視覚以外に訴える絵を描きたい|豊田真理沙さんインタビュー<前編>
今回のインタビューのお相手は、NHK 連続テレビ小説『てっぱん』で笹井拓朗部屋の絵画指導を担当された画家・僧侶の豊田真理沙さんです。
―芸術に興味をもったきっかけは?
幼い頃から絵を描くことが大好きでした。紙とペンがあったら、いつも紙に絵を描いていました。
また似顔絵を描いてまわりの人に見せると喜んでくれました。そんな喜んでくれる姿を見て「もっと描きたい」と思うようになりました。
―生まれ育った北九州市から関西にやってきて芸術活動が本格化しました。
大阪芸術大学でデザインを学びました。そのあと京都造形大学大学院で芸術表現を学びました。大学院のときNHKのプロデューサーの方が大学でわたしの作品を見られて、連続ドラマ『てっぱん』での笹井拓朗部屋・絵画指導担当をさせていただくこととなりました。その後、連続ドラマ『純と愛』にも絵を出させていただきました。
―作画のときはどんな心持ちでキャンバスにむかいますか?
画家によって音楽を聞いたり鼻歌をうたったり色々ですが、わたしは静かな状態でキャンバスにむかいます。ですから無言、無音の状態で絵を描きます。
あとは、ライブに行ったり動物園に行ったり刺激を受けたあと、漠然とイメージがわいてくるんです。そのイメージを大切にしながら絵を描き始めます。ちなみに作品は一枚ずつ描きます。
―あらかじめ画像が頭の中にあるのでしょうか?
うーん、漠然としたイメージや想いが自分の中にあって、最初はらくがき感覚で手を動かしながら徐々にできあがっていく感です。途中で絵と会話をしながら変化していくこともあります。
―絵を描くときに大切にしていることはありますか?
「食べたくなる絵」「さわりたい絵」「香りのする絵」を目指してます。絵は視覚にしか訴えることができません。けれども、その絵を通して嗅覚、味覚、聴覚、触覚などの感覚器官を刺激できたらなと思っています。
例えば、わたしの作品にSoundishというのがありますが、これはsound(音)とfish(魚)を組み合わせた造語で、魚が音を奏でるという作品です。作品を見て想像がふくらめばいいなと思って描きました。
―作風は色が多彩でけっこう明るい印象をうけます。こだわりは?
子供たちが笑顔になるような絵、あったかくなる絵を描きたいと思っています。そのため自然と色彩は豊富になっていきますね。
―今はどんな絵を描いていますか?
似顔絵から抽象画までいろいろ描きます。最近は反立体的な絵(マットの絵)を描いています。それから、今後は仏教を題材にした絵を描こうと思っています。
僧職図鑑13―豊田真理沙(とよだまりさ)―《後編》