お坊さんとして大切なことを教えてくれるー龍谷大学大学院生の木本さんにインタビュー

 

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都で仏教を学ぶ学生を中心として、街行く人々の愚痴を聴き、集めるグチコレ。「愚痴」はもともと仏教語で、煩悩の一つと示されます。一般的には悪口や弱音というようにネガティブに捉えられがちな愚痴ですが、愚痴を本音と向き合うポジティブなものと捉え、活動を続けるグチコレのメンバーたち。

 

前回は、グチコレ5代目の代表をつとめた木本晃英(きもとこうえい)さんに、仏教における愚痴の考え方、グチコレの活動の背景について教えてもらいました。

今回は、グチコレの活動の現状、木本さんが何故グチコレに携わるようになったのかを伺いました。 ※全4回の第2回です。

 

愚痴は自分と向き合う面がある

気軽に愚痴を言える社会をつくっていきたい

お互いさまの関係性が生みだすもの

 

――愚痴を単にネガティブなものとして捉えるのではなくて、自分自身の在りように気づく一つの機会だとポジティブに捉えていることを伺いました。そのことは皆さんが、お坊さんであったり、お寺の出身であったり、仏教を学んでいることが大きいように感じます。

 

そうですね、愚痴の捉え方も、仏教の考え方がベースにあります。僕たちは、京都で仏教を学ぶ学生を中心とした有志のグループです。

 

メンバーのなかには、将来住職としてお寺を継ぐ人もいれば、お寺に入り住職をサポートすることになる人や、終末期医療の現場に身を置きたいと考えている人、全く関係ない一般企業にチャレンジしたいと考えている人など、多様な想いをもつメンバーに囲まれています。

 

 

――活動はいつから始まったんですか?

 

2012年11月に始めたこの活動ですが、活動回数は100回を越えて、来談者総数は約1500人、収集した愚痴数は3000を超える実績を持ちます。こうした活動の積み重ねにより、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌などさまざまなメディアでも注目されるようになりました。NHKでも報道され、海外ニュースとしても発信されたこともあります。

 

(グチコレの具体的な過去の活動はこちら

活動実績

 

 

――具体的にはいつどこで活動しているんですか?

 

いまは不定期ですが、月に2回程度、活動しています。メンバーで予定を合わせて、人が多く集まれる日程を調整して開催しています。基本的には京都駅前ですが、人数が多く集まったら四条河原町にも出たりしています。

 

 

――メンバーは何人でやってるんですか?

 

連絡を回しているメンバーは22人います。龍谷大学実践真宗学研究科の現役生が多いです。実際に活動に参加するメンバーは、毎回7名前後ですね。

 

 

――何時間ぐらい座ってるんですか?

 

季節によってまちまちですが、1時間半から2時間ぐらいは居ますね。冬場はさすがに街頭で凍えそうになるんで、1時間ぐらいです。

 

 

――愚痴ってくれる方の年齢層はどれぐらいの方が多いですか?

 

時間や場所によって様々ですね。活動している僕たちが20代ということもあり、やはり同年代が面白半分に愚痴ってくれることは多いです。京都駅前だと、20時をこえるとサラリーマンの方が多くなりますね。あとは、高齢のおじいちゃんやおばあちゃんが、孫に話すノリで人生を語ってくれることもあります(笑)。

 

 

――毎回多くの愚痴が集まるんですか?

 

いえ、そんなに大量の愚痴を集めることができるケースは少ないです。1時間座っていて2、3人のこともあります。寒くなってくると、さすがに、心折れるときもあります。モチベーションが続かなくて、途中から参加しなくなるグチコレクターもいますね。

 

図

 

――木本さんは心が折れないですか?

 

僕はおかげさまで、昔居酒屋で呼び込みをしていた経験があり、無視されることには慣れていて、そういう意味で鍛えられています(笑)。あとは、終わったあとに、参加したグチコレクター全員で、懇親反省研究会という飲み会を実施しています。僕らが愚痴をこぼし合う場です。もちろん、活動の振りかえりの場ですが、メンバーの懇親も大切な機会だと思ってます。

 

――木本さんは、なんでグチコレに関わるようになったんですか?

