〜素晴らしい活動を世の中へ発信〜社会整理士育成協会|鈴木健司さんインタビュー③
害虫駆除から生前整理、遺品整理と多岐にわたる業務をこなす鈴木健司さんへのインタビュー。
これまで2回の記事に渡って鈴木さんをご紹介してまいりました。鈴木さんは、美鈴環境サービスという会社の代表取締役をされている一方で、一般社団法人 社会整理士育成協会(以下、社会整理士育成協会)の理事もされています。続けては、この法人の立ち上げ経緯についてお伺いしました。
社会整理士育成協会立ち上げの経緯とは
ーー害虫駆除や特殊清掃などのお片づけの会社もされている一方で、一般社団法人 社会整理士育成協会も立ち上げられたきっかけはありますか?
鈴木:立ち上げたのは私と父親と2人で、事務局として小笹さん(小笹さんのインタビュー記事はこちら)にお願いしています。そもそも社会整理士のボランティアを立ち上げようと思ったきっかけは、スーパーボランティアの尾畠春夫さんの存在でした。尾畠さんは2018年の行方不明児発見で一躍時の人となった方ですが、あの時子どもさんを見つけておられなければ、私は今でもその存在を知らなかったと思います。しかし、知らないだけで世の中には尾畠さんのような素晴らしい社会貢献をしている方がたくさんおられると思いました。世の中にはこのような方達が日本を支えてくれているということを次世代の方へ発信していきたいと思ったことがきっかけです。
ーー今の世の中の大人がイマイチだ、みたいな感覚でしょうか?
鈴木:イマイチというのはないです。大人の背中を見て、子どもは育っていくので、大人はお手本にならないといけないと思うのです。例えば若い子の場合、SNSなどで大人を批判していることもあると思います。でも、本当は、世の中に立派な人がたくさん居るんだなぁと、純粋に知ってほしいのです。もちろん逆に大人が教えられることだってたくさん有ります。
ーー確かに、そういった大人がいると、希望になりますよね。
鈴木:はい。僕は社会貢献は昔からずっとやりたかったんですよ。
ーー何かきっかけはあったのですか?
鈴木:私は、環境経営士(企業の環境経営および環境保全活動に対し、適切な支援・アドバイスを行う専門家のこと)という資格をもっています。
この資格を取る前にお世話になった先生がおられました。その先生が、実は大きな病をされて病院へ運ばれもう永くはないと宣告されたのですが、奇跡的に復活されたんです。
それからその先生は毎日、高尾山にゴミを拾いに登ったと。そして、毎年1本ずつ桜の木を植樹されていたというお話を聞いて大きな感銘を受けました。
その話を聞いてから僕も毎日ゴミ拾いを始めてみました。しかし、1年後、妻から「危ないからやめて」と言われたのでやめましたが、やっぱり綺麗になるのは見て気持ちが良いものです。ゴミが落ちている場所を歩くのと、ゴミがない場所を歩くのは視覚だけではなく心の部分でも全然違うと思います。
僕も足元からできることはやろうと思っています。大手企業のように売上の一部を社会貢献に回そうというのは大きくは出来ませんが僕は僕なりにできることはやろうと思います。
その先生は亡くなられてしまったのですが、僕もいつかちゃんと会社として社会貢献をやろうと。会社としてやりたいと思ったんです。
特に、笑顔相続で日本を変えると精力的に活動されている先生や同志の方々の活動も伝えていきたいと思っています。
大手の新聞社などのメディアが来て、やっと知ってもらうのではなく、小さくても拡散してほしいと思っています。
もちろん、今インタビューをして頂いています、他力本願.netさんのような活動も皆さんに知って頂きたいと思っています。
ーーありがとうございます。なんか、照れますね。確かに、いい活動やいいニュースを聞くと自然と心が明るくなっていくような気がします。
鈴木:はい。ニュースはどちらかというとネガティブ情報が多いと感じます。子どもの事故や、殺人事件など……。もちろん、そうした報道も大事なんですけどね。
TVでできないのなら僕らが情報を出していこう!という思いで、社会整理士育成協会を立ち上げました。
そして、全国でこのような片付け(小さなゴミ拾いや生前整理)ができる人たちを増やしていきたいということと、相続・終活相談も利益追及ではなく、お客様の想いを大切にして相談に乗ってくださる、先生たちをご紹介できるような協会にしたいと思っています。
社会整理士育成協会の活動とは?
ーー社会整理士育成協会は、どういう仕組みなのでしょうか?
