「夢を追うのか、現実を見て社員になるべきか」【みんなの人生僧談】
本日の人生僧談
最近、夢を多く持つようになった。夢を追う人生も素敵である。バイト先には女優・俳優志望、声優志望など多い。だが、夢だけ求めていても現実(世間)は厳しい。現実を見て社員になったほうが人生はよいのだろうか?
公務員僧侶(以下:公):こういう悩みや葛藤って、世襲の僧侶にもあるかもしれないね。跡継ぎの長男は、自分の夢が持ちづらかったり。
コンサル僧侶(以下:コ):みんなはお寺の跡を継ぐ時どうだった?
美声僧侶(以下:美):自分の将来が決まっている既定路線が最初はいやでしたね。特殊な自分の身の置き所にとまどっていて……サラリーマンというか、普通にあこがれました。
学者僧侶(以下:学):僕もお寺と違う世界にいってみたい、という思いがあった。学生時代は芸術家、映画監督になりたくて。でも現実の中で夢も変わっていったかんじ。まあ、お寺を継いだ今でも、居酒屋経営やプロ野球選手に興味はあるけど。
コ:みんな結構いろいろやりたいことあるんだね。
それでもお寺を選んだのはなんでだろう?
美:実は親に継げと言われたことは一度もなくて。学生時代、映像関係の仕事をしたいと親に相談しました。全力で応援すると言ってくれたのですが、同時に、もうお寺には帰ってくるなよとはっきり言われたんです。
コ:良い親だね。
美:そのとき自分の覚悟のなさに気付いてしまって。お寺を保険と考えてたんですね。そのことがきっかけでお寺のことに真剣に向き合い、受け容れ、大切なものになりました。いまある環境にどういう意味を見いだすか、受け止め方次第で広がりがあるというのが実体験ですね。
学:一人で妄想するのではなく、まわりに相談したり実際にアクションを起こせば、本当にしたいことがはっきりするかもね。
公:そうだね。この相談者は「最近、夢を多く持つようになった。」といってるし、まだ自分がしたいことがぼんやりしている気がする。
コ:ちょっと浮ついてるというか、夢と現実を全く別ものと考えてそうなのが少し気になるな。夢を追いかけるということは今現実としてそのための準備、トレーニングをしてなきゃいけないと思う。
学:俳優にせよ、社員にせよ、どの道も現実に続けていくのは大変だよね。
公:そもそも夢をもつのはかっこいいけど、持たない人はだめかというとそんなことはないと思う。それに、世の中には社員になることを夢見ている人もいるわけで。贅沢な悩みなのかも。
公:ないものねだりな印象はあるよね。やっぱり人間の欲望、貪りの心は際限がないものだから。
美:いま恵まれている環境、与えられた条件をまずは受け止めて、後悔のない選択をしてほしいですね。
公:問いがあること、将来を考えようとしてることはいいことだと思う。
普通は働き始めてずっと後に疑問をもつことが多いから。いましかないこの時間を大切にしてほしい。
まとめ
悩み、問いをもつことはよいこと。ただし、夢を妄想するのではなく、現実にアクションを起こそう。もしかすると隣の芝生が青く見えているだけかもしれない。いま恵まれている状況にいることを、まずは認識しよう。
本日の僧侶プロフィール
コンサル僧侶
10年間、企業コンサルタントとして活躍するが、自身の人生を改めて振り返った時に、利益至上主義の生き方に限界を感じ、一念発起。僧侶となる。
公務員僧侶
公のために生きることを自分の生きる道と定めて公務員になるが、公を大切にすればする程、家族をほったらかしにせざるを得ない現実にぶつかり、納得のできる生き方を求めて僧侶となる。
学者僧侶
幼少の頃より、生死の問題に強い関心を持っていたが、いつの頃からか、その答えを仏教に求めるようになる。気付いた時には仏教研究者に。師匠の勧めで僧侶となる。
美声僧侶
仏教の知識のみならず、美声を活かした読経も魅力。 毎日の剃髪を欠かさず、純度の高い生活を心がける正統派僧侶。
みんなの人生僧談とは?
「みんなの人生僧談」では、様々な経歴を持つ僧侶たちが、世の中のよくある悩みを勝手にテーマにして座談会形式で自由に話しあいます。