【レポ】おなじみのお寺で仏教の教えを学ぶ。|「よいかなよいかな」ー兵庫県 西正寺
「仏教を学んでみたい!」と思っても、お寺にいく、お坊さんに尋ねるといった初めのアクションがなかなかできない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「カリー寺」やその他各種イベントでおなじみの兵庫県尼崎市 西正寺(さいしょうじ)さんでは、10月よりそんな仏教を学んでみたいというニーズに応えるイベントが始まりました。その名も「よいかな よいかな」。
このイベントの発案者は龍谷大学 政策学部4年生の内海ありささん(21)。龍谷大学では必修授業として「仏教の思想」という仏教の教えを学ぶ授業がありますが、彼女はその授業の単位こそ取得できたものの、仏教の知識が身についたかといえば、そうではなかったそうです。
せっかく龍谷大学に通っているのに、仏教の教えを知らないのは勿体無いと思った彼女は、以前より交流があった同寺の中平 了悟住職(42)に持ちかけ、今回のイベントが実現したとのこと。
第1回は10月24日(木)に行われました。今回はその時の様子をレポートしたいと思います!
はじまりはおつとめから
お寺で仏教の教えを学ぶということで、最初はお経のお勤めから始まりました。この日の参加者はおよそ10人。その多くがお経をお勤めすることが初めての方でした。なので、お勤めの前に中平住職が合掌・礼拝の作法、お経本の頂き方(開き方)や取り扱い方をレクチャー。
また、お経の発声の方法や節についても説明されました。ある参加者は「お経のお勤めひとつにもこんな作法があるとは」と驚いた様子。自宅にお仏壇こそあるものの、お経のおつとめまではしたことがないという方が多く、非常に新鮮に感じられたようです。
「仏さま」って?
お経のお勤めが終わると、中平住職の講義が始まります。第1回目のテーマは「仏さまって何ですか?」。最初に参加者の方から仏さまについてグループで話し合い、仏さまのイメージやわからないことを付箋に書き出し、ホワイトボードに貼ります。
単に仏教の教えを伝えるだけでなく、参加者同士で話し合う場を設ける。これもまた、コミュニティ作りに長ける西正寺さんならではですね。
仏さまのイメージは「蓮」、「たくさんおられる」、「唯我独尊」などなど様々。他にも「御文章とは何か?」「お寺や神社の違いは?」といった疑問もありました。
ホワイトボードに貼られた、仏さまのイメージやわからないことに対して、丁寧に解説する中平住職。参加者のみなさんから寄せられた質問の一部を紹介します。
「そもそも仏教って何ですか?」
「仏さまとはどのような方なのでしょうか?」
「仏さまは何人いるんですか?」
「仏さまと神さまは違うもの?」
「仏さまって、人ですか?それとも思い?」
「仏さまはなぜ立っているの?」
「仏さまの名称の由来は?」
等々
順番に、付箋の質問に触れながら、中平住職は、身近なことに置き換えたり、例えを用いられたりして、わかりやすい解説をされておりました。参加者の皆さんはうんうんと頷きながら仏教の話を聞き入っていました。
最後には、仏さまのさとりについて、「無分別智」(むふんべっち)という言葉を紹介されました。
仏教の智慧の世界からみると、わたしたちが常識としている、相対的な「ものの見方」の限界を知らされるようなお話で、聞いていたみなさんの「ものの見方」について、はっとさせられる気づきがたくさんあったようでした。
講義の最後に、参加者の皆さんで振り返りをします。再び3人から4人のグループになり、今日の講義で気づいたことや学んだこと、新たに思い浮かんだ疑問を共有しました。
参加者からは「今では日常語として使われている言葉がもともと仏教語だったことに驚いた」、「もともと仏教は少しだけ知っていたが、改めて基本を学ぶことで知識を整理することができた」といった声がありました。参加者の中には寺院出身の方もおられましたが、その方にとっても仏教を「伝える側」の視点で、新たな学びや気づきがあったようです。
新たなご縁作りのかたち
今回の「よいかな よいかな」の参加者の多くは、発案者の内海さんも含めて西正寺さんで行われているイベントにいつも来られている方でした。つまり、門徒さんという立場ではないものの、日常から西正寺さんと何らかの関わりがある方が、改めて仏教を学びたいと中平住職に求めた格好です。
これに対し、中平住職も「地域の大学生からこういう相談をもらえるようになったというのが、お寺として、僧侶としても今までできなかったステップに進めたように思います」とコメントされました。
お寺や仏教に関心がなかった方が、お寺での様々なイベントやコミュニティを通じて縁を深め、やがて仏教の教えを伝えるという、お寺本来の役割を発揮できる場が出来上がる。これもまた、一つのご縁作りのかたちなのかもしれません。
「よいかな よいかな」は来年1月以降も毎月1度行われる予定です。イベントの詳細については、こちら(Facebookページ)をご覧ください。
「カリー寺」やその他各種イベントでおなじみの兵庫県尼崎市 西正寺(さいしょうじ)さんでは、10月よりそんな仏教を学んでみたいというニーズに応えるイベントが始まりました。その名も「よいかな よいかな」。
このイベントの発案者は龍谷大学 政策学部4年生の内海ありささん(21)。龍谷大学では必修授業として「仏教の思想」という仏教の教えを学ぶ授業がありますが、彼女はその授業の単位こそ取得できたものの、仏教の知識が身についたかといえば、そうではなかったそうです。
せっかく龍谷大学に通っているのに、仏教の教えを知らないのは勿体無いと思った彼女は、以前より交流があった同寺の中平 了悟住職(42)に持ちかけ、今回のイベントが実現したとのこと。
第1回は10月24日(木)に行われました。今回はその時の様子をレポートしたいと思います!
