「かわいい」の気持ちをもう一度感じる絵本

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題:『あなたがとってもかわいい』

作・絵:みやにし たつや

出版社:金の星社

価 格:1,200円

—はじめに
みやにしたつやさんの有名な絵本として、ティラノザウルスシリーズの「おまえうまそうだな」やウルトラマンシリーズなどがあり、絵を見ると「知ってる」と思われる方も多いのではないでしょうか。まだまだ新人保育士である私が毎日集団の子どもたちと一緒に活動をしていると上手くいかないことの連続、気が付いたらいつも眉間にしわを寄せている自分がいます。又、子どもとの関わり方などで悩み、落ち込んでしまうことも未熟な私には多々あります。そんな中、みやにしさんの絵本を読んでいるとなんだかほっとさせられます。みやにしさんの作品には私の大好きな絵本がいくつもあるのですが、その中のひとつを紹介したいと思います。

絵本の書き出しは、「あかちゃんのかお いつでも どんなときもかわいいね」から始まります。みやにしさんの独特なタッチの絵と一緒に、赤ちゃんの笑っている顔、くしゃみをしている顔、びっくりした顔…など沢山のあかちゃんの表情を見ることができます。保育園の子どもたちに読み聞かせをしたときには、絵本の中のあかちゃんの様々な表情の変化に、子どもたちも絵本の中にぐーっと引き込まれるように真剣になって見てくれていました。赤ちゃんがよだれを垂らしている顔を見ると、いつもよだれを垂らしている男の子がニヤニヤと笑っていました。赤ちゃんが泣いている顔をみると、さっきまで喧嘩して涙を流していた女の子が、「私と一緒!」と涙を拭きながら言いました。赤ちゃんが顔を真っ赤に怒っているような顔をすると、何人かの子どもは声をそろえて「先生みたい」と言っていました。
私はそんなに怒っていたのだな・・・みんなが楽しく過ごせるように一生懸命頑張っていたつもりですが、私自身が一番楽しく過ごせていなかったなと気付かされました。
最後には、赤ちゃんから男の子に成長した子どもに向けてお母さんが
「まえとちっともかわっていないんだよ
あなたがとってもかわいい
それはこれからもずっとかわらない
だって…
わたしは いつまでも いつまでも
あなたの おかあさんだから
あなたが とっても とっても かわいい」
と言っています。

この絵本を読んだときに、今は社会人となった私にも母親はいつも子どものように接してくることを思い出しました。一人暮らしで普段はあまり連絡も取らないのですが、先日私がインフルエンザにかかると心配し、「湿度を高くして寝るのよ」「食べ物はあるの?」などと連絡してくれました。いつまでもいつまでも私はお母さんの子どもなのだなと感じさせられました。そんな私の母を思い出すようなお気に入りの一冊です。

紹介者:保育士・僧侶 大佛智恵

2017.03/10 更新