寺×音楽 LIFE SONGS プロジェクト 人生、最後に聴きたい曲 No.11 企画後記
数回にわたってお届けさせていただきました。LIFE SONGS—人生、最後に聴きたい曲—のレポートはいかがだったでしょうか?
出演者の多くが学生という若い年齢でもあるこの企画に「人生、最後」というテーマを持ってくるなんて早すぎる!と思われた方ももしかしたらいるかもしれません。
ただ、出演してくれた若手僧侶の好井さんや奥田さんがいうように出会いの数だけ別れもあり、また別れがあって出会いがある、その繰り返しに年齢は関係ないのかもしれません。
そして、20代の出演者にも死別という経験のある方もおられました。大切な人の死を目の当たりにするのは、子どもにも大人にも平等におとずれるものです。
一般社会、特に現代においては生と死とは全く切り離された別のものという感覚が強いようですが、仏教では生死一如といって生と死とを別のものと考えません。「日本人の死ぬ確率は何パーセントですか?」とたずねると、静かになってしまう時があります。死ぬ確率なので100%です。誰しもおとずれる「最後」を、遠くどこかにおいてきてしまっているのではないでしょうか?
ご飯を食べる時も机の上に並べられた、魚や肉、どれもそのもののいのちをいただいているというところでは、生きるものは多くのいのちによって支えられているのです。ただ、どうしても物や情報が特に多くなり、効率や合理性が大切にされる世の中では「いのちをいただく」という感覚は忘れられていないか心配になります。
このような、現代において僧侶が様々なことを切り口に社会の人々と「いのち」「死」を共に考えていくことが大切に思えます。
LIFE SONGSでは「歌」ということを通して、「いのちのあり様」を若手ながらにも、しっかりと考え、向き合っていくあたたかな企画にしていきます。
2回の開催で7名の出演者と合計100名ほどの参加者の方は、「人生、最後に聴きたい曲」を聴いてまた考えて、どんなことを感じられたのでしょうか?
アンケートを見てみますと、皆さん「人生、最後に聴きたい曲はありますか?」との質問には十人十色の答えがありました。クラシックミュージックもあれば、流行の歌もあったりして、一人一人が感じる「死」や「生」の多様さを感じました。また、普段考えることがなかった「死」を考える時間ができて、本当に良かったとの声もいただきました。
LIFE SONGSでは何か普段から「いのち」や「死」について考えたり、想いはあるが話す場所がない、共有する時間もない、またそんなカッコつけた様な人生については恥ずかしくて語れない。そんな様々な思いをカッコよく、カッコ悪く、「いのち」について考えていきたいと思っています。
次回はまたテーマを変えて3月あたりに開催する予定です。お楽しみに。