鈴木:当会の活動は大きく4つあります。
1つ目は、社会貢献者の活動発信事業。2つ目は、相続・終活・お片付けの窓口。3つ目は「おもいやりの学校」の開催。4つ目は、孤立死対策に関する活動。
特に社会貢献者の活動発信事業と孤立死対策には力を入れたいと考えています。
社会貢献者の活動発信事業というのは、例えば滋賀県野洲市では、一人暮らしの方々にとって住みよい町づくりの取り組みをしておられます。様々な社会貢献の形を知れば「私達もこれなら取り組める」と思って行動に移しやすいと思います。何も無いところから、何かいいことしよう!というのはなかなか難しいので。今は、たくさん社会貢献されている方々の情報がほしいですね。
もう1つ孤立死対策に関する活動。とにかく僕は孤立死を減らしたいと考えています。ご家族の中で出来ることもたくさん有ります。例えば、娘さんが独居のおばあちゃんにLINEで、朝「おはよう」夜「おやすみ」など毎日メッセージを送信します。既読機能を活用して、「あ、今日も元気だなぁ」と確認できる。身近にあるもので取り組める簡単なことも有ります。
他にも空き家の活用方法や、見守りサポートなどの情報をブログで発信していきたいです。
ーー何か紹介や掲載にあたっての基準はありますか?
鈴木:はい。当会は6つのストップを掲げており、これは遺品整理や特殊清掃の現場で感じ取ったこれから増えるであろう社会問題です。
①ストップ孤立死
②ストップ重度の認知症
③ストップ悪徳詐欺被害
④ストップペットの孤立死
⑤ストップ廃棄の増加
⑥ストップ揉める相続(争族)
これらの問題に対して活動をされている方を取り上げていきたいと思います。
ーー最後に僧侶に向けて何か叱咤激励があれば教えてください!
鈴木:叱咤激励というより僧侶のみなさんにお願いが有ります。
みなさん立場上、説法などでお話をされる機会が多々あると思います。その際に、終活・相続・生前整理などの必要性、大切さを伝えて頂けたら有難いです。そうすることで、僧侶の方々も檀家さんとのコミュニケーションが深まるのではないでしょうか。
僧侶の紹介のご依頼があった際、菩提寺の僧侶の方には遠方の為お願いできず、お母様を亡くされた20年前に法要を依頼された近隣のお寺(僧侶)にお願いしようと思ったのですが、わからないということが起こりました。
宗派はわかっていたので、当会で近隣のお寺(僧侶)を探し、法要の依頼しました。当日、来てくださった僧侶の方は偶然20年前お母様の法要をしてくださった僧侶の方だったので、良かったんですよね。
世代が変わり関係が途絶えることもあるのかもしれませんが、このような時に法要を依頼するお寺(僧侶)がわからないとお客様も困られますし、何らかの形で次世代に繋げていけるようにしてほしいですね。
ーーありがとうございました。
世の中には、認知されていないものの素晴らしい活動をされている方が沢山いらっしゃる。そんな方々を取り上げ、web上でもっともっと発信していきたい。そのような強い思いを語っていただきました。そして、素晴らしい方を取り上げるメリットは、単にその方がもっと多くの人に認知されるだけでなく、やりたいと思っているけどなかなかできないと思っている方の背中を押すことができるということです。インターネットの発信力、拡散力は紙媒体のそれとは段違いに大きなものです。この特性を活かし、素晴らしい活動をされている方にスポットライトが当たるよう、そして活動をされる方が一人でも増えれば、それだけ社会は良い方向へと向かいます。
最後に、鈴木さんには我々僧侶に向けてのメッセージもいただきました。実際の現場での経験を通して語られるメッセージは強い説得力があります。昨今では仏教離れ、寺離れといったネガティブなワードが仏教界を取り巻きますが、一方で「死」という突然の出来事に直面した方々が依りどころとするお寺や僧侶がおらず困っているというのも事実です。我々僧侶が工夫して、お寺のあり方を考えたり、仏法を次代へと繋げてゆくことが重要になってくるように思います。
鈴木さんへのインタビューは全3回にわたってお届けしています。第一回、第三回はこちらをご覧ください。
これまで2回の記事に渡って鈴木さんをご紹介してまいりました。鈴木さんは、美鈴環境サービスという会社の代表取締役をされている一方で、一般社団法人 社会整理士育成協会(以下、社会整理士育成協会)の理事もされています。続けては、この法人の立ち上げ経緯についてお伺いしました。
社会整理士育成協会立ち上げの経緯とは
ーー害虫駆除や特殊清掃などのお片づけの会社もされている一方で、一般社団法人 社会整理士育成協会も立ち上げられたきっかけはありますか?
