限られた時間での収録。その中で生まれたものとは|奥田×及川「時のかけら」を語る④
LIFE SONGSオリジナルソング「時のかけら」完成記念対談企画。制作者であるLIFE SONGS代表の奥田章吾さんと及川良生さんに、制作裏話を伺います。
これまでのLIFE SONGSが紡いできたかけがえのない想い、それを一つの歌にしようと制作された「時のかけら」。及川さんにより作詞作曲され、レコーディング、そしてCDやMVの制作へと企画が進行します。対談企画第4回では、レコーディングの裏話を奥田さんと及川さんにお話しいただきました。
Profile
奥田章吾(おくだしょうご 以下:奥田)北海道出身。2019年まで龍谷大学実践真宗学研究科に在籍しながら「LIFE SONGS」の活動を実施。現在は西本願寺の勤式(ごんしき)指導所で、勤式作法を学ぶ。サッカーと音楽が好き。あだ名は「おくちゃん」。
及川良生(おいかわよしき 以下:及川)北海道出身大阪育ち。2016年龍谷大学卒。現在は音楽活動も若干しつつ会社員として日々を送る。奥田とは学部時代(大学時代)に在籍していたアコースティックギターサークルで知り合い、同じ北海道出身ということもあり、良き音楽仲間となる。札幌龍谷高校出身で、恩徳讃も歌える。あだ名は「おいちょ」。
インタビュアー(以下:イ)兵庫県出身。2019年まで龍谷大学実践真宗学研究科に在籍。写真・動画撮影や編集を得意とし、「時のかけら」のCDやオリジナルMVの制作に協力した。楽器を演奏した経験は無い。
ーーー
イ:奥田さんと及川さんを含めると総勢10名もの方が楽器演奏やボーカルを担当されましたが、このメンバーはどのような経緯で選ばれたのでしょうか?
奥田:「時のかけら」はこれまでのLIFE SONGSに出演してくれたメンバーに演奏、あるいは歌ってもらおうと思っていました。総勢10名が楽曲の制作に携わりましたが、これだけの大人数を集めるのは大変でした。メンバーの大半が働いているので、時間がなかなか合わないのです。働き方も土日が休みだったり、平日が休みだったりとバラバラでした。
それに、既存の曲と違って、一から作った曲なのでメンバーはどんな曲かも分かりません。なのでレコーディングをする前にしっかり練習をしないといけませんよね。
そして、レコーディングは初日に楽器演奏の収録、2日目にボーカルの収録という段取りだったので、スタジオ練習とこの収録に必ず来れることが絶対条件でした。
なので、僕が歌ってほしい、演奏してほしいと思っていたメンバーの中で、最終的に日程が合わず、泣く泣く参加できなかった人が4人ぐらい いましたね。
ボーカルメンバー。上列が左から順番に建部さん、奥田英樹さん、及川さん、奥田章吾さん。下列が左から順番に大西さん、藤田さん、山瀬さん、岩崎さん。LIFE SONGSの略である「LS」をイメージしたポーズを行う。
及川:楽器についても、最初は管楽器とか、タンバリンとかもっといろんな種類の楽器を使って、華やかにしたいと考えていました。特にバイオリンは入れたかったんです。私のイメージではバイオリンが鳴り響いてました。ただ、そうするとメロディーは華やかになっても、肝心の歌詞が伝わらなくなっちゃうんです。ここのバランスをどうするか、すごく悩みましたね。最終的に、奥田くんの意見も取り入れて今の形に落ち着きました。
奥田:楽器はアコースティクギター(アコギ)、エレキギター(エレキ)、ベース、キーボード、ドラムを5人ですることになりました。もちろんLIFE SONGSに携わってくれたメンバーです。本当はおいちょにはアコギをやってもらって、エレキはまた別の人にやってもらおうと思っていたのですが、おいちょが「この曲をエレキで演奏できるのは僕しかいない」とエレキ担当を申し出たので、今の形になりました。
及川:熱い思いがありましたね(笑)。
奥田:エレキをおいちょがすることになったので、アコギをサダヲ(奥田英樹さん)にやってもらうことにしました。
イ:イントロとアウトロのアルペジオ(注)はすごく優しい音に包まれていますよね!
