仏教体験を通して、若い世代にも身近なお寺へ|「大人のための寺子屋」―福岡県信行寺<中編>
大人のための寺子屋の様子(写真提供:神崎さん)
福岡県糟屋郡にある信行寺では、「終活講座」や「オンラインお寺参り」など、幅広い世代に向けて、さまざまな活動を通じて多くの方とのご縁作りが模索されています。
中編となる今回は、「大人のための寺子屋」について、信行寺所属の神崎 修生(かんざき・しゅうせい)さんにご紹介いただきました。
大人のための寺子屋とは・・・慌ただしい日々の中に、少し立ち止まって自らを見つめ、大切なものに気付いていく、大人向けの仏教体験・お寺体験の場です。(信行寺公式webサイトより)
「身近にないから」というシンプルな意見から生まれたイベント
「大人のための寺子屋」の様子(写真提供:神崎さん)
――「大人のための寺子屋」とは、どのような活動でしょうか?
神崎 修生さん(以下:神崎):「大人のための寺子屋」は仏教やお寺を身近な存在として体験ができる場所です。これまでに、自らが命を終えていく過程を擬似体験するワークショップ「死の体験旅行®」を行ったほか、曹洞宗の僧侶の方に来ていただいて座禅体験も行いました。お寺だけでなく、企業のオフィスでも開催しています。
――この活動は、どういったきっかけで始められたのでしょうか?
神崎:私はMBAの単位を取得するために、5年前からグロービスの経営大学院に通っていました。いろんな業界の方と一緒に学ぶ機会があったのですが、僧侶だと自己紹介すると珍しがられるんですよね。
反応が2パターンあって、過去にお寺と接点がなく、純粋に僧侶に興味があるというパターンと、幼少期からお寺に通っていたというご縁をお持ちで、すごく好意的に興味を持ってくださるパターンです。
そこで、前者の方々になぜお寺との接点がないのかを聞いてみると「身近にないから」という非常にシンプルな答えが返ってきました。言われてみれば、確かにそうですよね。僧侶はお寺の中ばかりに場所を構えるのではなく、積極的にお寺の外へ出て行かなければならない時代だと感じました。
――大人のための寺子屋には、主にどんな方々が来られていましたか?
神崎:経営大学院で知り合った、主に30~40代ぐらいの、「死」とは感覚的に少し遠い世代の方が中心です。
座禅を体験してみたいとか、自分の存在を改めて問い直したい、といったことを求めて来られます。また、明確に言語化はできないけれども、何かやすらぎを求めている方もいらっしゃいますね。