環境問題はいのちの問題 宗教者らの想い届け|LifeWalk2020レポート


まだまだ厳しい寒さが残る3月4日、京都市で5回目となるLifeWalk 2020 ~いのちを想う宗教者の行進~(主催:「京都いのちの日」宗教者プロジェクト実行委員会/共催:浄土真宗本願寺派総合研究所)が開催されました。LifeWalkとは、宗教・宗派を超えた宗教者が、それぞれの信仰に基づく服装(衣体や祭服)を着用し、メッセージを掲げながら、京都市内を行進する活動です。
 
2016年から、京都府で3月1日を自殺防止への関心を高める日として、「京都いのちの日」が制定され、例年この日に合わせる形でLifeWalkが実施されています。
 
例年は自死・自殺についてのトークセッションが行われてきましたが、今年は、深刻さを増す異常気象を踏まえ、気候変動や環境問題を通して、いのちや平和について考える場となりました。
 
今回のトークセッションのゲストは今井 絵里菜(いまい えりな)さんと竹本 了悟(たけもと りょうご)さん。今井さんは、国内のエネルギー問題に危機感を覚え、政策提言や気候ストライキ・マーチの運営・実行など、環境問題に関する様々な活動をされています。
 
image2気候変動と環境問題について講演する今井絵里奈さん
 
「一人の人間としてなにが出来るのだろう」とこれまで考えていた今井さん。昨今の地球を取り巻く深刻な現状と、私たちが取り組むべき行動についてお話をされました。
 
最新の調査によると、気候変動がもたらす死者数は1年間に25万人に登ると予測されているそう。気温の上昇に伴う熱中症や、作物の不作による栄養失調が挙げられます。
文明が発達し、住みよい社会になった現代ですが、これからも今のような経済活動を続けると、どんどん地球の温度が上がり、気候変動も深刻化するといいます。
 
実際に、気候変動がもたらす影響が私たちの生活にも及ぶようになりました。日本においては、比較的寒冷とされる北海道で40度近い気温が記録されました。また、台風もここ数年は「非常に強い」勢力のものが日本に上陸するようになり、各地で甚大な被害をもたらしています。しかし、地球温暖化がもたらす影響は決して私たちが目に見えるものだけではないといいます。
 
環境は最も貧しい人々に多大な影響を与えている
 
経済的に裕福な日本においては、インフラが整備されており台風被害からの回復にも一定の効果を見込めますが、発展途上国においてはそれが致命傷になることも。
経済国がもたらした温暖化によって、発展途上国が甚大な被害を被る「残念な構図」になっていると今井さんは話されます。
 
また、気温が上がることによって、森林が乾燥し火災が発生。自然が破壊された結果、食糧難が生じ、戦争に発展することもありうるでしょう。
現状を「気候変動がもたらす負のスパイラル」と表現する今井さん、私たちが目に見えない範囲で被害が発生してしまうのが大きな問題ではないかと投げかけられました。
 
地球温暖化問題は、大陸によって気候が変動する以上、全世界の人々が地球温暖化の問題を共有しづらいといいます。これが問題を複雑化させてるとも言えるでしょう。
 
 
では、先進国と呼ばれる国に住む私たちはどうするべきでしょうか?今井さんは「資本主義社会に基づいたシステムの見直しが必要ではないか」と話されました。
日本においては、大半の電気が化石燃料によって発電されていますが、これを水力や風力と言った環境に良い発電方法への転換が求められています。しかし、個人では解決が難しく「金融や政治が主導となって、エネルギーの見直しを図るべきではないか?」と今井さんは投げかけました。
 
「一人ひとりのライフスタイルを見直すだけでは限界がある」と話す今井さん。もっと環境問題に関心を向け、選挙や活動といった手段で影響力のある人々に働きかける必要があるといいます。
 
image5「気候変動がもたらす深刻な問題を人々に知らせる必要がある」と話す今井さん。彼女の祖父や知人と協力し、京都市内でデモ行進を行っている。デモ活動によって人々の注目を集め、環境問題に対する関心を高めてもらうのが狙いだ。
 
問われる消費者の選択
 
image3TERA Energy株式会社の設立背景について講演する竹本 了悟さん
 
つづけて、TERA Energy株式会社の竹本 了悟さんが登壇。もともと取り組まれていた自死対策の活動の一環で、「京都自死・自殺相談センターsotto」を2010年に立ち上げ、活動をすすめる中で、自死がなくならないのは世の中の仕組み自体に問題があるからではと気づかれたそう。自死対策の取り組みを全国展開しようと意気込むも、資金不足に悩んだといいます。
 
一方で、70兆円市場とも言われる電力業界。これまでは大手電力会社の独占状態が続いていたといいます。そんな業界に風穴が開いたのが2016年、電力自由化が認められました。
自動的に寄付金が集まる仕組みを作れないかと考えていた竹本さんは、電気料金に着目しTERA Energy(テラエナジー)株式会社を発足させました。
 
これまでの料金体系と発電方法に問題意識を持っていた竹本さん。TERA Energyでは、水力や太陽光といったクリーンな方法で発電された電力を販売しています。また、電力料金の一部は「京都自死・自殺相談センターsotto」や「気候ネットワーク」といった団体に寄付されるということです。
 
「自分の持っているお金をどこに支払うか?」と問いを投げかける竹本さん。私たちが支払うお金がどのように流れているのかを丁寧に解説したうえで、「環境問題を考える上ではこうした消費者の選択も重要ではないか」と述べられました。
 
「お金を払う」という行為を単に財やサービスを得るための手段だけではなく、その会社や団体を価値付ける行為を捉えることで、消費者の選択はれっきとした社会活動の一つとみなすことができます。
自死と電気は一見、全く繋がりの見えない2つのトピックですが、こうして世の中を俯瞰することで、課題解決の方法には沢山の可能性が残されていることに気付かされます。
 
集まった参加者からは「こういった企業がもっと増えれば社会が良くなるのではないか」といった声や、「意識を変えるべきなのは、富裕層や権力層なのでは」という意見があがりました。
 
image4京都市内を歩く宗教者ら。いのちの大切さや、地球の環境問題を訴えるプレートを持ち、およそ1時間行進した。
 
2人の講演の後、聖護院からキリスト教河原町教会までの道のりをあつまった宗教者らが行進。自死を考えている方に向けてのメッセージボードを持ち、人々にいのちの大切さを啓発しました。
キリスト教河原町教会に到着後、最後に賛美歌を歌って締めくくりました。あいにくの雨の中でしたが、人々に対してメッセージを発信することが出来たのではないでしょうか?
 
自死の問題に加えて、地球環境という観点から私たちの「いのち」を見つめた今回のLifeWalk2020。より多くの方が、こうした問題に関心を持つことを願うばかりです。
 
掲載日: 2020.03.27