鈴木:立ち上げたのは私と父親と2人で、事務局として小笹さん(小笹さんのインタビュー記事はこちら)にお願いしています。そもそも社会整理士のボランティアを立ち上げようと思ったきっかけは、スーパーボランティアの尾畠春夫さんの存在でした。尾畠さんは2018年の行方不明児発見で一躍時の人となった方ですが、あの時子どもさんを見つけておられなければ、私は今でもその存在を知らなかったと思います。しかし、知らないだけで世の中には尾畠さんのような素晴らしい社会貢献をしている方がたくさんおられると思いました。世の中にはこのような方達が日本を支えてくれているということを次世代の方へ発信していきたいと思ったことがきっかけです。
ーー今の世の中の大人がイマイチだ、みたいな感覚でしょうか?
鈴木:イマイチというのはないです。大人の背中を見て、子どもは育っていくので、大人はお手本にならないといけないと思うのです。例えば若い子の場合、SNSなどで大人を批判していることもあると思います。でも、本当は、世の中に立派な人がたくさん居るんだなぁと、純粋に知ってほしいのです。もちろん逆に大人が教えられることだってたくさん有ります。
ーー確かに、そういった大人がいると、希望になりますよね。
鈴木:はい。僕は社会貢献は昔からずっとやりたかったんですよ。
ーー何かきっかけはあったのですか?
鈴木:私は、環境経営士(企業の環境経営および環境保全活動に対し、適切な支援・アドバイスを行う専門家のこと)という資格をもっています。
この資格を取る前にお世話になった先生がおられました。その先生が、実は大きな病をされて病院へ運ばれもう永くはないと宣告されたのですが、奇跡的に復活されたんです。
それからその先生は毎日、高尾山にゴミを拾いに登ったと。そして、毎年1本ずつ桜の木を植樹されていたというお話を聞いて大きな感銘を受けました。
その話を聞いてから僕も毎日ゴミ拾いを始めてみました。しかし、1年後、妻から「危ないからやめて」と言われたのでやめましたが、やっぱり綺麗になるのは見て気持ちが良いものです。ゴミが落ちている場所を歩くのと、ゴミがない場所を歩くのは視覚だけではなく心の部分でも全然違うと思います。
僕も足元からできることはやろうと思っています。大手企業のように売上の一部を社会貢献に回そうというのは大きくは出来ませんが僕は僕なりにできることはやろうと思います。
その先生は亡くなられてしまったのですが、僕もいつかちゃんと会社として社会貢献をやろうと。会社としてやりたいと思ったんです。
特に、笑顔相続で日本を変えると精力的に活動されている先生や同志の方々の活動も伝えていきたいと思っています。
大手の新聞社などのメディアが来て、やっと知ってもらうのではなく、小さくても拡散してほしいと思っています。
もちろん、今インタビューをして頂いています、他力本願.netさんのような活動も皆さんに知って頂きたいと思っています。
ーーありがとうございます。なんか、照れますね。確かに、いい活動やいいニュースを聞くと自然と心が明るくなっていくような気がします。
鈴木:はい。ニュースはどちらかというとネガティブ情報が多いと感じます。子どもの事故や、殺人事件など……。もちろん、そうした報道も大事なんですけどね。
TVでできないのなら僕らが情報を出していこう!という思いで、社会整理士育成協会を立ち上げました。
そして、全国でこのような片付け(小さなゴミ拾いや生前整理)ができる人たちを増やしていきたいということと、相続・終活相談も利益追及ではなく、お客様の想いを大切にして相談に乗ってくださる、先生たちをご紹介できるような協会にしたいと思っています。
社会整理士育成協会の活動とは?
ーー社会整理士育成協会は、どういう仕組みなのでしょうか?