 

僕は龍谷大学の実践真宗学研究科に入学して、何かしたいっていう漠然とした思いがありました。そこでどうもグチコレという活動があるらしく、テレビや新聞に引っ張りだこらしい。ミーハーな僕としては行かざるを得なくて。それで、1回行ってみようかな、と(笑)。

 

 

――そんな深い動機があるわけではなく、テレビ出れるかも的な?!

 

まさに(笑)!かなり志は低かったと思います。

 

――何故それから代表に?

 

実は一回活動に行ってみたものの、その後はあまり参加していなくて。グチコレの歴代の代表の方々も参加している飲み会があって、そのときの二次会で席が近くなって、先輩たちの熱い思いを聴いていると、なんだか自分もその気になって。その歴代の先輩たちが、実はマンパワー不足で、結構困ってて、との話を聴いて、その場のノリで、僕が代表になって、もう一度息を吹き返すお手伝いをします、ということを、つい言ってしまい。

 

その数日後、ちょっと相談があると友人数名と呼び出され、そこで次期代表の依頼を受けて、飲み会の席での発言をしてしまった後だったので、いきおいで男らしく引き受けてしまいました。(笑)

 

 

――そんな始め方もあるんですね!けど、どんな理由でも「まず、やってみること!」って大事なことのような気がします。

最近、「好きなことを仕事にしよう!」ってよく聞くんですが、最初から好きなことがはっきりしてる人ってそんなにいないんじゃないかと思います。とりあえず、まずはなんでも、初めてみた時に見えてくるものがあるっていうか……。

 

そうですね。僕自身もグチコレの代表をするまでは自分は、これが好きやから、これを始める!というのはありませんでしたね。

 

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ネット配信のメディアから取材を受けている木本さん

 

 

――グチコレ5代目代表ということですが!代表のお仕事は?

 

僕は何をしてるんでしょうね、飲み会のセッティングですかね(笑)。事務的なことは副代表の佐々木くんがしてくれています。だから、僕は主に旗振る係ですかね。よしっ、やるぞ!って勢いをつける役です。

 

だけど、それは結構大事だと思うんです。だって、別にやらなくても誰かに叱られるわけでもないし、ずっと待ってくれている人がいるわけでもない。ノルマや活動の義務があるわけでなもない。そんな活動だからこそ、よしっ!という勢いやノリも必要だと思うんです、たぶん。

 

 

――いや、絶対大切。グチコレに関わって成長したなーと思うことありますか?

 

やっぱり、人の話を聞けるようになったことです。グチコレに関わる前だったら、例えば「5月しんどいわ…」と友人に言われたら、「そりゃ5月病やな」と意味もなく断定していたと思います。それでは、その友人が本当に言いたかったことを聴くことは絶対できなかった。

 

もしかすると新年度に入り職場の環境が変わって疲れ溜まってしんどい、とか、ちょっと愚痴りたかったのかもしれません。自分がどれだけ話を聞けない人間なんだっていうことをグチコレの活動を通して学んでます。

 

 

――なるほど、できないことを自覚するって大切ですね。

 

あとは、色んな職種の方々と出会える機会に恵まれています。単に学生をしているだけでは出会えませんでした。京都市の取り組みに参加させてもらうこともありますし、京都市の青少年活動センターのイベントにも参加したこともあります。行政の方や、NPOに携わる方々。

また、学部生の前でお話をする機会であったり、講演に呼んでいただくこともありました。

 

 

回は、愚痴の傾向などについて伺います。

 

 

<グチコレについて>

グチコレとは「グチコレクション」の略称である。有志の活動者(グチコレクター)が、路上や飲食店、大学や行政施設など様々な場所で人々のグチ(愚痴)を無料で聴き、集め、それらを社会に共有していく活動である。

現在、京都市内・大阪・東京での活動の他、各種イベントでグチコレしています。 「活動実績」

 

メールアドレス r.guchicollection@gmail.com

Facebookページ 「グチコレ

 

 

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