「ペットの死を理由に部下が会社を休んだ」
≪本日の僧侶プロフィール≫
理詰め僧侶
寺院の長男として生まれ、仏教について幅広く修学している。理性的に物事を考える性格の持ち主。愛娘を溺愛するほど、子煩悩な一面もある。
毒舌僧侶
人生がなかなかうまくいかず、これまでに何度も辛酸をなめてきた。そのため、人の心の痛みはよくわかる反面、ふだんはなかなか素直にならず、突き放した物言いも多い。
学者僧侶
幼少の頃より、生死の問題に強い関心を持っていたが、いつの頃からか、その答えを仏教に求めるようになる。気付いた時には、仏教研究者に。師匠の勧めで僧侶となる。
愛犬恐妻僧侶
友人を事故で亡くしたことにより、仏教に関心を持ち、僧侶となる。最近子犬を飼い始め、趣味が飲酒から散歩に変わる。仕事熱心だが、妻には弱腰。
≪本日の人生僧談≫
40代男性からの相談
「ペットの死を理由に部下が会社を休んだ」
大事なプレゼン当日、突然部下が体調不良で休みました。幸いファイルはあったので私がプレゼンしたのですが、準備不足で結果は散々でした。後日、部下に詳しい話を聞くと、飼い犬が死んでしまい寝込んでいたとのこと。社会人がこういう理由で会社をサボるのはいかがなものかと、憤慨しています。
学:うーん、これは納得いかないのはわかるよね。でも、体調不良になったのはホントだろうし、部下が正直に言ってくれたことも認めてあげてほしいな。
毒:うがった見方かもしれないけど、プレゼンの結果が悪かったから、やつあたりしているところもあるんじゃない?うまくいっていたら、問題なかっただろうし。
理:そもそもこの職場のバックアップシステム自体に問題があるのでは?上司だったら、部下がプレゼンする内容を把握していて当然。チーム全体で共有しておく必要があったんじゃないかな。
学:この失敗を次に活かしてほしいね。
愛:僕も犬を飼っているけど、飼う前は上司の気持ちだったかな。でも、犬を飼うようになってからは、部下の気持ちがよくわかる。他人から見れば、たかがペットと思うかもしれないけど、ペットは家族同然。いや、人によっては、それ以上の愛情があるかもしれない。
理:部下にとってみれば、プレゼンが大事なことはわかっていたと思うけど、電話もできないぐらいに落ち込んでいたのかもね。それに、上司がいるから大丈夫と信頼する気持ちもあったんじゃないかな。
毒:でも、社会人としては、すぐに連絡する必要があると思う。もしかしたら、ペットのことだけではなくて、他に理由があるのかも。たとえば、プレゼンのプレッシャーに負けただけとか。
学:いずれにしでも、上司としては、部下の気持ちがわかろうとすることが大事じゃないかな。腹が立つのもわかるけど、感情的に怒りを部下にぶつけるのではなく、少し冷静になって、しっかりと本音で話し合えば、部下のことがよくわかるだろうし、お互いに納得がいくかも。
理:チームとしても、価値観を共有することは大事だと思う。相談者も犬を好きになる必要はないけど、犬を好きな部下のことを理解しようとしてほしいね。
学:仏教的な価値観でいうと、人はそれぞれみんな尊い存在。それぞれに違う「ものさし」を持っているだろうけど、お互いにそれを受け容れようとすれば、関係はうまくいくかもね。
《中締め》
人はそれぞれに違う価値観を持っている。相談者が憤慨するのももっともだが、少し冷静になって、部下の価値観や気持ちをわかろうとつとめてみては?そうすることでチームとしての絆が強まったり、新たな関係性が築けるかもしれない。