京都・まぁいいかcafe(注文をまちがえるリストランテ)。認知症の方とほっとする時間【イベントレポ】
2019年7月21日(日)京都・宇治市にあるGOCHIOカフェさんにて、「まぁいいかcafe(注文をまちがえるリストランテ)」を開催。
まぁいいかcafe(注文をまちがえるリストランテ)とは、京都在住の平井万紀子さんが2018年より始められた活動です。
お母様が認知症になられ、同居をされたことをきっかけに、認知症の方や高齢者が働くことや、生活の豊かにしていくことを支援したいと考えておられた。
京都市の各地のお店やホテルを会場として、認知症の方が接客をされるカフェとして活動されています。
「認知症になっても一生懸命働く、もしかしたら、まちがえちゃうかもしれない。そんなまちがえを受け入れて、一緒に楽しむ、不思議であたたかな cafeオープン‼
認知症の人が『働くこと』を通して、『人と接する、社会とつながる』ことを実現させたい‼という思いのもと、介護者が中心となり、発信しています。
『まぁいいか』と少しだけ寛容になることができたら、その分、社会も寛容になっていく…
そんな素敵な世界が広がっていけばいいなぁと思っています。」
という思いのもと、介護者である平井さんとその仲間で、発信されています。
東京の「注文をまちがえる料理店」という企画への参加から始まり、京都を中心にこの企画を実施されています。
※「注文をまちがえる料理店」
今回で9回目となる「まぁいいかcafe(注文をまちがえるリストランテ)」は、これまで京都にある様々なカフェなどで活動されてきました。
今回のGOCHIOカフェさんは、お洒落なカフェとして地元で大人気。JR宇治駅前ということもあり、15時〜18時の間、「まぁいいかcafe(注文をまちがえるリストランテ)」としてオープンされました。
観光客のお客さんも多いなか、認知症の方が”キャスト”として、訪れたお客さまにお水を運んだり、接客してくださいました。
活動を主宰されている平井さんは、
「『社会課題は社会受容の問題でもある』・・という言葉が好きです。学校や社会では、『こうあるべき』『しなければならない』ということは教わりますが、実は世の中『まぁいいか』って思えることもいっぱいあって、その『まぁいいか』精神が少しずつでも広まれば、思いやりのある社会になっていくかもしれないなぁと思い、お店の名前は『まぁいいか』にしました。
『迷惑を掛けたらダメ』と日本では教えられるけど、、
『人間生きていたら、知らず知らずのうちに人に迷惑を掛けてしまってることも多々あるから、人の迷惑もある程度は許容しようよ』・・っていう考え方の方が好きです。」
接客をしてくださるキャストの方々は、認知症の進行度がそれぞれ違った75歳以上の男性1名と女性4名。お水を運ぶのも、通常のカフェとは違いゆっくり、注文もなかなか伝わらず、何度もゆっくりお伝えすることも……!それでも、嫌な気持ちは全くせず、一緒に注文をとるお手伝いをしたりと、「まぁいいか!」と言いながら隣の方と笑顔で自然と会話が生まれました。
もちろん、通常のカフェ運営もしておられるので、何気ない会話やちょっと休憩にお店に入られてる方もたくさんいらっしゃいました。
お客さまは、以前からこの活動に興味がある方や、京都にたまたま観光にこられ、企画内容を全くご存知ない観光客の方など、年齢も性別も様々でした。
企画の主旨をご存じない方には、入り口でスタッフの方が丁寧に企画趣旨を説明されていました。海外からのお客様はこの企画に興味津々で、キャストである認知症のおばあさまと記念撮影をされたりと、カフェは大盛況でした。
通常のカフェメニューももちろんのこと、この会のために特別に用意された”まぁいいかセット”という、抹茶ゼリーとドリンクのセットが用意されていました。まぁいいかセットのお値段の一部がこの活動に寄付されるという仕組みです。抹茶にこだわりを持って、提供されているお店のようで、抹茶ゼリーもとても美味しかったです!
この企画を平井さんが始められた1つのきっかけとなった、梶本さん(25)と加藤さん(23)のお二人にお話を少し聞かせていただきました。
「社会課題がたくさんあると思うんですが、それを、もう少しポップに楽しく解決していけるのが、持続可能にしていくことだと思ってます。この『まぁいいかcafe(注文をまちがえるリストランテ)』は、暗く捉えられがちな介護のイメージもある中でネーミングも、雰囲気も明るくて大事な問題をより考えやすい状況にしていると思います」
「でこぼこな関係が解決できることがあるはず。見せちゃいけないって思われていたことを見せていくことの凄さがあると思ってます」
何度もこの会に参加されている、京都の高齢者施設のデイサービスで働かれている介護士の谷本さんは、以前に働いていた職場の利用者のおじいさまが今日はキャストとして働いておられるので、参加されたとのこと。
「この活動、カフェに来るとキャストの皆さんの顔がとても生き生きされていて、嬉しくなるんです!」と、とても輝いた表情で話しくださいました。
谷本さんは、介護のお仕事がとても楽しいと話してくださいました。一度は一般企業で働かれていましたが、この仕事にかえってきて今もデイサービスでお勤めをされておられるようです。
「介護の仕事は、一瞬一瞬の私の感覚や表情、態度で色々と変化していくのが本当に楽しい。だからこの、まぁいいかカフェにも毎回来るんですよ」
奈良県よりこられた看護師の方は、「認知症に関する仕事をしていますが、プライベートでももっと認知症の方に関わっていきたい」と優しい笑顔でお話しくださいました。
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間違えてはいけない、失敗してはいけない、仕事は早くしないといけない、そんな空気がどこか流れている社会で、この企画は参加した人がどこか、ほっとするような気持ちになります。
少子高齢化がますます進み、2025年には、高齢者の5人に1人が認知症になり、日本において、価値観の転換をうながしてくれるような企画になるのではないでしょうか?
「まぁいいか〜」と自分にも相手にも言える社会ってゆとりと余裕があって、いいなぁと思いました。
「まぁいいかcafe(注文をまちがえるリストランテ)」は、毎月京都中心で開催されるとのことです!あなたも「まぁいいか」っと思える空間や人との出会いに、訪れてみませんか?
まぁいいかcafe(注文をまちがえるリストランテ)を主催されておられる、平井さんのインタビュー記事も近日公開予定です!お楽しみに!
今後の展開について平井さんは、
「今後の活動としては、『まぁいいかcafe(注文をまちがえるリストランテ)』のだけにとどまらず、アイデアソンやワークショップ、ピア活動開催等、一人の『介護者』である強みと特徴をより具体的な企画に落とし込んで、くりくんでいきたいです!
『何かしないといけない!』っていう感覚よりも『楽しいから!やりたいからやる!』を軸にいろんな企画に挑戦する予定です。ご興味ある方はぜひご連絡をください!」
今後の「まぁいいかcafe(注文をまちがえるリストランテ)」のご予定はこちら
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