被災地の声「いろいろあったなぁ」
(70代男性)
「地震の訓練は頻繁にしてたから、地震の対応は迅速にできたんだよ」
震災当時のことを振り返りながら、どこか誇らしげに、その時のことを教えてくださった。
「でも、まさか津波がくるとはなぁ」
ぽつりと零れたその言葉から、話は津波の話になった。
津波から逃れて体育館に避難したこと。
避難先から、3人の女性が瓦礫に引っかかっていたのを見て、
どうすることもできず、抱き合って暖を取るよう大声で指示したこと。
その上空で、マスコミのヘリコプターが救助するでもなく、
ただ旋回しているのを見て怒りを覚えたこと。
ひるがえって、瓦礫に引っかかっている女性を助けに行けない、自分自身にも憤りを感じたこと。
「いろいろあったなぁ」
2年という月日の間、考え続け、何とか咀嚼しようとされてきた葛藤が、
遠くを見つめるその方の目元から感じられた。
(安部智海)
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掲載日: 2013.10.03