寺×音楽 LIFE SONGSプロジェクト 「Thank you for…ありがとうの意味をたずねて」
寺×音楽 LIFE SONGSプロジェクト 第5回「Thank you for…~ありがとうの意味をたずねて~」
LIFE SONGSはお寺などの空間で「歌」「音楽」ということを通して、「いのちのあり様」をしっかりと考え、向き合っていくあたたかな企画を目指しています。
普段から「いのち」や「死」について考えたり、話す場所がない、共有する時間もない、恥ずかしくて語れない。だからこそ当企画で「いのち」について考えていきたいと思っています。
今回のLIFE SONGSの公演は10月11日に龍谷大学瀬田キャンパス、10月13日に龍谷大学大宮キャンパスで開催させていただきました。瀬田キャンパスでの開催で第5回となるLIFE SONGSでは、「Thank you for…~ありがとうの意味をたずねて~」というテーマで「感謝」を題材として、出演者の方たちに歌を歌ってもらいました。
(LIFE SONGSより)
4人目の出演者は浄土真宗本願寺派の僧侶の好井正智さんでした。
曲は中島みゆきの『糸』
Mr.childrenの『花の匂い』
好井さんは次のようにお話しくださいました。
LIFE SONGSではお坊さんが歌や対話をする中で、少しでも仏教の教えが伝われば、と思っています。
今回のテーマは『感謝』なのです。色々と思いを巡らせてみたんですが、なかなか感謝をあらわすことができないことも自分にはあるなぁと思いました。
そこで、感謝、ありがとうってどんな心なんだろう、と考え直しました。
ただ、『ありがとう』って言われた方は、あったかくなりませんかね?嬉しいですよね。時々、僕は親に何かを頼まれることがあったんですけど、めんどくさいなぁと思いつつやることもあるんですね。その時に嫌々でもやって、親に『ありがとう』って言われたら、やってよかったなぁと思いましたね。けど、反対に『ありがとう』って言われないと、『なんだよ!ありがとうぐらい言って欲しいよ……。』と思ったりもします。
そう思うと、この『ありがとう』っていう言葉は人と人とを結びつけるような役割があるように思いました。
『今日、来てくれてありがとう!』って言った時に、少しみなさんと距離が離れていたものが親密になるような、結びつくような気がしました。
仏教には愛別離苦(あいべつりく)という苦しみがありますよ、と説かれます。いずれはどこかで別れなくてはならない。愛する人や親ともいつかは別れなくてはいけない。じゃあ、その悲しみは悲しみのままで終わるのか。いやいや、決してそうではないんです。別れは必ず訪れる。けれども、決して別れが別れのままに、悲しみのままに終わらないということを言われております。
中西智海さんというお坊さまが、ある詩を詠んでおられます。
『人は去っても、その人のほほえみは去らない。人は去っても、その人のことばは去らない。人は去っても、その人のぬくもりは去らない。人は去っても、拝む掌(て)の中に帰ってくる。』(『ひととき-わたしをささえる言葉-』)
この手を合わす中に、何気なく手を合わす行為ですが、ここにまた温もりがあったなぁと感じることができるような詩であり、仏様のお心ではないかと思います。亡くなった方とはもう会うことはできないと、悲しみにくれる日々だけではなく、亡くなった方にまた会うことができる世界があるなぁと仏様のあたたかさを僕自身が味わっております。
最後の曲はMr.childrenの『花の匂い』という曲なのですが、この曲はMr.childrenのボーカルの桜井さんが、亡くなったお父さんのために書き下ろされた曲だそうです。
手を合わす中に、亡くなられた方や別れていった方々を思い起こせる、そんな時間になれば幸いです。
次回は、瀬田キャンパスでの公演に続いて、京都・大宮キャンパスでの公演の様子をレポートします。
お楽しみに。
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過去のライフソングスのイベントレポートはこちら
◉第2回テーマ「人生、最後に聴きたい曲」
◉第3回テーマ「一歩、前に進むための別れの曲」
◉第4回テーマ「お寺で雨宿り〜悲しみ、憂鬱と向き合う場所〜」
2017.11/20更新