サイト運営者が考える、お寺の情報発信のあり方とは?|ホトカミー西脇唯真さんインタビュー<後編>
御朱印・神社お寺の検索サイト「ホトカミ」 運営スタッフの西脇唯真さんへのインタビュー後編。後編では、西脇さんがホトカミの運営に携わって得られた気づきや学びのほか、寺社仏閣の検索サイトを運営する方からの視点で、お寺の情報発信について教えていただきました。
無料でお寺の情報を発信。月間120万人が閲覧する寺社仏閣の検索サイト|ホトカミ 西脇唯真さんインタビュー<前編>
サイトの運営で得られた気付きと学び
ーー西脇さんは、どういう思いでホトカミの運営に携わられていますか?
西脇 唯真さん(以下:西脇): 私は小さい頃からお寺が好きでした。保育園、小学校のときは日曜学校という、お寺でお経を読んで仏教のお話を聞いた後に、鬼ごっこをする活動が毎週の楽しみでした。中学、高校になると今度は自らお寺でお泊まり会を開いて肝試しを企画していました。大学生になってからもバスを手配して、東京から愛知までのお寺合宿を5回以上企画し、総勢100名くらいに来ていただきました。「お寺に来ると穏やかな気持ちになれる」「日常のことを忘れられる」などと言ってもらえることがすごく嬉しかったです。
(画像提供:西脇さん)
でも、お寺の魅力は世間に知られにくい部分もありますよね。今でこそSNSを活用する僧侶の方は多くいらっしゃいますが、新型コロナウイルスが流行するまでは、僧侶によるインターネットでの情報発信は今ほど盛んではありませんでした。
そのなかで、お寺や僧侶ももっとインターネットで発信した方が良いと漠然と思っていたんです。ちょうどその頃にホトカミの存在を知って、代表にお話を聞かせていただいて運営チームに参加しました。
ーーホトカミの運営に携わって、どういった気づきがありましたか?
西脇:お寺に興味がある方はまだまだ多くいらっしゃる、という事実に気づきました。ホトカミは月間で120万人もの方々に利用していただいています。ご利用される動機は様々ですが、これだけ多くの方が、お寺に興味を持ってくださっているのだから、僧侶・お寺として何か応えていきたいという想いが強くなりました。
ーーまた、どういった学びがありましたか?
西脇:1番の学びは、インターネット上とはいえども現実世界と同じで、心の通ったやりとりが大事だということです。例えば、住職の顔写真やプロフィールがしっかりと掲載されていたり、お知らせをこまめに投稿されているお寺は、初めての方も参拝しやすいようです。顔や投稿から雰囲気が伝わると、信頼できるのだと思います。その他にも、お寺の公式Instagramに寄せられたコメントに心を込めて返信をするなど、人との繋がりを大切にする姿勢が重要だと思います。
(画像提供:西脇さん)
お寺の情報発信はどうあるべき?
ーーSNSを通してのコミュニケーションは重要ということでしょうか?
西脇:そうですね。現代においてホームページは必須だと言われていますが、それだけではなかなか新しい人に見ていただけません。SNSと組み合わせて運用することで、より多くの方に仏教やお寺の魅力を知っていただけます。
また、ホトカミを含めSNSは基本的に無料で運用できるので、その意味でもぜひ実践すると良いと思います。
いろんな種類のSNSがあり、それぞれに特性があります。例えば、写真が好きであればInstagramが適していますし、短い言葉に自身がある方はTwitterを活用すると良いですね。
ーーどのようにSNSを活用するのが理想的なのでしょうか?
西脇:まずは、続けることが重要です。「境内の花が咲きました」といった気軽な内容でもよいので、こまめに発信していくことも大切ですね。
また、行事やイベントの告知を行う際は、全くお寺のことを知らない人の気持ちを想像して伝えると、自ずと伝わりやすくなります。
例えば、イベントには参加したいけど予約方法や交通手段が分からず、困っている方も意外と多いんです。なので、SNSにイベント情報を掲載する際は、予約方法やアクセスも「詳細はこちら」といった表記でお寺のホームページを参照してもらうのではなく、できるだけ同一ページ内に書いた方がよいです。
ーー僧侶としてSNSを利用する際に気をつけた方がよいことはなんですか?
西脇:基本的には、あまり堅苦しく考えず、それぞれの個性を生かして発信していただくとよいと思います。
しかし、自身が僧侶であることをしっかりと自覚して発信することは大切です。インターネット上でも、僧侶としての自分の姿や行動が注目されている、ということを忘れないようにしたいですね。
ーーありがとうございました。
編集後記
今回は、神社お寺の検索サイト「ホトカミ」について、運営メンバーの西脇さんに教えていただきました。無料でありながら、月間120万人のお寺に興味がある方に向けて情報発信でき、公式ホームページの代替としても使えるため、多くの寺院にとって心強いツールとなるでしょう。
また、その裏には寺社仏閣が盛り上がることを願い、日々真剣に運営に取り組む西脇さんや、スタッフの方々の姿がありました。西脇さん、ありがとうございました。