被災地の声「おしょしい」
自分が津波に飲まれたのではないかと心配して、娘が遺体安置所に何度も通ったこと。
娘にイヤな思いをさせて申し訳なく思っていることなど、震災直後から今まで抱えておられる思いを小一時間ほど話されたあと、突然、「おしょしい!」と笑いながらおっしゃった。
それまでの思いつめた様子が、一気に明るい空気になった。
「おしょしい」とは、宮城の方言で「恥ずかしい」という意味だ。
外出する機会が少ないので化粧もせず、顔を見られるのが恥ずかしいのだという。
自分の思いを話されているあいだ、身なりを気にするゆとりもなかったのだろう。
いつしか、固かった表情が、柔らかい笑顔に変わっていた。
(安部智海)
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掲載日: 2014.08.09