追いかけて、刺して、追いかけて、刺して。与兵衛は親を踏み付けるなど常識外れなことをします。それもそのときカッとなっただけ。このときも本当は衝動的に殺しただけのように見えました。油まみれで、きっとお吉の血も混ざっていて、とても惨たらしい現場。私はこのシーンに引き込まれてしまい、一瞬舞台が血みどろに見えて怖くなりました。

 

お吉を殺しておきながら、お吉の中陰法要にひょろっと戻ってくる与兵衛にイライラMAX!!犯人は必ず現場へ戻ってくる?与兵衛は悪いことをしたと思っていない?いや、見栄っ張りな与兵衛だからそう見えるだけで、実は悪いと思っている?あんなに惨い殺しをしておきながら、現場へ戻れる与兵衛の心がわかりません。与兵衛は殺した時に手に入れたお金で遊び呆けても、何も感じなかったのでしょうか。

 

いったい与兵衛は何を考えて行動していたのでしょうか。自分のしたいように、好きなようにして生きてきた自己中心的な与兵衛。そりゃモテないやい!それに、結局はお金が頼りの登場人物たち。お金で問題を解決してきたからこそ、ついに起こってしまった悲しい事件。

 

とにかく最後までイライラしっぱなしの女殺油地獄。こういう昼ドラちっくなお話に、鑑賞中、私はずっとイライラしているのですが、なぜか観た後はとてもすっきりします。こういう非現実感が日ごろの鬱憤を晴らしてくれます。

 

私は「時代物」と呼ばれる過去の出来事を扱ったりする「武士のお話」が、まだまだよく分かりません。武士の精神がわからなくて、物語についていけないです。今回の「女殺油地獄」は「世話物」です。わかりやすくて現代にも通じる部分があります。今回はとても物語に入り込むことができました。この感覚を「時代物」でも感じることができるようになりたいなあ。

 

 

平田かつき

相愛大学、2回生。伝統芸能同好会部長。能楽、歌舞伎、文楽、謡曲、落語などの伝統芸能鑑賞を愛する女子大学生。中学生の頃、テレビで偶然、能楽の吉野天人を観たとき「何!?この美しい衣装!このお面きれい!なになになに!?」と思ったのが、伝統芸能との出会い。そこから関連する本や解説本を読み漁るなかで、他の芸能にも興味が湧き、鑑賞を繰り返す。鑑賞に止まらず、自分でも伝統芸能を体験する活発さをもつ。ラーメン愛好家。