はじまりはおつとめから
お寺で仏教の教えを学ぶということで、最初はお経のお勤めから始まりました。この日の参加者はおよそ10人。その多くがお経をお勤めすることが初めての方でした。なので、お勤めの前に中平住職が合掌・礼拝の作法、お経本の頂き方(開き方)や取り扱い方をレクチャー。
また、お経の発声の方法や節についても説明されました。ある参加者は「お経のお勤めひとつにもこんな作法があるとは」と驚いた様子。自宅にお仏壇こそあるものの、お経のおつとめまではしたことがないという方が多く、非常に新鮮に感じられたようです。
「仏さま」って?
お経のお勤めが終わると、中平住職の講義が始まります。第1回目のテーマは「仏さまって何ですか?」。最初に参加者の方から仏さまについてグループで話し合い、仏さまのイメージやわからないことを付箋に書き出し、ホワイトボードに貼ります。
単に仏教の教えを伝えるだけでなく、参加者同士で話し合う場を設ける。これもまた、コミュニティ作りに長ける西正寺さんならではですね。
仏さまのイメージは「蓮」、「たくさんおられる」、「唯我独尊」などなど様々。他にも「御文章とは何か?」「お寺や神社の違いは?」といった疑問もありました。
ホワイトボードに貼られた、仏さまのイメージやわからないことに対して、丁寧に解説する中平住職。参加者のみなさんから寄せられた質問の一部を紹介します。
「そもそも仏教って何ですか?」
「仏さまとはどのような方なのでしょうか?」
「仏さまは何人いるんですか?」
「仏さまと神さまは違うもの?」
「仏さまって、人ですか?それとも思い?」
「仏さまはなぜ立っているの?」
「仏さまの名称の由来は?」
等々
順番に、付箋の質問に触れながら、中平住職は、身近なことに置き換えたり、例えを用いられたりして、わかりやすい解説をされておりました。参加者の皆さんはうんうんと頷きながら仏教の話を聞き入っていました。
最後には、仏さまのさとりについて、「無分別智」(むふんべっち)という言葉を紹介されました。
仏教の智慧の世界からみると、わたしたちが常識としている、相対的な「ものの見方」の限界を知らされるようなお話で、聞いていたみなさんの「ものの見方」について、はっとさせられる気づきがたくさんあったようでした。
講義の最後に、参加者の皆さんで振り返りをします。再び3人から4人のグループになり、今日の講義で気づいたことや学んだこと、新たに思い浮かんだ疑問を共有しました。
参加者からは「今では日常語として使われている言葉がもともと仏教語だったことに驚いた」、「もともと仏教は少しだけ知っていたが、改めて基本を学ぶことで知識を整理することができた」といった声がありました。参加者の中には寺院出身の方もおられましたが、その方にとっても仏教を「伝える側」の視点で、新たな学びや気づきがあったようです。
新たなご縁作りのかたち
今回の「よいかな よいかな」の参加者の多くは、発案者の内海さんも含めて西正寺さんで行われているイベントにいつも来られている方でした。つまり、門徒さんという立場ではないものの、日常から西正寺さんと何らかの関わりがある方が、改めて仏教を学びたいと中平住職に求めた格好です。
これに対し、中平住職も「地域の大学生からこういう相談をもらえるようになったというのが、お寺として、僧侶としても今までできなかったステップに進めたように思います」とコメントされました。
お寺や仏教に関心がなかった方が、お寺での様々なイベントやコミュニティを通じて縁を深め、やがて仏教の教えを伝えるという、お寺本来の役割を発揮できる場が出来上がる。これもまた、一つのご縁作りのかたちなのかもしれません。
「よいかな よいかな」は来年1月以降も毎月1度行われる予定です。イベントの詳細については、こちら(Facebookページ)をご覧ください。
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他力本願ネット
人生100年時代の仏教ウェブメディア
「他力本願ネット」は浄土真宗本願寺派(西本願寺)が運営するウェブメティアです。 私たちの生活の悩みや関心と仏教の知恵の接点となり、豊かな生き方のヒントが見つかる場所を目指しています。
掲載日: 2019.12.19