パワフルなおかあちゃんの絵本ー『おかあちゃんがつくったる』

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題:『おかあちゃんがつくったる』
作・絵:長谷川義史
出版社:講談社
絵本の主人公・よしふみくんは早くにおとうちゃんを失くし、おかあちゃんとお姉ちゃんと三人暮らし。毎日元気に学校へ行っていますがどこかで寂しさを抱えています。
 
そんなよしふみくんの気持ちを知ってか、おかあちゃんはおとうちゃんの分も頑張って子育てに奮闘中。ミシンの仕事をしているので何でも作ってくれます。
でもおかあちゃんの作ってくれるものはどこかヘンテコ。だんだん不満がたまっていったよしふみくんとおかあちゃんの間に、ある日ちょっとした「事件」がおきて…。
私はよしふみくんのように父親と死別したわけではありません。ただ、父からの愛情をあまり受けずに育ったせいもあってか、この本はなんだかジーンときました。
絵本と一緒で、我が家も母が一生懸命私を育ててくれた記憶が思い出されたのです。
なんでうちの父ちゃんはよその父ちゃんみたく、一緒に遊んでくれたり相談にのってくれないんだろう。そのことで母に八つ当たりしたこともありました。
母もきっと一人で父親と母親の役目を果たすのに疲れていたと思います。それでもなんとか私と弟を一人前(?)に育ててくれました。
 
この絵本を読んでいると、「母ちゃんもこんな風にパワフルだったなぁ」と懐かしくなります。
世間では未だに「あそこはおとうさんがいないから」「あのお宅はシングルマザーだ」なんて声を聴きます。「子どもがかわいそう」という気持ちもわかりますが、たとえ親がひとりでも子どもに精一杯愛情を注いでくれたなら、きっと心の優しい子に育つのではないでしょうか。
作者の長谷川さんは実際にお父様を小学校一年生のときに失くされています。でも「おかあちゃん」がいたからここまで来れた。おかあちゃんありがとう。きっとそんな気持ちを込めてこの絵本を描かれたんだと思います。
悲しいけど、どこかホッとするあたたかいお話です。是非読んでみてくださいね。
(順教寺衆徒 佐竹 大智)
 
浄土真宗 本願寺派 順教寺
https://www.facebook.com/junkyoji.satake/
毎月第二土曜には「順教寺文庫」を開いています。
みんなでお菓子を食べながらおしゃべりしたり、
子どもさんには絵本の読み聞かせをしたりして楽しい時間を過ごしています。
どうぞお気軽にいらしてください。
   

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掲載日: 2017.07.28

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