第1回「型破り僧侶と教育NPOで考えるイライラしない子育て」No.3

<<「自信の正体」子どもに本当に伝えたいこと>>
子育て2-01

シリーズ”○○と考える子育てがラクになる講座” 第1回「型破り僧侶と教育NPOで考えるイライラしない子育て」

2017年4月9日(土)に京都市wings京都において、子どもの支援をされているNPO法人D.Live(ドライブ)と僧侶による子育てについての対談イベントが開催されました。

この日は、NPO法人D.Liveの代表と浄土真宗本願寺派の僧侶が「型破り僧侶と教育NPOで考えるイライラしない子育て」をテーマとして、各々の思いや考えを述べ、参加者が、それぞれの子育てのあり方を考えるような時間となりました。

そこには、子育てという視点から、人生を豊かに生きるヒントが散りばめられていました。

その対談の様子を前回より、お伝えしています。
今回は「自信の正体」子どもに本当に伝えたいことです。

<目次>
① お坊さんと子育てを考える。「自分らしく」とは?
② 「生き抜くチカラ」子どもに本当に伝えたいこと
③ 「自信の正体」子どもに本当に伝えたいこと。
④ 「教育、共育、響育」子どもと親とのあり方。
⑤「子どもの理由。ガンバるとは。」

子育て2-02

今回の会は「曼荼羅トーク」という方法で会を進めて参ります。曼荼羅トークとは、ウェブマガジンgreenz(http://greenz.jp)の元編集長の兼松佳宏さんが、編み出された「沢山の言葉とであいのお土産」があるという魅力的な手法です。、最初に登壇者の方々にキーワードを数個出していただき、参加者の方々に聞きたいキーワードをその中からまず1つ選んでいただきます。また、選んでいただいた参加者の方々には、なぜそのテーマを選ばれたのか少しお話を伺い、それから、登壇者の方々にキーワードを中心にお話を伺っていく。という様な流れで進んで参ります。

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——参加者男性
「自信の正体」が気になります。飲み屋で友人たちと「子どもに何をさせたくないか?」という話で。私は、「子どもに強いコンプレックスをもたせたくない」と、飲み会の場でしたが話したことがありました。自信を持たすのは難しいからせめて、強いコンプレックスを持たせたくない、そう思ったんです。

——高橋さん
結論から言いますと、自信の正体、根拠というものは、「自分ではない何か」。
自分一人では本当の自信は持てないと思っています。
サッカー選手時代、試合が始まる前にロッカールームで凄くビビっていました。ヨーロッパのリーグは観戦する人たちの熱さが半端ではないんです。良いプレーをした時は、メチャクチャ良いんですが、悪いプレーをした時には、試合中のヤジだけでなく、街中でも文句を言われたり、囲まれて茶化されたり、物を投げつけられたりします。そういった色々なプレッシャーが、ロッカールームまで聞こえてくる応援に乗って、襲いかかってくるんです。それを振り払うように、自分で自分の頬や太ももを叩いたり、気合の声を出したりして気持ちを鼓舞するようにしてたんですが、足は震えてたんですよね……。だからいつも、揺るぎない自信を持ちたいと思っていました。
そんなある日、いつもの試合前のロッカールームで、ふと、ある選手の行動が見えてきました。上の方を見ながら十字をきっているんですよ。その時、あっ、彼らには神がついている。自信の根拠を外に置いてるんじゃないかなぁーと思ったんです。

昨晩、妻がフィギュアスケートの羽生結弦くんの話をしていました。その時にふと思ったことですが、フィギアスケートでは各選手が滑り終わった後に、Kiss and cryというんでしょうか、コーチと共に得点の発表を聞くスペースがありますよね。そこで彼は「くまのプーさん」を抱えていたりします。それを思い出して、もしかして彼も同じなのかな?と思ったんですよ。自分じゃなく、プーさんに根拠を置いているんじゃないかと。もちろん本人に聞いたことはないですけど。(笑)

これは僕たちでいうと、仏さまということになる。浄土真宗でいう阿弥陀さま。その阿弥陀さまは「摂取不捨」の仏さまと言われていて、絶対に全ての者を、僕を見放さない、という意味なんです。
この様に、やはり世間一般の常識を超えた、絶対的な他者からの期待や信頼によってこそ、自分が根底から肯定され、それが支えとなって様々な出来事を乗り越えていくことができると思います。そういった経験をひとつ一つ積んでいくことで、いわゆる世間でいう自信が持てるようになると思います。
また、こういった支えは、宗教に限らず親や愛する人からの信頼であったり、尊敬する人や先生からの期待、そして親友との友情である場合もあると思います。当然人間同士なので、思い違いや誤解などが生じ、限界があるとは思いますが、そういった関係性の中で、自信を育んでいくことができると思います。ですから私たちは、ある意味では社会の常識を超えて、そして本人以上に子どもを信頼することが重要だと思います。

——田中さん
こんな研究結果があります。自信のある子は、上手くいったことは自分のおかげ、上手くいかないことは環境のせいにするそうです。
反対に、自信のない子は上手くいったら、たまたまと思う。失敗したら、自分のせいにするのだそうです。
大人としては、「自信を持て!」と言うよりは、子どもの経過などに対して、きちんと意味づけしてあげたらいいと思うのです。

「全然できてない」と子どもが言っても、「ここまでは出来たよね」と。

子どもは、どうしても0か100で考えがちなので。

——司会者
自信がないとか、コンプレックスは悪いものなんでしょうか?

——田中さん
僕自身、コンプレックスなんていっぱいありますよ。自分がイヤになることなんてしょっちゅうです。
でも、そのコンプレックスがあるから、「ガンバろう!」って思えます。
僕は、決してコンプレックスが悪いとは思っていません。

——参加者男性
子どもが自分ではどうしようもない強いコンプレックスを持ってしまったら、どうしようと思う時があります。コンプレックスの解決はありますか?

——高橋さん
コンプレックスの解決というか、コンプレックスが無くなるということはないかもしれませんね。
本当に好きな人や尊敬している人が、自分のことを丸ごと認めてくれるというような経験があれば、随分とコンプレックスを感じなくしてくれると思いますが……。
どちらにしても、また何かのキッカケで持つことになると思います。ですので、コンプレックスがあっても、それと共に生きていこうぐらいに思っておいたほうが良いかもしれません。
スポーツでもビジネスでも、次から次に凄い人は出てきます。一度感じなくなったコンプレックスも、社会に評価システムや、人間に他人と比べてしまう心がある限り、また出てくると思います。

次回は「教育、共育、響育」子どもと親とのあり方。です。

2017.6/23 更新

   

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掲載日: 2017.06.23

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