奥田:そうなんですよ。彼のアコギは優しくて丸い音が特徴で、僕らは聴くだけで彼の音だと分かります。「あ、サダヲが弾いてる」と(笑)。僕たちには出せない音ですね。ベースはShun(高田俊介さん)、ドラムはあやかちゃん(北村彩夏さん)、ピアノは建部真道さんにお願いしました。
アルペジオ:1音ずつ順番に連続的に発する演奏方法のこと
楽器演奏メンバー。左から順番に、北村さん(ドラム)、建部さん(ピアノ)、及川さん(エレキ)、高田さん(ベース)、奥田英樹さん(アコギ)。
イ:練習はどれくらいされたのでしょうか?
奥田:練習はまず及川くんが曲を非公開でYouTubeにアップロードして、それを各メンバーが聞いて、覚えて、練習して、そして実際にスタジオにみんなが集まって練習という流れでした。印象深いのが、初めてみんなで演奏をしたときに、ピッタリと合ったことです(笑)。
及川:あれはびっくりしたね。あんなことはなかなかないです。
イ:あ、できちゃった。という感じでしょうか?
奥田:そうですね。そして、その時に初めて聴いたイントロのギターのメロディラインがとても心地よくて、みんなで笑いました。それも思い出ですね。
その後、2回目の練習では、ここはもうちょっとこうしようとか、色々とアレンジを考えていきました。Shunのアイデアもすごく参考になりましたね。大サビやイントロの部分は彼のアイデアが反映されています。
及川:彼のアイデアには助かりましたね。歌詞の「探しに行こう」の後のドラムの「キメ」もShunのアイデアなんですよ。
奥田:もともとあの部分にはコードがあったんですよね。それをドラムソロにしたり、キメを入れたり、かなりアレンジしました。あと、建部くんも色々と意見をくれましたね。
及川:彼もすぐにコードを把握して、提案をしてくれたので助かりました。こうやって色々と意見を出し合うのがバンドの良いところだと思います。
イ:みんなで作り上げた、という感じですね。
奥田:そんな感じで、みんなで作り上げていきましたね。2回目の練習の最後の1時間で形が仕上がって、その形でレコーディングに臨みました。
及川:もともとはもっと静かなアレンジをしようと思っていました。曲のテンポもイメージよりも早くなりましたね。Shunを始め、たくさんの意見を頂いたので、メンバーには本当に感謝するばかりです。
ーーー
イ:レコーディングの本番はどんな様子でしたか?
及川:今回は時間も限られていたので、全部のパートを1日で収録しました。大抵はパート別で日程を分けて収録するんですよね。なので、全部のパートを1日で収録するのは初めてでした。パートごとの収録でも、音がズレたり、間違えたり……、うまくいかないこともありましたね。
イ:スタジオのエンジニア(注)の方とも綿密に打ち合わせをされていましたね。
エンジニア:レコーディングスタジオやコンサート会場で音源を調整し、アーティストの理想となるような音質に仕上げる役割のこと。
及川:とにかく時間との戦いでした。楽器演奏の収録が終わらないと歌の収録に移れませんし、スタジオを借りている時間内に全てを収録しないといけなかったので、プレッシャーが凄かったです。特にアルペジオはこだわりたい部分だったので、何度も何度も撮り直しましたね。
スタジオでのレコーディングの様子。限られた時間の中、納得が行くまで何度も撮り直した
イ:時間との戦いの中で、泣く泣く諦めた部分もあるのでしょうか?
