豊かな自然の恵みをお寺で味わう。|イタリアン精進レストランー広島県浄謙寺<前編>


肉や魚を用いず、豊かな味わいを楽しむことができる精進料理。仏教の戒律から生み出されたこの食文化は、「お斎」としてお寺とも密接に関わってきました。そんな精進料理をイタリアンとして提供しているお寺があります。
この度インタビューさせていただいたのは、広島県浄謙寺の衆徒、浄謙恵照(じょうけん・えしょう)さんです。お寺で展開される、豊かな食の場を覗かせていただきましょう。
 

自然豊かな芸北地域にあるお寺。浄謙寺

 

浄謙恵照さん(画像提供:浄謙さん)

 
――今日はよろしくお願いします。簡単に浄謙寺さまのご紹介、また浄謙さまの自己紹介をお願いします。
 
浄謙 恵照さん(以下:浄謙):浄謙寺の浄謙恵照と申します。浄謙寺の14代目として住職を引き継ぐ予定で、現在は衆徒という立場で活動しています。1990年生まれ、龍谷大学卒業後は同大学院に進学しながら浄土真宗本願寺派総合研究所にも勤務しました。その後28歳のときに浄謙寺へ戻り、現在に至ります。
 
浄謙寺は約400年前、建立されました。お寺は広島県北西部の芸北地区にあり、広島駅からは車で約2時間の山あいにあります。
 
――お寺の周辺地域のご紹介をお願いします。
 
浄謙:主に農業が盛んでお米、ほうれん草、キャベツ、トマトといった農作物の生産がとても盛んです。その中でもりんごは特産品ですね。また、冬は雪が降る地域なので、スキー場もたくさんあります。湿原に貴重な植物が残っていたり、全国有数の草原があったり、自然が魅力的な地域ですね。
 

(浄謙寺公式Instagramより)

 
――地域の課題はどういったことが挙げられますか?
 
浄謙:やはり、人口減少でしょうか。お寺のある芸北地区(旧芸北町)は、私が子どものときは3000人ほど居ましたが、いまでは2000人を切りました。
やはり、若い世代を中心に広島市内への転出が多く、地元に残る人はとても少ないです。どうしても職業の選択肢が限られているというのが原因のひとつだと思います。
また空き家問題もあります。多くの空き家がありますが、売りに出されたり、貸してくれたりする家が少ないのです。田舎に魅力を感じて移住してくる若い方も少なからずおられますが、住むことができる家が見つからず、定住できないというもどかしい状況があります。
 
――となると、お寺とのご縁づくりも難しいですよね。
 
浄謙:たしかに、過疎地なので新しいご縁を結ぶ機会は少ないとは思います。しかし、今日ご紹介するイタリアン精進料理の活動を通して、いままでお寺のご縁が薄かった方と仏法聴聞の場を共有できている、という手応えは感じています。
 

地域の野菜をふんだんに使った精進料理を。

   

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掲載日: 2023.01.25

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