鈴木:当会の活動は大きく4つあります。
1つ目は、社会貢献者の活動発信事業。2つ目は、相続・終活・お片付けの窓口。3つ目は「おもいやりの学校」の開催。4つ目は、孤立死対策に関する活動。
特に社会貢献者の活動発信事業と孤立死対策には力を入れたいと考えています。
社会貢献者の活動発信事業というのは、例えば滋賀県野洲市では、一人暮らしの方々にとって住みよい町づくりの取り組みをしておられます。様々な社会貢献の形を知れば「私達もこれなら取り組める」と思って行動に移しやすいと思います。何も無いところから、何かいいことしよう!というのはなかなか難しいので。今は、たくさん社会貢献されている方々の情報がほしいですね。
もう1つ孤立死対策に関する活動。とにかく僕は孤立死を減らしたいと考えています。ご家族の中で出来ることもたくさん有ります。例えば、娘さんが独居のおばあちゃんにLINEで、朝「おはよう」夜「おやすみ」など毎日メッセージを送信します。既読機能を活用して、「あ、今日も元気だなぁ」と確認できる。身近にあるもので取り組める簡単なことも有ります。
他にも空き家の活用方法や、見守りサポートなどの情報をブログで発信していきたいです。
ーー何か紹介や掲載にあたっての基準はありますか?
鈴木:はい。当会は6つのストップを掲げており、これは遺品整理や特殊清掃の現場で感じ取ったこれから増えるであろう社会問題です。
①ストップ孤立死
②ストップ重度の認知症
③ストップ悪徳詐欺被害
④ストップペットの孤立死
⑤ストップ廃棄の増加
⑥ストップ揉める相続(争族)
これらの問題に対して活動をされている方を取り上げていきたいと思います。
ーー最後に僧侶に向けて何か叱咤激励があれば教えてください!
鈴木:叱咤激励というより僧侶のみなさんにお願いが有ります。
みなさん立場上、説法などでお話をされる機会が多々あると思います。その際に、終活・相続・生前整理などの必要性、大切さを伝えて頂けたら有難いです。そうすることで、僧侶の方々も檀家さんとのコミュニケーションが深まるのではないでしょうか。
僧侶の紹介のご依頼があった際、菩提寺の僧侶の方には遠方の為お願いできず、お母様を亡くされた20年前に法要を依頼された近隣のお寺(僧侶)にお願いしようと思ったのですが、わからないということが起こりました。
宗派はわかっていたので、当会で近隣のお寺(僧侶)を探し、法要の依頼しました。当日、来てくださった僧侶の方は偶然20年前お母様の法要をしてくださった僧侶の方だったので、良かったんですよね。
世代が変わり関係が途絶えることもあるのかもしれませんが、このような時に法要を依頼するお寺(僧侶)がわからないとお客様も困られますし、何らかの形で次世代に繋げていけるようにしてほしいですね。
ーーありがとうございました。
世の中には、認知されていないものの素晴らしい活動をされている方が沢山いらっしゃる。そんな方々を取り上げ、web上でもっともっと発信していきたい。そのような強い思いを語っていただきました。そして、素晴らしい方を取り上げるメリットは、単にその方がもっと多くの人に認知されるだけでなく、やりたいと思っているけどなかなかできないと思っている方の背中を押すことができるということです。インターネットの発信力、拡散力は紙媒体のそれとは段違いに大きなものです。この特性を活かし、素晴らしい活動をされている方にスポットライトが当たるよう、そして活動をされる方が一人でも増えれば、それだけ社会は良い方向へと向かいます。
最後に、鈴木さんには我々僧侶に向けてのメッセージもいただきました。実際の現場での経験を通して語られるメッセージは強い説得力があります。昨今では仏教離れ、寺離れといったネガティブなワードが仏教界を取り巻きますが、一方で「死」という突然の出来事に直面した方々が依りどころとするお寺や僧侶がおらず困っているというのも事実です。我々僧侶が工夫して、お寺のあり方を考えたり、仏法を次代へと繋げてゆくことが重要になってくるように思います。
鈴木さんへのインタビューは全3回にわたってお届けしています。第一回、第三回はこちらをご覧ください。
Interviewee’s profile
鈴木健司(すずき けんじ):有限会社美鈴環境サービス代表取締役、一般社団法人 社会整理士育成協会 代表理事。1972年、京都市生まれ。父の仕事がきっかけで、害虫駆除に携わる。1999年に現在の会社を立ち上げ、2006年より同社代表取締役。2015年に遺品整理士・遺品査定士の資格を取得し、遺品整理事業に参入。2019年、一般社団法人 社会整理士育成協会 代表理事、一般社団法人 相続診断協会 京都相続診断士会 副会長に就任。
Author
他力本願ネット
人生100年時代の仏教ウェブメディア
「他力本願ネット」は浄土真宗本願寺派(西本願寺)が運営するウェブメティアです。 私たちの生活の悩みや関心と仏教の知恵の接点となり、豊かな生き方のヒントが見つかる場所を目指しています。
掲載日: 2019.11.15
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