及川:ありますね。本当はBメロにスライドギターを入れようと思っていたのですが、ごちゃごちゃとした印象があったので諦めました。後は、間奏でギターソロを入れてみようとも思っていたのですが、これも断念しました。曲の肉付けはいくらでも出来たのですが、やはり時間を確保できなくて、諦めたことがたくさんありましたね。
奥田:でも逆にごちゃごちゃしなくなって良かったんじゃないかな。
及川:結果的には丸く収まったという感じですね。メンバーの協力もあって、なんとか2日程で収録を終えることが出来ました。
ーーー
楽器演奏とボーカル、合わせて10人ものメンバーが携わった「時のかけら」。一見にぎやかなように見えますが、実際に聴いてみるとごちゃごちゃとした印象は全く受けません。それは、及川さんを始め、息ピッタリの各メンバーが知恵を絞って作りあげた賜物と言えるでしょう。特に、イントロとアウトロの優しいアルペジオは、こだわりにこだわり抜いた箇所とのこと。みなさまもぜひお聴きいただければ幸いです。
レコーディングが終わり、企画はいよいよ最終段階のCD制作、そして、MVの作成へと続きます。そこにも、大変なこだわりと苦労が隠されていました……。
最終回となる次回は、お二人にCDとMV制作のお話を伺います。
イ:奥田さんと及川さんを含めると総勢10名もの方が楽器演奏やボーカルを担当されましたが、このメンバーはどのような経緯で選ばれたのでしょうか?
奥田:「時のかけら」はこれまでのLIFE SONGSに出演してくれたメンバーに演奏、あるいは歌ってもらおうと思っていました。総勢10名が楽曲の制作に携わりましたが、これだけの大人数を集めるのは大変でした。メンバーの大半が働いているので、時間がなかなか合わないのです。働き方も土日が休みだったり、平日が休みだったりとバラバラでした。
それに、既存の曲と違って、一から作った曲なのでメンバーはどんな曲かも分かりません。なのでレコーディングをする前にしっかり練習をしないといけませんよね。
そして、レコーディングは初日に楽器演奏の収録、2日目にボーカルの収録という段取りだったので、スタジオ練習とこの収録に必ず来れることが絶対条件でした。
なので、僕が歌ってほしい、演奏してほしいと思っていたメンバーの中で、最終的に日程が合わず、泣く泣く参加できなかった人が4人ぐらい いましたね。
ボーカルメンバー。上列が左から順番に建部さん、奥田英樹さん、及川さん、奥田章吾さん。下列が左から順番に大西さん、藤田さん、山瀬さん、岩崎さん。LIFE SONGSの略である「LS」をイメージしたポーズを行う。
及川:楽器についても、最初は管楽器とか、タンバリンとかもっといろんな種類の楽器を使って、華やかにしたいと考えていました。特にバイオリンは入れたかったんです。私のイメージではバイオリンが鳴り響いてました。ただ、そうするとメロディーは華やかになっても、肝心の歌詞が伝わらなくなっちゃうんです。ここのバランスをどうするか、すごく悩みましたね。最終的に、奥田くんの意見も取り入れて今の形に落ち着きました。
奥田:楽器はアコースティクギター(アコギ)、エレキギター(エレキ)、ベース、キーボード、ドラムを5人ですることになりました。もちろんLIFE SONGSに携わってくれたメンバーです。本当はおいちょにはアコギをやってもらって、エレキはまた別の人にやってもらおうと思っていたのですが、おいちょが「この曲をエレキで演奏できるのは僕しかいない」とエレキ担当を申し出たので、今の形になりました。
及川:熱い思いがありましたね(笑)。
奥田:エレキをおいちょがすることになったので、アコギをサダヲ(奥田英樹さん)にやってもらうことにしました。
イ:イントロとアウトロのアルペジオ(注)はすごく優しい音に包まれていますよね!
奥田:そうなんですよ。彼のアコギは優しくて丸い音が特徴で、僕らは聴くだけで彼の音だと分かります。「あ、サダヲが弾いてる」と(笑)。僕たちには出せない音ですね。ベースはShun(高田俊介さん)、ドラムはあやかちゃん(北村彩夏さん)、ピアノは建部真道さんにお願いしました。
アルペジオ:1音ずつ順番に連続的に発する演奏方法のこと
楽器演奏メンバー。左から順番に、北村さん(ドラム)、建部さん(ピアノ)、及川さん(エレキ)、高田さん(ベース)、奥田英樹さん(アコギ)。
イ:練習はどれくらいされたのでしょうか?
