「嫌なできごとが忘れられません」【みんなの人生僧談】
・コンサル僧侶
10年間、企業コンサルタントとして活躍するが、自身の人生を改めて振り返った時に、利益至上主義の生き方に限界を感じ、一念発起。僧侶となる。
・サイバー僧侶
お寺生まれIT育ち。趣味が高じてIT業界に進むも、自らの使命に気付き僧侶の道に。最新機器への物欲が目下の悩み。
「嫌なできごとが忘れられません」
過去に嫌なことがあったのですが、いまだに忘れることができません。どのようにすれば、きれいに忘れることができるでしょうか?
ーーー
サ:内容はともかく、誰しもあるよね。嫌なできごと。
コ:嫌なことを人に聞いてもらうというのはどうなんだろう?
サ:それは人にもよるんじゃないかな?
コ:少し違う捉え方はできないかな。
サ:「嫌なできごと」というのを固定的に見てしまうからなかなか忘れられないんじゃないだろうか。
コ:仏教で言う、「諸行無常」だね。物事は常に変化し続ける。やまない雨はないと捉えることが大事なんじゃないかな。「忘れないこと」なんてできないということを知るとちょっと楽になるかもしれない。
サ:人間は忘れる生き物だからね。
サ:辛さがゼロにはならないけど、思い続けている時間は短くなっていくことはあると思う。
コ:もしくは、今日が辛さのピークだと考えるとちょっと楽になるのでは?
コ:確かに。この前お参りへ行った時に、奥さんを亡くした門徒さんが話してくれたことなんだけど、奥さんを亡くして、気持ちとしては本当に辛い。でも辛さは変わらないけど、月日が立つにつれて、思い出す時間は短くなっていってると。
サ: 忘れるには時間が必要、その時間の苦しさを和らげるために、許容される場所を探そう。
コ:許容される場所というのは?
サ:人にもよるけど、誰かに聞いてもらうのも一つの手段だね。
コ:やっぱりそれも大事だね。
サ:忘れるまでのその時間は誰かに聞いてもらうといいよね。
ーー
サ:もしくは、無理に忘れることはないのかもしれないという方法もあるのでは。
コ:逆の発想だね。
サ:あなたの人生にとって大事な問題が絡んでいるからかもしれない。そういうときは向き合うことで、新たな気づきに出会えるかもしれない。
仏教では「一切皆苦」と捉えますよね。苦しいというのが前提で仏教が始まっています。
ですが、その嫌なこと、つまり「苦」は、固定的にありつづけるものではない。「諸行無常」と言うように。
つまり、人生の中で苦しみは付きものだけど、それがずっと続くこともないと捉えてみましょう。もしくは、忘れられないことを、あなたの人生にとって大切な問題として、向き合ってみるというのも一つの手ではないでしょうか?
「嫌なできごと」を少し違う捉え方をすることで、少しでも気持ちが楽になれば幸いです。
Author
他力本願ネット
人生100年時代の仏教ウェブメディア
「他力本願ネット」は浄土真宗本願寺派(西本願寺)が運営するウェブメティアです。 私たちの生活の悩みや関心と仏教の知恵の接点となり、豊かな生き方のヒントが見つかる場所を目指しています。
掲載日: 2020.02.07