子どもたちの暗い食事情に差し込む一筋の“光”|ヒカリ子ども食堂―大阪府光明寺

 

誰一人として支援の手から漏れることの無いように。

 

(画像提供:中村さん)

 
――催しの特徴を教えて下さい。
 
中村:単にご飯を食べるだけではないところが大きな特徴です。おもちゃも用意しており、5時にお寺を開放して、まずは遊んでもらっています。ひとしきり遊んでもらったら頃合を見て机を出し、食事を提供するという流れです。
また、食後も19時までは本堂で過ごしていただけるようにしています。もちろん、食べ終わったらすぐに帰る子も居ますが、残って遊んでいる子どもたちも居ます。開放することで、お寺の空間を楽しんでもらうようにしていますね。
 
また、子ども食堂を通して子ども同士だけでなく、子どもと高齢者世代のコミュニケーションが生まれることも特徴です。子ども食堂には光明寺の仏教婦人会の方々や、地域の高齢者の方がお手伝いに来てくださっています。高齢者世代の方は食事の用意をしつつ子どもたちと話したり、時にはイタズラをした子どもに「そんなことしたらあかん!」と叱ったりすることもあります(笑)。
 
でも、叱られる経験もすごく大事だと思うんですよね。そうした経験も含めて、昨今は核家族化で、子どもたちと高齢者の繋がりが以前より薄くなってしまいました。
そんな時代だからこそ、高齢者と関われる場であることも、子ども食堂に求められている役割ではないかと感じます。
 
――ご活動の中で、大変なことはありますか?
 
中村:人数が増えれば増えるほど準備も大変で、前日に用意できる食材は用意しておくといった工夫もしています。
また、当日まで何人来るかが分からないので、どれだけ用意すれば良いのかを決めきれないのも大変です。足りなくなった場合は、急遽食材を買いに走ったり、メニューを変えたりしてでも全員に行き渡るようにしています。
 
それでも、予約制にしようとは思っていません。なぜなら予約制にすると支援を受けられない人が出てくるからです。例えば、ネットでの予約制にするとスマートフォン持ってない人や、親が忙しい人は予約ができませんよね。あくまでも、好きな時に気軽に来てもらうことや、機会損失を生まないことを大事にしています。
 

子ども食堂を始める際に気をつけることとは?

 

(画像提供:中村さん)

 
――子ども食堂を始める際、大切なことは何でしょうか?
 
中村:行政や企業の補助制度を上手に活用することと、前例を学んでおくことでしょうか。
ヒカリ子ども食堂が受けている補助制度は2つあり、1つは、八尾市からの補助金「八尾市子どもの居場所づくり事業補助金」、もう1つはコープ(生活協同組合)の賞味期限が近くなった食材を譲り受ける制度です。商品の倉庫が大阪の泉佐野市にあり、毎月子ども食堂を実施する前に訪問し、食材を分けていただいています。
 
ただ、補助に関しては各地域で制度が違うと思うので、これから子ども食堂を始められる際は、はじめにお住まいの地域で実施されている子ども食堂を見学し、そこのスタッフさんから情報をいただくのが近道かもしれません。場合によっては、そのまま市役所の担当の方に繋がることもあると聞いています。
 
――お寺が地域の子どもたちを支援する際、必要なことや気をつけるべきことがあれば教えて下さい。
 
中村:アレルギーは特に注意するようにしています。初めてきていただく際にどんなアレルギーを抱えているかを申告してもらう他、アレルギー用に違うメニューを用意できるようにしています。
 
また、子どもたちの動きには細心の注意を払っています。特に、小さな子どもたちがお線香やマッチを口に入れたり、暖房器具に触ったりしてヒヤヒヤしたこともありました。
また、障子を破られると大変なので、座席配置を工夫したり、障子の前にホワイトボードを置いたりして、小さな子どもたちをなるべく障子に近づけないようにしています。
 
また、本堂で実施する場合は汚れ対策として、ブルーシートのような敷物を用意すると良いのではないでしょうか。ちなみに、光明寺ではじゅうたんを敷いています。
 

「お寺は安心やな」と思ってもらえるように

   

Author

 

他力本願ネット

人生100年時代の仏教ウェブメディア

「他力本願ネット」は浄土真宗本願寺派(西本願寺)が運営するウェブメティアです。 私たちの生活の悩みや関心と仏教の知恵の接点となり、豊かな生き方のヒントが見つかる場所を目指しています。

≫もっと詳しく

≫トップページへ

≫公式Facebook

掲載日: 2023.02.21

アーカイブ