奥田:練習はまず及川くんが曲を非公開でYouTubeにアップロードして、それを各メンバーが聞いて、覚えて、練習して、そして実際にスタジオにみんなが集まって練習という流れでした。印象深いのが、初めてみんなで演奏をしたときに、ピッタリと合ったことです(笑)。
及川:あれはびっくりしたね。あんなことはなかなかないです。
イ:あ、できちゃった。という感じでしょうか?
奥田:そうですね。そして、その時に初めて聴いたイントロのギターのメロディラインがとても心地よくて、みんなで笑いました。それも思い出ですね。
その後、2回目の練習では、ここはもうちょっとこうしようとか、色々とアレンジを考えていきました。Shunのアイデアもすごく参考になりましたね。大サビやイントロの部分は彼のアイデアが反映されています。
及川:彼のアイデアには助かりましたね。歌詞の「探しに行こう」の後のドラムの「キメ」もShunのアイデアなんですよ。
奥田:もともとあの部分にはコードがあったんですよね。それをドラムソロにしたり、キメを入れたり、かなりアレンジしました。あと、建部くんも色々と意見をくれましたね。
及川:彼もすぐにコードを把握して、提案をしてくれたので助かりました。こうやって色々と意見を出し合うのがバンドの良いところだと思います。
イ:みんなで作り上げた、という感じですね。
奥田:そんな感じで、みんなで作り上げていきましたね。2回目の練習の最後の1時間で形が仕上がって、その形でレコーディングに臨みました。
及川:もともとはもっと静かなアレンジをしようと思っていました。曲のテンポもイメージよりも早くなりましたね。Shunを始め、たくさんの意見を頂いたので、メンバーには本当に感謝するばかりです。
ーーー
イ:レコーディングの本番はどんな様子でしたか?
及川:今回は時間も限られていたので、全部のパートを1日で収録しました。大抵はパート別で日程を分けて収録するんですよね。なので、全部のパートを1日で収録するのは初めてでした。パートごとの収録でも、音がズレたり、間違えたり……、うまくいかないこともありましたね。
イ:スタジオのエンジニア(注)の方とも綿密に打ち合わせをされていましたね。
エンジニア:レコーディングスタジオやコンサート会場で音源を調整し、アーティストの理想となるような音質に仕上げる役割のこと。
及川:とにかく時間との戦いでした。楽器演奏の収録が終わらないと歌の収録に移れませんし、スタジオを借りている時間内に全てを収録しないといけなかったので、プレッシャーが凄かったです。特にアルペジオはこだわりたい部分だったので、何度も何度も撮り直しましたね。
スタジオでのレコーディングの様子。限られた時間の中、納得が行くまで何度も撮り直した
イ:時間との戦いの中で、泣く泣く諦めた部分もあるのでしょうか?
及川:ありますね。本当はBメロにスライドギターを入れようと思っていたのですが、ごちゃごちゃとした印象があったので諦めました。後は、間奏でギターソロを入れてみようとも思っていたのですが、これも断念しました。曲の肉付けはいくらでも出来たのですが、やはり時間を確保できなくて、諦めたことがたくさんありましたね。
奥田:でも逆にごちゃごちゃしなくなって良かったんじゃないかな。
及川:結果的には丸く収まったという感じですね。メンバーの協力もあって、なんとか2日程で収録を終えることが出来ました。
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楽器演奏とボーカル、合わせて10人ものメンバーが携わった「時のかけら」。一見にぎやかなように見えますが、実際に聴いてみるとごちゃごちゃとした印象は全く受けません。それは、及川さんを始め、息ピッタリの各メンバーが知恵を絞って作りあげた賜物と言えるでしょう。特に、イントロとアウトロの優しいアルペジオは、こだわりにこだわり抜いた箇所とのこと。みなさまもぜひお聴きいただければ幸いです。
レコーディングが終わり、企画はいよいよ最終段階のCD制作、そして、MVの作成へと続きます。そこにも、大変なこだわりと苦労が隠されていました……。
最終回となる次回は、お二人にCDとMV制作のお話を伺います。
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他力本願ネット
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掲載日: 2020.02.23
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